美しい北欧4か国をリージェント セブンシーズクルーズで巡るラグジュアリーな夏の旅(前編)
2023年夏、灼熱地獄の日本を脱出して到着した地は北欧の国。最高気温25度ほどの理想的な気候の中で、心地よい風に吹かれながら夏のバルト海クルーズを楽しみます。スウェーデンのストックホルムから乗船。ボスニア湾を周り、バルト海に浮かぶスウェーデンの島々やスカンディナビア半島を巡り、ノルウェーのオスロに向かいます。バルト海の複雑で狭い海域を縫うように進む船。フィヨルドや点在する島々が絶景のクルーズルートを旅します。
旅を演出してくれる「セブンシーズ スプレンダー」に乗船
乗船したのは、中型ラグジュアリー船 、2020年2月デビューの「SEVEN SEAS SPLENDOR(セブンシーズ スプレンダー)」。食事やエクスカーションなど、すべてが料金に含まれるオールインクルーシブのラグジュアリーな旅を提供するリージェント セブンシーズクルーズのクルーズブランドです。優れたクルーのエレガントなサービスを受けながら、最上級の洋上の旅を楽しめます。乗船の際はクルーの皆さんに迎えられ、絢爛なるロビーへと誘われます。
スタッフにまず案内されたのは、シックなブラウン系のインテリアでまとめられた落ち着いた雰囲気のスイートの客室。ベッドルームにリビングスペースのスイートルームには、ウエルカムシャンパン、ヴーヴグリコも用意されており、ベッドスプレッドのWELCOMEの文字にこれから始まる旅のワクワク感も高まります。広いウォークインクロゼットやバスルームの大きなレインシャワーなど施設も充実。快適な船旅を約束してくれます。
375室の客室は全室スイートで、クルーズ船最大のバルコニーを備えている贅沢な仕様。広めのテラスには座り心地のよいデッキチェアが用意され、さっそくシャンパンを片手に、優しい陽の光に照らされる凪いだ海を眺めます。
エストニアの首都タリンへ、中世の趣が残るおとぎの国
第一日目、船が向かうのは、ストックホルムからフィンランドの首都ヘルシンキ。エストニアの首都タリンへは海を挟んで向い合わせの立地にありフェリーで2時間ほど。ヘルシンキをひとまわりしてからタリンにも訪れてみることにしました。
ヘルシンキに到着すると、まずは予約を入れておいたこの街で、13年連続で星を獲得している一番人気のレストラン「OLO」へ。OLOはフィンランド語で「気持ち」という意味で、港に近く華やかなロケーションにあります。北欧の自然食材を中心に、「天然の恵に敬意を表しながらありがたく頂く気持ちで料理をデザインし、同時に昔からの伝統的なおばあさんの味をめざしている」と言うのは、オーナーシェフのシェフヤリシェフ氏。子供の頃の味の記憶がベースとなり、イノベーティブな北欧料理を味わえます。
小さな花で飾られた華やかな一皿は、ロブスターやオマールエビなど豊富な魚介が洗練された技術によりガストロノミックに仕上げられたもの。世界中から集まったスタッフのホスピタリティ溢れる居心地の良さも印象に残る美食のランチタイムです。
食後はフィンランドのナショナルキャラクター、ムーミンが描かれた可愛いトラムに乗って、エストニア行きのフェリーが出る港に向かいます。フェリーといってもかなりの大型船。船内はラウンジのように設えられたソファーに座っての快適な旅。ときおりワゴンが回ってきて飲み物や軽食も買うことができるのです。
世界遺産でもあるタリンの街はこぢんまりしているので、港からタクシーをチャーターして観光スポットを2時間ほどで回ります。九州ほどの大きさのエストニアは、サイバー先進国でありながら中世の面影が残されていて、街を見下ろせる丘からは赤い屋根が印象的なまるで童話の世界のような街並みが広がります。
旧市街への入り口となる「ヴィル門」をくぐると、 14世紀に建てられた2つの石の塔の周辺に馬車や花屋が立ち並び、民族衣装を纏った売り子さんがお菓子を渡す姿はまさに中世の世界。おとぎの国へタイムスリップしたかのような風景に心が和みます。
オールインクルーシブの美食体験
クルーズ船にもどるとお待ちかねのディナータイム。この客船は世界で最もインクルーシブなラグジュアリー体験ができるクルーズのひとつであり、美食を謳うこの船にはいくつものセレクションが用意されています。
