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松下幸之助『道をひらく』に学ぶ成功の秘訣

松下幸之助『道をひらく』に学ぶ成功の秘訣

(写真)不明 – 時事画報社「フォト(1961年8月15日号)」より。, パブリック・ドメイン, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=23393671による

 

日本経済の1ページを担うほどの大企業グループを育てた松下幸之助。

立身出世のストーリーや経営者としての手腕などが注目を集め、過去にもさまざまな人が彼の手法を研究し、多くの書物が残されています。

彼自身でも数冊の著書を残していますが、中でも『道をひらく』は1968年の初版から半世紀にも渡って読まれ続けている名著であり、彼自身を知る上でも最も参考になる著書です。

本記事では、この『道をひらく』を分析し、5つ星Magazineの読者様と一緒に、松下幸之助にビジネス成功を学びたいと思います。

天賦の商才

satynek / Pixabay

松下幸之助は、1894年(明治27年)、和歌山県海草郡(現在の和歌山市)出身です。
言わずと知れた、松下電器、現在のパナソニックの創業者であり、歴代の偉大な経営者を代表する一人ですが、彼の育った環境は厳しいものだったようです。
父親の事業失敗から、学校に通い続けることができず、9歳から火鉢店に丁稚奉公として働きに出ます。
しかし、この頃から、どのようにしたら効率良く小遣いがもらえるかという工夫を繰り返したようで、天賦の商才の頭角をすでに表していたことが伺えます。
『道をひらく』から読み取れる、後の彼の経営者としてのスタンスは、「より早く、より正確に、より良く」というように、いわば現状維持を許しません。
より良くするために、工夫する努力をする。そして一生懸命に行う。
このようなビジネスポリシーの芽は、元来、備わっていた性格によるところなのかもしれません。

『道をひらく』が記された背景

jplenio / Pixabay

『道をひらく』が出版されたのは、1968年(昭和43年)です。日本の時代としては、高度経済成長期がちょうどスタートして間もない時期であり、その波に乗って松下電器も多角化を含めて大きく成長した時代でした。
その時、創業者である松下幸之助は、御年74歳。すでに1961年には社長の席を後任に譲り会長職に就いていたため、経営の第一線からは退いていました。
ただ、前書きによると、”松下グループの研究機関であるPHP研究所の機関紙「PHP」の裏表紙に連載してきた短文の中から抽出してまとめたもの”とあります。
機関紙「PHP」は、1947年から人間教育の目的のために松下幸之助が出版を開始した雑誌ですから、これらの言葉の中には、彼が53歳の時、すなわち彼が現役バリバリの経営者の立場にあった時の言葉も散りばめられていると考えられますね。

全体の構成

sasint / Pixabay

『道をひらく』は、全270ページの書物ですが、比較的大きな文字で書かれているため、文章量とすると比較的軽い部類の本になると思います。
構成は、2ページに1テーマがまとめられていて、全121篇が収められています。
その全121篇は、11の章にまとめられています。
後述しますが、この本に書かれている内容は、生き方や、心の持ち方、のようなやや抽象的かつ精神的なコンテンツが中心です。
そして、文体はとても親しみやすく、また難解な単語も殆ど使用されていないため、たいへん気分良く読み進めることができますが、ところどころビジネス成功のヒントが散りばめられています。

前述のように、この本は機関紙「PHP」に掲載した松下幸之助の言葉を編集したもの。機関紙「PHP」は、当時普通に販売されていた雑誌のようですが、グループ内部の読者も多かったことが想像できます。
偉大な創業者から発せられた人間味あふれる深いメッセージは、グループ内で働く従業員の求心力や愛社精神に繋がったと考えることもできると思います。
うがった見方をすれば、これは、組織を作った松下幸之助の言わば人心を操る戦略とも考えられますが、飾らず力強く語られる文面からは、人間、国家、社会に対する純粋な気持ちが伝わってきます。

各章で語られていること

mvdsande / Pixabay

『道をひらく』は、以下のように11の章に分かれていますが、もともと、その章のテーマに沿って文章が書かれたわけではなく、すでに書かれた文章を編集してまとめるために括った章立てなので、特にそのタイトルに因んだ起承転結はありません。

・ 運命をきりひらくために
・ 日々を新鮮な心で迎えるために
・ ともによりよく生きるために
・ みずから決断を下すとき
・ 困難にぶつかったとき
・ 自信を失ったときに
・ 仕事をより向上させるために
・ 事業をよりよく伸ばすために
・ 自主独立の信念を持つために
・ 生きがいのある人生のために
・ 国の道をひらくために

では、それぞれの章でどのようなメッセージが語られているか、主だったところを見ていきましょう。

運命をきりひらくために

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この章のハイライトは、何と言っても最初の「道」とタイトルの付されたページです。
「自分には自分に与えられた道がある。天賦の尊い道がある。」から始まり、「所詮この道しかないのではないか」とつなぎつつ「休まず歩む姿からは必ず新たな道がひらけてる」と結びます。この部分は、むしろこの本自体のテーマと言っても良いかもしれません。
松下電器はメーカーなので、当然ながら技術者も多く在籍していますね。
日々、「より良いものを造ろう」と思いながら悪戦苦闘している技術者に対して、創業者のあのようなメッセージが届いたらどうでしょう? 多くは、何か救われたような、そして勇気が湧くような気がするのではないでしょうか。

