淡路島の絶景ロケーション施設で体験する、リゾート&本格リトリートプログラム
ここ数年の新型コロナウイルス感染症の影響で、不安や落ち着かない気持ちになった人も多いでしょう。少しずつ社会が動き出してきたとはいえ、仕事に追われてしまえばまたストレスフルな日々を過ごすことになります。今、自然の中で静かに自己を見つめるリトリートへの関心が高まっているのは、人々の心とカラダからのSOSかもしれません。
少しだけ日常を離れ、心身ともにリセットできるようなプログラムが体験できる施設が兵庫県の淡路島にオープン。さっそく体験してきました。
マインドフルネスを座禅リトリートで体感できる施設「禅坊 靖寧(ぜんぼうせいねい)」
2022年4月29日にオープンした「禅坊 靖寧」は、心と体のバランスを整えるプログラムが用意されているリトリート施設です。ヨガや瞑想、茶道、書道など、非日常を体験できるおしゃれな宿坊といったほうがいいかもしれません。その魅力をご紹介します。
建築物としても見応えのある外観
道路から見えるその建物は、まるで木の船が森の中に浮かんでいるよう。建築業界で最も権威のある賞のひとつ、「プリツカー賞」を受賞した坂茂(ばんしげる)氏の設計なのです。
スタッフに案内されて、チェックインする間、お茶をいただきます。ここで飲み物や料理に使われている水は、「御井の清水(おいのしみず)」と呼ばれる淡路島の湧き水で、古くは朝廷にも献上されていた軟水です。
瞑想で精神を整える
県道から見えていた船のような部分は、東経135度子午線の真上にある展望デッキでした。ここでは、ヨガで体をストレッチしたあと、瞑想を行います。360度を森に囲まれ、緑の木々を見下ろす場所で、通りぬける自然の風を感じ、鳥と虫の声に耳をすましていると、心が静かに落ち着いてきます。一人ひとりの後ろでおりんが鳴らされると、さらに深い瞑想へと誘われます。ちなみに、このおりんは人によって音色や余韻の長さが違うそうです。
書道体験のお手本は、書家・紫舟(ししゅう)さんの手によるもの。慌ただしい日常では、ゆっくりと心をこめて文字を書くことはまず無いと思うと、とても有意義な時間です。また、日本古来の宮中文化である香道※を体験できるのも貴重です。
(※香道は現在、不定期開催となっておりますので、事前に施設へご確認下さい)
キーに書かれている部屋の名前は禅語を中心とした言葉。手渡された時に、自分に出会うべくして出会った言葉だと、その意味を考えてみましょう。
大自然に包まれて眠る部屋
禅をテーマにした部屋はとってもシンプル。大きな窓から森の景色を見ながら、畳のベッドに座って、静かに流れる時間の中で内観することができます。
禅の考え方を取り入れるには掃除からと、部屋にはほうきと雑巾が置かれています。無心で掃除をすると心が鎮まるかもしれません。チェックアウト時には自分で掃除をして帰ります。
禅坊料理で身体の内から整える
禅坊料理と名付けられた料理は、小麦・砂糖・油を使わず、調味料の醤油・みりん・味噌は天然醸造のみ。身体に優しい素材にこだわっています。
淡路は御食国(みけつくに)としても知られる食の宝庫。旬の食材と人間の気のめぐりはリンクしていると考えられ、身土不二(しんどふじ/しんどふに)を実践した料理です。訪れた5月のランチメニューを紹介しましょう。
竹林が多い淡路島をイメージし、食器には竹の革や竹筒が使われています。華やかなちらし寿司のシャリは半分がこんにゃくで、酒粕の赤酢、黒米の甘酒、地元産の酢で味付けされています。右側から食べ進めると、まずおからの淡い味、次に茗荷やアスパラの酸味、そして甘辛く煮付けた椎茸と、徐々に味が強いものに変化します。
炊き合わせは昆布だしをきかせた薄味で、素材の味をダイレクトに楽しめます。こんにゃく蕎麦の山かけ。だしには乾燥舞茸とマッシュルームなどが使われ、動物性の鰹節を使わないため、ローストした松の実とクルミの粉でコクを出しているとか。
