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その癒し、5つ星級。人生を変える会員制リゾート

バレエの楽しみ方 ~大人だからこそ、楽しめるバレエ~

バレエの楽しみ方 ~大人だからこそ、楽しめるバレエ~

健康ブームの昨今、「子供のころ習ってみたかったけれど出来なかった」、「体型維持とアンチエイジングのために始めてみたい」、「体を柔軟にして体幹も鍛えたい」という大人の方向けのバレエ教室が続々と増え続け、加えて芸術作品として鑑賞するバレエへの関心も高まりつつあります。

人生経験を重ねた大人だからこそ心に深く沁み入る──身体の動きだけで表現するバレエは、言葉の壁なく世界中どこでも楽しめます。今回は、観ることに視点を置いた、大人だからこそのバレエの楽しみ方を舞踊ジャーナリストの菘(すずな)あつこさんにお教えいただきます。

(トップ写真/写真提供:HM2019-SleepingBeauty/英国ロイヤル・バレエ団「眠れる森の美女」より主役のオーロラ姫を踊る金子扶生/映画館で楽しめる「英国ロイヤル・オペラ・ハウス シネマシーズン」/5月 8日~14日、TOHOシネマズ系列の全国の映画館で上映予定)

菘 あつこ(すずな あつこ) プロフィール

菘 あつこ(すずな あつこ) プロフィール

舞踊ジャーナリスト

朝日新聞、神戸新聞、SWAN MAGAZINE(平凡社)、オン★ステージ新聞、関西音楽新聞、チャコットweb.マガジンDANCE CUBE等に舞踊評やバレエ・ダンス関連記事を執筆。

朝日新聞デジタル「論座」等に、社会・文化に関する記事を執筆。文化庁の各事業(芸術祭、芸術選奨、アートマネージメント重点支援事業、優れた劇場・音楽堂からの創造発信事業、文化芸術による子供の育成事業等)、日本芸術文化振興会など行政の専門委員や講師も歴任。京都バレエ専門学校「バレエ史」講師。

著書に「ココロとカラダに効くバレエ」(西日本出版社)。

大人が楽しむバレエとは

ポーランド国立バレエ団/ジョン・ノイマイヤー振付「椿姫」/海老原由佳&パトリック・ワルチャック(写真提供:©︎EWA KRASUCKA)

今、日本国内でも大人が楽しめる芸術性の高い深みのあるバレエ演目の上演が増えて来ましたが、一昔前までは、“バレエ”というと「娘が子供の頃習っていた」など、“お嬢様のお稽古ごと”というイメージが強かったかもしれません。そのせいか、つい最近まで日本では、子供も楽しめるような童話を題材にした演目の上演がほとんどでした。もちろん、それもバレエの魅力の一つなのですが、それはほんの一端です。

世界には、人生経験を重ねた大人だからこそ楽しめるバレエ作品が数多くあり、バレエ発祥の地であるヨーロッパでは“大人の楽しみ”であることは間違いありません。特に20世紀以降、大人が楽しめる深みのあるストーリー・バレエや、哲学的な思索にふけるきっかけとなるコンテンポラリー作品が数多く創られるようになってきました。

ヨーロッパの由緒ある劇場は建築物としても素晴らしく、人々はドレスアップして出かけます。上質の舞台を鑑賞し、幕間にはシャンパーニュやワインなどを飲み、見た目も美しい軽食をつまみながら、会話に華を咲かせる──そんな楽しみにお誘いすべく、バレエのあれこれをご紹介させていただきたいと思います。

バレエの発祥とその歴史

貞松・浜田バレエ団「白鳥の湖」より/オデット&王子は上山榛名&水城卓哉(写真提供:©️テス大阪)

バレエ発祥の地

バレエの発祥は、ルネサンス期のイタリアと言われています。1463年のイタリアの文献、グルエルモ・エブレオの「舞踊芸術論」に“BALLETTO”という言葉が初めて登場。この頃のイタリアは、富が蓄積されて王侯貴族の館で豪奢なパーティーが毎夜のように行われていました。時には、夜から朝にかけて10時間ものパーティーが行われ、踊られる演目に合わせて料理が饗されたとも伝えられます。例えば、ギリシャ神話のアクティオンが猪を射る踊りの後には、猪料理が饗される……そんなパーティー、現代でも行われると楽しいかもしれませんね。

バレエはフランスへ

そうして誕生したバレエが、1533年、フィレンチェ、メディチ家の娘カトリーヌ・ド・メディシスがフランス王アンリ2世のもとにお嫁入りすることによってフランスに伝わります。彼女はバレエの演出家を伴って嫁いだのです。これにより、フランスの宮廷でもバレエが盛んになっていきました。

