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乗馬における基本的な馬具と裏方のご紹介

乗馬における基本的な馬具と裏方のご紹介

いつかは馬の背中に乗ってみたいと思っている5つ星Magazineの読者のみなさまへ。

多くの方が、馬を操るためのヒモである「手綱(たづな)」や、その背中に置かれた「鞍(くら)」は知っていても、その他の馬具については、何となくイメージできるだけで、その名称や役割はご存知ないのではないでしょうか。

本記事では、乗馬する前に知っておきたい、基本的な馬具についてわかりやすくご紹介します。

乗馬における馬装の順序

快適安全に馬に乗るためには、鞍をはじめとするいくつかの馬具が必要不可欠です。

そこで、馬装(馬に乗るための支度)を疑似体験しながら、必要な道具を順を追ってご紹介していきます。

  1. 厩舎から、『無口』※1をつけた馬を『曳き手』※2で曳いてきて、二本の支柱に馬をつなぐ。
  2. 馬体を簡単に手入れしたら、『鞍敷』※3を馬の背中に敷く。
  3. 鞍敷の上に『鞍』※4を乗せ、『腹帯』※5で固定尾する。
  4. 無口を外して、馬の顔を片手で押さえながら『頭絡』※6を頭に被せ、『ハミ』※7を噛ませる。
  5. 『手綱』※8を曳いて、馬を踏み台の場所までエスコート。
  6. 『鐙』※9を降ろし騎乗。
  7. 馬を歩かせながら、『鐙革』※10の長さや腹帯のきつさを調整。

※1『無口(むくち)』
馬を移動させる際などに用いる、ハミのついていない簡易式頭絡。イメージ的には犬の散歩に使うハーネスを馬の顔面に装着させる感じです。

※2『曳き手(ひきて)』
通常『無口』とセットで使用。『曳き手』の片端についている金具と『無口』の口にあたる部分を繋ぎ、馬を曳いて移動させます。馬装や手入れや待機時に、馬が動かないように支柱のリングに特殊な結び方で括ります。

※3『鞍敷(くらしき)』
馬の背中は一般に思われているよりもデリケートです。直接鞍を置くような乱暴な扱いをすれば、すぐに背中の皮膚を傷めてしまうでしょう。必ず厚手の毛布、または専用の鞍敷を鞍の下に敷きます。馬によっては、さらにゲルマットやスポンジを鞍敷と鞍の間に入れることも。

※4『鞍(くら)』
乗馬の際、人間が安定して座っているための座席。材質は革。ブリティッシュスタイルには馬場・障害・総合と三種の鞍があります。馬場鞍がシッカリ座ることに適した平たい形であるのに対し、障害鞍は前傾姿勢が取りやすいようにカーブし後ろが持ち上がった形です。

※5『腹帯(はらおび)』
鞍を馬の身体に真っ直ぐ固定するための帯。材質は布または皮。締めるためのベルト部分が、片側だけゴムになっているものが使いやすいです。馬装時には鞍が回らない程度に締めておき、少し歩かせてからゴム側の右だけ腹帯を締めるようにします。この作業は、騎乗したまま自分で行えなくてはいけません。

※6『頭絡(とうらく)』
手綱やハミと連結した馬の頭に被せるハーネス。顎下は拳一つ分、鼻下は指が数本入るくらいの余裕を持たせてベルトを締めます。

※7『ハミ』
馬の口に噛ませるというよりは、馬の舌の上に設置して操作指示を出す道具。材質は金属・プラスティック。形状は真ん中がくびれて連結された一般的なものから、真っ直ぐな棒タイプ、チェーンなどさまざま。頭絡、手綱と連結されています。

※8『手綱(たづな)』
馬に指示を出し首の屈曲を維持させるための大切なハンドル。材質は布。ウェスタンでは重い革手綱が正式。

※9『鐙(あぶみ)』
馬に跨った際、爪先をかけて下半身を安定させるための道具。鐙なしでも通常の馬場運動くらいはこなせるようになるべきですが、体幹がしっかりしていないと困難です。鐙の発明は馬術の歴史に革命を起こしたと言われています。

※10『鐙革(あぶみかわ)』
鐙を鞍と連結させている革紐。通常鐙は鐙革によって鞍とワンセットになっていますが、鐙の泥汚れを落としたい時などは鐙革を外せば丸洗いできます。乗り手の足の長さに合わせて長さを調節。馬場馬術では長く、障害では短くして使うのが一般的です。

 

馬のひづめを守る「装蹄(そうてい)」の基礎知識

装蹄って何?