竹蒸しは、野菜の上に豆腐をのせて、昆布とポルチーニのだしに本葛粉でとろみをつけた餡がかかっていて、とても上品な味わいで、おいしくいただけます。
ちまきはアガペシュガーで甘みが添えられたもの。最後は、キウィフルーツの自家製甘酒と香ばしいほうじ茶ですっきりと締めます。料理はどれも本当においしく、食事をとる場所は、展望テラスでも自室でも、館内ならどこでも自由に選べるのもうれしいですね。
禅などのアクティビティで心を整え、身体にやさしい健康的な料理でカラダのバランスを整える、特別な時間を定期的に持ちたくなるスポットです。
■禅坊 靖寧(ぜんぼう せいねい)
住所:兵庫県淡路市楠本字場中2594-5
TEL:090-7801-4063
URL:https://www.zenbo-seinei.com/
発酵美臓リトリートで身体も心も整える、ホリスティックウェルネスホテル「望楼 青海波(ぼうろう せいかいは)」
淡路島の最北端、明石海峡が目の前に広がる絶景の地に、2022年3月10日にオープンした「望楼 青海波」は、身体の免疫力向上を目指す「発酵美臓スペシャルリトリートプログラム」が体験できるホリスティックウェルネスホテルです。
ホリスティックとは、ライフスタイルを改善することで、自然治癒力を高め人間が本来持つ免疫力を最大限に引き出し、健康な身体を維持することを意味します。このホテルでプログラムを体験することで、普段の食生活や入浴の仕方を見直し、適度な運動習慣を定着させるきっかけになることを目的としています。
1泊2日から利用できる通常宿泊プランの「発酵美臓プログラム」と、2ヶ月に一度行われる3泊4日または5泊6日コースの「発酵美臓スペシャルリトリートプログラム」があり、ご自身の目的やスケジュールに合わせたプランを選択できるようになっています。そのプログラムの一部をご紹介します。
プログラムの始まりは丁寧なボディチェックとコンサルテーションで
チェックインは15時から。到着すると、まずは3階まで吹き抜けの明るいロビーで、ウェルカムドリンクのフルーツ甘酒をいただきながら、プログラムの内容とスケジュールについて説明を受けます。
プログラムは、インボディ測定器による身体の基礎データを測定することから始まります。測定されたデータを基に、東洋鍼灸師による問診・望診チェックの後、オンラインで医師のウェルネスコンサルテーションが行われ、健康状態の確認と、体質に合わせた具体的なアドバイスを受けることができます。
広々とした天然ラドン温泉で身体の疲れを癒す
1日目は、夕食までの時間がゆったりと取られていて、体調に合わせた入浴のアドバイスに沿って、天然ラドン温泉に入ることで、自律神経系の調整、免疫機能の改善など湯治効果が期待できます。
温泉の大きな窓の外には、播磨灘の美しい海が広がっています。男性の大浴場には、露天風呂もあり、まさに海と一体になったような開放感を味わうことができます。女性はパウダールームもおしゃれで広く、とても充実しています。湯上りの身体をゆっくりと休めましょう。
美臓を促す発酵づくしの食事タイム
食事はすべて、発酵料理人の伏木暢顕(ふしきのぶあき)シェフが淡路産の食材を使用し、腕を振るった発酵料理。このプログラムの一番の目的ともいえる「発酵料理による美臓促進」です。食事の順番、食べ方、料理内容について毎食前に、伏木シェフの説明を聞いてからいただきます。
この日のメニューは、旬の食材ばかりを使った「焼き八寸」と、普段なかなか手に入らない珍しいキノコを含む10種類のキノコを使った「茸の鍋」。キノコづくしの鍋は、体内の毒素を排出し、滋養を促進して腸内環境を美しく整えてくれるそうです。
食事はとにかくよく噛んで、ゆっくり時間をかけて食べることを勧められます。ゆっくり噛むことで唾液の分泌を促し、酵素の働きで消化を助け、急な血糖値の上昇が抑えられるそう。ここで食事の仕方を改めて学ぶことにより、普段の食習慣を見直すことができます。