ルイ14世とバレエの変遷

そして、ルイ14世の時代に大きな発展を遂げます。自らもバレエが大好きで“太陽王”の役を踊ったことなどが伝えられる王は、世界最初のバレエの研究機関と言える「王立舞踊アカデミー」を1661年に設立。この中心人物だった舞踊教師ピエール・ボーシャンが、今もバレエの基本形である“5つの足のポジション”などを体系化しました。
その後、ルイ14世がバレエを踊ることから引退すると、次第にバレエは貴族が踊るものから職業舞踊家=プロダンサーが踊るものへと変化し、1713年、世界で初めてのバレエ学校が設立されます。これが現在のパリ・オペラ座バレエ学校に発展していくわけです。

19世紀以降のフランス・バレエ

19世紀に入ると、文学・芸術ともにロマン派が広がり、白い釣り鐘形のスカートの衣装=ロマンティックチュチュを身につけて、どこまでも天に近づくようにトゥ・シューズでつま先立ちし、妖精や精霊を演じる「ラ・シルフィード」や「ジゼル」が創られ、フランス・バレエは最初の最盛期を迎えました。
ですが、その後、フランス・バレエは力を失い、バレエの中心はロシアに移って行きます。

さらなるバレエの発展へ

ロシア帝政が芸術を保護する中、フランス人のバレエ専門家が次々とロシアに渡ります。早くから西欧文化を受け入れるなど、芸術の都として発展していたサンクトペテルブルクのマリインスキー劇場で、19世紀後半、バレエは大きく花開いていきました。中でも、フランスから渡ったマリウス・プティパは早くから振付への意欲を積極的に見せ、ロシアの大作曲家チャイコフスキーの音楽で、1890年「眠れる森の美女」を世に出し大絶賛を受け、1892年には「くるみ割り人形」を、そして、1877年にモスクワで初演されたものの幻になっていたチャイコフスキー作曲の「白鳥の湖」の楽譜を取り寄せて、弟子のレフ・イワノフとともに振付、現代に伝わる不朽の名作に仕上げ、1895年に発表しました。

総合芸術としてバレエが世界へ

そんなロシアのバレエはその後、1909年に旗揚げしたセルゲイ・ディアギレフ率いる“バレエ・リュス(ロシア・バレエ団)”によって、革新的な表現とともに、パリに、ヨーロッパ全域に、世界へと広がっていきます。バレエは踊りだけのものではなく総合芸術──ピカソやバクストの舞台美術、ストラヴィンスキーやエリック・サティの音楽、ココ・シャネルの衣装──そこに鍛え上げられたニジンスキーをはじめとしたダンサー達……。

ディアギレフ亡き後のバレエ・リュス・ド・モンテカルロは、アメリカ大陸を周り、アメリカにもバレエを根付かせて行きます。
アメリカにバレエが伝わるのとほぼ同じ頃、大正時代の日本にもバレエが伝わり、知識人を中心にその魅力に取りつかれる人が増えていきました。
そして──20世紀以降も、さらに芸術性を高めながら、進化したバレエ演目が次々と創られてきました。

おすすめの演目ベスト3

英国ロイヤル・バレエ団「眠れる森の美女」より (©2017 ROH_PHOTOGRAPHED BY BILL COOPER)/映画館で楽しめる「英国ロイヤル・オペラ・ハウス シネマシーズン」。/5月 8日~14日、TOHOシネマズ系列の全国の映画館で上映予定(写真提供:HM2019-SleepingBeauty)

ワシントン・バレエ団/イリ・キリアン「小さな死(Petit Mort)」/木村綾乃&アンディーレ・ヌドルフ

では、20世紀以降に創られた大人が楽しめる演目から、ベスト3をピックアップしてご紹介いたします。

◇「オネーギン」

振付:ジョン・クランコ
初演:1965年、シュツットガルト・バレエ

ロシアの国民的詩人アレクサンドル・プーシキンの韻文小説をもとにしたバレエです。
本好きの少女タチヤーナは都会育ちの洗練された青年オネーギンに憧れ恋文をしたた めますが、厭世的な彼は残酷にも目の前でそれをやぶいて拒絶します。
数年後、将軍の妻となったタチヤーナの気高い美しさに心奪われたオネーギンは熱烈に求愛。ですが、恋心は胸の奥に残っているものの将軍の妻としての矜持を失わないタチヤーナは、その手紙をやぶき拒絶するのです。

◇「椿姫」

振付:ジョン・ノイマイヤー
初演:1978年、ハンブルク・バレエ

アレクサンドル・デュマ・フィスによる小説をもとにしたバレエ。オペラではヴェルディの音楽で知られますが、このノイマイヤー振付のバレエは、ショパンのピアノ曲に乗せて紡がれています。