・ 日々を新鮮な心で迎えるために

この章では、何でも真剣に取り組むこと、視野を広く持つことなど、日々の心構えなどが語られています。
また、失敗を恐れることよりも、生活に工夫がないことを恐るべきだ、とも語られており、日々工夫し、より良く生きることを重視する松下の基本姿勢が伺えます。

・ ともによりよく生きるために

ここでは、主に人と人との繋がりの尊さを語っています。
縁というものは、単なる出会いとは異なる深い意味がある。そして、相手のことを思い、互いに尊重する中で、その深い縁の意味を知ることができる。ただ、その過程では時として忍耐も必要、と現実的に諭す部分もあります。
彼の設立したPHPという出版社のPHPは、Peace and Happiness through Prosperity、つまり「繁栄による平和と幸福」の略だそうですが、便利な製品で物質面を豊かにすると同時に、人の心も豊かにしたいという物心両面での繁栄を目指した思いを反映した言葉ですね。

・ みずから決断を下すとき

ここでは、決断を下すことの意味とその重要性が書かれています。
すなわち、どのような結果になるにしても、まずは決断を下さないと始まらないということですね。失敗も成功も、決断の結果です。そして、60%程度の見通しと100%の確信が持てたなら、決断を下すには十分だ、とも。

・ 困難にぶつかったとき

成功の道には失敗は不可欠です。そして、思わぬところで立ちふさがる壁が出てくるものです。松下幸之助は、「心配またよし」と語ります。つまり、困難を困難ともせず、謙虚に受け止めそれを乗り越えていく姿にこそ成功の可能性がある、ということです。
言い換えると、困難にぶつかった時こそ、成功への道が見えた時なのかもしれません。

・ 自信を失ったときに

一つの失敗をすると、人間は落胆とともに自信を喪失するものですね。
松下幸之助は、転んでもただでは起きない心を持て、と言います。それは、決して貧乏根性ということでななく、真剣に取り組め、ということです。
失敗にこそ成功のチャンスがある。その失敗からこそ学びは大きいわけで、それを悔いて過ごしてしまってはあまりにもったいないということですね。

・ 仕事をより向上させるために

この章の中に「しかも早く」というテーマがあります。
そこでは「気配りがあって丁寧な仕事は当たり前であって、それがしかもより早く実現できないのであれば仕事とはいえない」と言った趣旨のことが書かれています。
この本を通して、彼の仕事に対する実務的な厳しいポリシーを最も強烈に感じる部分です。
彼の成功、および松下電器の発展は、このポリシーがグループ全体にまで行き届いていたからなのかもしれません。

・ 事業をよりよく伸ばすために

松下幸之助は、短期的な目先の利益より、その中身を重視しました。
個人であろうと会社の事業であろうと、社会的な意義がなければ意味がないと訴えます。
したがって、事業の成果が上がった時も、その数字よりもいかに正しい方法でその成果を上げたかが重要であると言います。
単なる一過性のものではない本物の成功と、このような内容へのこだわりには深い関係がある気がします。

・ 自主独立の信念を持つために

この章では、主に人間松下幸之助の基本的な心の姿勢が語られています。
彼にとっては、とにかくどんな状況でもおごらず謙虚であること、すべては他人事でなく自分にも関係していることなのだと認識することが絶対です。
そして、他人に教えるということも、自分の成長にとって非常に重要な要素だと言っています。

・ 生きがいのある人生のために

松下は、人間は心の持ちかた一つで、全く違う人生になると言います。非があった場合は、謙虚に非を認め、それを乗り越え、幾多の体験を繰り返し、勤勉に生きてゆくことで人生はよりよく修練されていくのです。
まさに、事業を通した彼の成功哲学が端的に語られているようです。

・ 国の道をひらくために

この本を通して、随所に出てくるのは、彼の国を思う気持ちです。そして、最後のこの章でも、改めて「いくら我が道をひらく精進を重ねても、国としての道がひらけてなければ砂上の楼閣」と訴えます。
彼は、国家に役立つ人間教育も重視しており、1979年に政治家を育てるために松下政経塾を設立しました。

まとめ

いかがだったでしょうか?
パナソニックと言えば、今やグループ売り上げ7.5兆円を超える世界有数の大企業です。
9歳の時に始めた丁稚奉公が、このような巨大な事業体になるに至るには、当然ながら紆余曲折と数え切れない失敗があったことでしょう。そしてそれを乗り越える企業努力があったのは間違いのないところですが、創業者である松下幸之助のマインドが組織全体にも伝わり、大きな精神的支柱になってきたのではないかと思います。
そして、この本全体のレトリックの中には、ひとつの大きな特徴があります。
テーマの終わりが、「おたがい~したいものである」という箇所が極めて多いのです。
つまり彼は、自分のグループの社員や他のビジネスマンに向けて語っていながら、同時に自分にも言い聞かせていたということです。
その、どのような立場になっても「謙虚に、より成長したいと自ら思う心」こそ、松下幸之助のビジネスでの成功、そして松下グループの繁栄の原動力であるとも思えるのです。

以上、「松下幸之助『道をひらく』に学ぶ成功の秘訣」でした。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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