食後にはデザートもあり、パイン甘酒とサイリウム(オオバコ)のゼリーが提供されました。全てに発酵食品が使用されています。
食事の後のレクチャータイム
食事が終わると、東洋鍼灸師の先生による東洋医学に基づいた五臓六腑の働きに関するレクチャーが行われます。中国古代哲学の陰陽説の概念と臓腑を木火土金水に分類する五行理論の相生(そうせい)と相剋(そうこく)の関係を学びます。
陰陽チェック、気血水チェック、五行チェックという3種類のチェックリストで自分の今の体の状態を知り、悪いところがあれば、改善するための方法について知ることができます。このレクチャーを受けることで、日常的に健康を維持するためのポイントを学ぶことができるのです。
レクチャーの後は、完全フリータイムです。もう一度ラドン温泉に入ったり、部屋でゆっくり過ごしましょう。このホテルは全室オーシャンビューで洋室と和室の部屋が用意されています。室内は、とても豪華で落ち着ける設えです。
2日目以降は少しアクティブに
2日目は、朝食前にプログラムがスタートします。すぐ目の前のビーチを歩きながら、朝の爽やかな潮の香りを受け、ストレッチウォーキングで少しずつ身体を目覚めさせていきます。余裕のある方は、広い敷地内の芝生広場で、パワーストレッチにも参加できます。
朝食は、発酵食で免疫力を高めるメニューになっています。この日は、豆味噌の納豆汁、浅漬けの野菜が入った乳酸菌サラダ、そして、淡路産食材ばかりで作られた発酵おばんざいとお粥です。胃腸に優しく腸内環境をしっかりと整えてくれます。
食後は、伏木シェフの「醸せ人(かもせびと)」講座。日本の発酵食文化伝承人としてメディアでも「発酵王子」と引っ張りだこの先生から、発酵に関すること、体内酵素の働きや消化などについて、滞在期間中に4回講座が開催され、詳しく教わることができる内容になっています。講座の中では、食材の漬け方や調理法も学べます。
身体メンテナンスとアクティビティ体験を
2日目からは、身体のメンテナンスや身体を動かす楽しいアクティビティも用意されていますので、一部をご紹介します。
身体のメンテナンスプログラムとして、経絡(けいらく)トリートメントのマッサージが受けられます。セラピストによる問診チェックを受け、改善が必要な身体の箇所や状態に合わせて、漢方オイルや淡路島で作られるハーブオイルの中から、3種類のオイルが選ばれ、全身をトリートメントしていただきます。オイルの華やかな香りに包まれながら、心身ともに癒される至福の時間です。
また、東洋鍼灸師による鍼灸のメンテナンスも受けることができます。
アクティビティとしては、美しいサラブレッドに乗れる乗馬体験や、季節によって様々な花が咲き誇る「あわじ花さじき」を乗馬散歩する体験、森林トレッキングなどの楽しいメニューが用意されています。
フリータイムも愉しんで
プログラム期間中、フリータイムも充実した時間を過ごせるよう、ホテル内には明るく落ち着ける読書コーナーや海の風を感じながら仕事ができるテラス席など、あちらこちらにワーケーション用のデスクやソファが設置されています。
コーヒーや薬草茶、健康茶などが自由にいただけるという嬉しいサービスも用意されています。
また、トレーニングジムやシアタールームなども完備されています。時間を有効に使いましょう。
ホテル中に飾られた絵画は、「アート村」という事業に所属する障害者アーティストの方々の作品です。楽しく美しい作品があちらこちらに。心もリトリートいたしましょう。
非日常のリトリート体験。美臓と健康な身体、そして美肌を取り戻すきっかけづくりにしてみてはいかがでしょうか。
■ホリスティックウェルネスホテル 望楼 青海波(ぼうろう せいかいは)
住所:兵庫県淡路市岩屋1833-4
TEL:050-3684-4838
チェックイン: 15時~ /チェックアウト ~11時
URL:https://www.bourou-seikaiha.jp/