『装蹄(そうてい)』という言葉は、日常的にはまず使いませんし、馬に興味がない方は聞いたことがない言葉かもしれません。

これは一言で言うと、『馬の爪【=蹄(ひづめ)】を削り、靴をはかせる【=蹄鉄(ていてつ)を特殊な釘で打ち付ける】作業』です。

装蹄は通常、資格を持つプロの装蹄師が行います。装蹄の仕事は一見そんなに難しくなさそうですが、実際には1頭ごとに異なる形状の蹄を個性に合わせてケアするため、素人が見様見真似でできるものではありません。

装蹄には馬の肉体を生物学的・運動力学的に十分理解した上で、熟練の鍛冶職人の繊細な技術が求められるのです。

装蹄師の資格は国家資格ではなく民間資格であるため、仮に無資格で仕事をしても違法にはなりません。しかし、現実的に考えて無資格の『自称装蹄師』に、自分の大切な馬を任せる馬主はいないでしょう。

 

装蹄の必要性

なぜ、馬の蹄にわざわざ鉄の靴を打ち付けなければならないのか?野生の馬たちは、そんなものをつけなくても問題なく暮らしているじゃない。そうした疑問を持たれる方も多いことでしょう。

そこにはもちろん明確な理由があります。

馬の蹄は平均一カ月に8㎜~1㎝伸びるのですが、野生馬の場合は伸びるペースと自然に摩耗するペースが均衡するので問題ありません。しかし、私たち人間が騎乗する乗用馬や競走馬は事情が異なります。

騎手の体重+馬具の重量を背負い、自然ではありえないほど、時に過酷な運動を強いられるため、爪が摩耗するペースに伸びるペースが追いつかないのです。

これを放置すれば、やがては爪が擦り減って神経が露出し、痛みで走るどころではなくなります。

 

装蹄の手順

1 蹄鉄を外す
特殊な釘でしっかと打ち付けられた古い蹄鉄を、ペンチ状の器具で蹄を傷めないよう丁寧に外します。

2 削蹄(さくてい)
伸びた蹄を鎌状の器具で削ったり、ペンチ型爪切りで切ったり、やすりで削ったりします。ただ伸びた分だけまっすぐに切れば良いといった単純作業ではありません。馬の歩き方・体のバランス・癖などを考慮し、より良いバランスで走れるよう調整するのが装蹄師の腕の見せ所です。

3 蹄鉄の作成
既成の蹄鉄を熱して蹄に合わせることもあれば、鉄棹(てっかん)から作ることもあります。ここは完全に鍛冶屋の仕事です。

4 打ち付け(装蹄)
熱いままの蹄鉄を蹄に押し付け、特殊な釘で蹄に打ち付けます。抜けないように傾きをつけて打つにも技術と経験が必要です。

 

装蹄・蹄鉄の種類

装蹄には熱装装蹄と冷装装蹄の二種類があります。一般的なのは熱装装蹄で、先に《装蹄の手順》でご説明したのはこちらの手法です。

一方の冷装装蹄は、競走馬にアルミニウム製の兼用鉄を履かせる際に用いられる技法です。鉄製蹄鉄と異なり、熱することなく形を整えるため冷装と呼ばれます。

いずれの場合も定期的な交換が必要で、目安は以下です。

  • 乗用馬・競技馬:1~1カ月半
  • 中央の競走馬:2週間
  • 地方の競走馬:2~3週間

もちろん蹄鉄の傷みが激しかったり蹄のバランスが悪かったりすれば、より短期間での交換となります。馬にとって下手な装蹄をされることは、ひどく不幸なことです。

彼らは履かされた靴が気に入らなくても、自らの意思で脱いだり履き替えたりできないのです。

 

装蹄料の気になるお金の話

まず、1頭あたりの装蹄料についてです。履かせる蹄鉄の種類や依頼する装蹄師のレベルにもよりますが、1,2000~1,4000円。削蹄のみの場合は、4,000~6,000円。

次に、装蹄のプロである装蹄師の年収についてです。

これまたピンキリで平均を出すことに意味があるのか微妙なところですが、新人は年収200万ほどで、サラリーマンと大差ありません。

とにかく経験と技術がモノを言う仕事なので、それらを積めば独立して年収1,000万円超えも夢ではないようです。ただし、装蹄師には三段階の資格があり、最高位の指導級認定装蹄師を取るには最短で15年かかります。

さらに、装蹄師学校に行くためには、受験料・受講料・講習実費・寮管理費・寮費などで260万円以上が必要です。

金銭目的だけで就くには、割に合わない仕事かと思われます。

 

最後に…

ここまでの長文をお読み下さり、ありがとうございます。

装蹄という言葉は知っていても、行う理由やそれにまつわるお金の話は初めて知ったという方も多かったのではないでしょうか。ひとことで『装蹄』といっても、かなり奥深い世界のようですね。

以上、『乗馬における基本的な馬具と裏方のご紹介』でした。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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