最初の夜は、ヨーロッパ料理をメインにアジアンテイストやベジタリアンメニューなど、充実したノンジャンルの食事が選べるメインダイニングのレストラン「コンパスローズ」へ向かいます。ドレスコードはそれほど厳しくありませんが、少しお洒落をしていきたいゴージャスなインテリア。窓際をリクエストして月明かりの夜の海を眺めながら、ゆったりと洋上の食事を堪能します。
このレストランでは、その日の前菜、メイン、デザートが数種用意されていて、何品でも選ぶことができます。定番メニューは、ソースや素材の組み合わせをカスタマイズできる前菜やパスタ、コンチネンタル料理を。さらにタイ風グリーンカレーやサテなどのアジアンスパイス系のメニューもあり、まさにジャンルレスの食事をいただけます。料理に合わせて白、赤、ロゼの世界の選りすぐりのワインも飲み放題。すべてクルーズ料金に含まれています。ワインラバーには、別料金でブルゴーニュの人気ドメーヌやシャンパンも用意されています。風味豊かなアルチザンチーズ、フランス産最高級小麦を使ったパンも本場の味。寄港地の食材を生かした絶品料理の数々により、他のクルーズでは経験できない極上のグルメ体験を楽しめます。
カジュアルにすませたければ、プール グリルで、地元のおいしいバーベキューや日替わりの新鮮な魚のグリルを。夜風を受けながらプールサイドでのディナーもクルーズの旅ならではです。あるいは、アラカルトメニューを豊富に取り揃え、高級イタリアワインも無料という「セッテマーリ」で本格的なイタリアンを。注文を受けてからシェフが新鮮な素材を使って作り上げる上質な料理の数々には舌鼓を打つことでしょう。
がっつり食べたい時には、アメリカで愛されているステーキハウス「プライム 7」へ。豪華な店内では、モダンにアレンジされた伝統的なステーキをいただけます。第一級の肉に現代的なアレンジを加えたステーキが味わえます。
また、洗練されたフランス料理なら「シャルトリューズ」。パリのシックな高級ダイニングレストランを思わせる風格あるインテリアのなかで、フランス料理の粋を凝らしたコースを堪能できます。
アフターディナーの楽しみ方
ディナーのあとは、多種多様なアクティビティを。本格的な劇場「コンステレーションシアター」では、プロダクションショーをはじめ、さまざまなパフォーマンスが毎日開催されているほか、船内をまわって見ると、コンサートやマジックショーなどバラエティ豊かな催し物が開催されていて、船内ホッピングも楽しい夜の過ごし方のひとつです。
なかでもクルーズらしいのが、モンテカルロスタイルのカジノで、エキサイティングなギャンブルタイム。ブラックジャック、ルーレット、ポーカー、クラップス テーブルや、目にもカラフルなスロットマシンが並んでおり、満員の盛況ぶりです。
一方、美しいインテリアでまとめられたカードルームは、思索にふけるのにふさわしい静謐さをたたえたオアシス。お気に入りのチームメイトと共にボードゲームに興じたり、一部のクルーズにあるACBLトーナメントやソーシャルゲームのブリッジにも参加可能です。
向かいのライブラリーは、世界中から集められた多数の本が並び、リラックスして読書に没頭できる静かで居心地の良い空間になっています。各地のガイドブックをはじめ、ベストセラーの推理小説や古典の名作など、たくさんの本の中から読んでみたかった一冊を見つけられるかもしれません。
クルージングの醍醐味は船上で過ごす非日常
客室にもどるとターンダウンサービスの折に、翌日の予定がびっしり書かれたアクティビティの予定表が置かれています。何時にどこで何があるのかがわかり、興味のあるアクティビティにぶらっと寄って参加することができる緩いシステムなのも嬉しいポイント。また、シェフによるクッキングスクールが予定されている日もあります。
部屋のテレビをつければ、船の中でもCNNをはじめ世界中のチャンネルを見ることができるほか、多種多様な映画も用意されており、飽きることはありません。
翌日は予約してあるエクスカーションでスウェーデン最大の島、ストックホルムから南へ200kmのバルト海の楽園「ゴットランド島(Gotland)」へ向かいます。
写真・文 山下美樹子
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