美しい高級娼婦マルグリットは、胸を病みながらも華やかな生活を送っています。そんな彼女に恋をした若いアルマン。身体のためにと田舎暮らしを提案。二人はつかの間の穏やかな暮らしを送りますが、アルマンの父親が妹の結婚に兄が娼婦と暮らしていることが妨げになる、別れて欲しいと懇願。受け入れたマルグリットは去るのですが……
それを裏切りととるアルマン。マルグリットの病は進行し……。

◇「小さな死(Petit Mort)」

振付:イリ・キリアン
初演:1991年、ネザーランド・ダンス・シアター(NDT)

モーツァルトのピアノ協奏曲第23番と第21番に乗せて男女の愛が優しいトーンで描かれるバレエ。“小さな死”が何を意味するかは、大人の皆さんならご存じのことでしょう。
明確なストーリーに沿うわけではなく、言葉がないからこそ、心に直接響かせるような──観るものを思索に誘ってくれるような現代作品です。

世界の代表的な劇場、バレエ団

ワシントン・バレエ団の劇場内

パリ・オペラ座バレエ団で活躍するオニール八菜

次に、世界を代表する劇場とバレエ団をご紹介いたします。

◇パリ・オペラ座バレエ団(フランス)

歴史でも触れた世界最高峰のバレエ団で拠点の劇場は2つ。パリの中心地に19世紀に造られた、メトロのオペラ駅すぐの“ガルニエ宮”と、最新式の舞台機構を備えたバスティーユ駅そばの“オペラ・バスティーユ”があります。歴史あるガルニエ宮は、建物に身を置くだけでも幸せな気分になるところです。

近年、舞台機構の使いやすさから古典演目がバスティーユで、簡素な装置の現代演目がガルニエ宮で、ということが多く、雰囲気としては逆かと感じながら鑑賞することも多くなっています。

パリ・オペラ座バレエ団  https://www.operadeparis.fr/en/artists/ballet

◇マリインスキー・バレエ(ロシア)

サンクトペテルブルク(ソ連時代のレニングラード)にあるマリイスンスキー劇場(ソ連時代はキーロフ劇場と呼ばれました)を拠点とするバレエ団。ロシアでは、モスクワのボリショイ劇場も有名で実力ある存在ですが、文化の都を拠点とするこの劇場は、チャイコフスキーの3大バレエ、「白鳥の湖」、「眠れる森の美女」、「くるみ割り人形」を生み出すなど、バレエを語る上で外すことのできない劇場です。

ソ連時代には外国人がプリンシパルになることなど、ほとんど考えられない状況でしたが、現在は、実力あるダンサーを海外からも受け入れる体制に。日本人の永久メイも、入団間もないころから主役の機会を得るなどしています。

マリインスキー・バレエ  https://www.mariinsky.ru/en/company/ballet/soloists

◇英国ロイヤル・バレエ団(イギリス)

ロンドンのコヴェント・ガーデン駅そばにあります。 “コヴェント・ガーデン”というと、この劇場を指す場合も。第2次世界大戦後、フレデリック・アシュトン、ケネス・マクミランといった振付家が、現代に残る名作の数々を創りました。

近年、日本人のプリンシパルが続々と現れていることも注目です。既にロンドンを離れて日本で活躍している吉田都、熊川哲也をはじめ、現在、平野亮一、高田茜がプリンシパル。怪我を克服し、最近、主役を重ねる金子扶生にも注目したいところです。

英国ロイヤル・バレエ団  https://www.roh.org.uk/about/the-royal-ballet

他にも、ヨーロッパを中心に世界中に素晴らしい劇場、バレエ団があり、最近では、日本人ダンサーの活躍も珍しくありません。

現在のトピック

ワシントン・バレエ団/ジョン・クランコ振付『ロミオとジュリエット』/木村綾乃&ジョナサン・ジョーダン(写真提供:@gdelellio.pic)

このマガジンがアップする頃、新型コロナウィルスは収束に向かっているでしょうか? この20202月の終わりから、3月、4月と、新型コロナウィルス感染拡大のため、世界中の劇場がクローズし、ダンサー達は自宅待機を余儀なくされています。

そんな中、普段、観ることのできない舞台映像が期間限定で、各バレエ団のホームページでアップされることが増えています。この機会に、世界を代表するバレエ団の動画をご自宅で観て、その魅力に触れてみるのも良いのではないでしょうか?

とはいえ、もちろん、バレエは生で観てこそ空気感が伝わる舞台芸術です。コロナが収束したら、ぜひ、劇場にお出かけを。

日本でバレエを観賞される方へ

ちなみに、海外に行かなくても、日本国内、身近にも良いバレエ団はあります。「どこのバレエ団が良いのか、よく分からない」という方のための目安として、まずは、プロのバレエ団だけが加盟する「日本バレエ団連盟」所属の団体から観て行かれるのも良いかと思います。大人のバレエをお楽しみください。

日本バレエ団連盟  https://japan-ballet.com

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