初めての盆栽の育て方 10のポイント
優雅な趣味、盆栽をこれから始めようと思っている5つ星Magazineの読者様へ。
盆栽の楽しみとは、自然と触れ合うことそのもの。美しく育ったり、悲しくも枯れてしまうこともあります。
本記事では、盆栽をこれから始める方に向けて育成方法をご紹介します。
ポイント1
盆栽を育てるねらい
盆栽は単なる鉢植えの植物ではありません。
盆栽の目的は「宇宙」と例えられるような深遠な広がりを表現するところにあります。
鉢と植物という限られた空間で深い奥行きを表現する必要があるため、ただ植物を植えただけでは盆栽として面白味に欠ける作品になりがちです。
盆栽の奥行きには、精神的な意味も含まれます。
盆栽とはそれぞれの鉢ごとに一つの世界が作られていることが望ましく、鉢ごとの世界はそれぞれの作者の心の反映でもあります。
深い精神的な世界を感じ取れる点が盆栽の世界的な人気の理由でもあるわけです。
ポイント2
木の種類
盆栽に使われる木のカテゴリーはぜひ覚えておきましょう。盆栽に使われる木の種類は大きく分けて
- 松柏類(しょうはくるい)
- 雑木類(ぞうきるい)
の2種類があります。
松柏類とは松および柏のこと、雑木類とは松柏類以外の木のことです。
雑木類はさらに紅葉物(こうようもの)、花物(はなもの)、実物(みもの)に分けられます。
紅葉物とはモミジやカエデのように葉が色づく木、花物とは梅や木瓜(ぼけ)のように花を見て楽しむ木、実物とは柿や花梨(かりん)のように実をつける木のことです。
近年では木以外の盆栽も楽しまれるようになってきていますが、伝統的なテーマとして木の盆栽も高い人気を保っています。
ポイント3
水と肥料のやり方
水と肥料の正しいあげ方を覚えておけば、盆栽がより美しく育ちます。
水加減は難しいため、盆栽の具合を見ながらあげることが重要です。
少なすぎれば盆栽が枯れますし、かといってあげ過ぎれば根腐れの原因となります。
土の表面を指で触ってみて、乾いているようなら水をあげるようにしましょう。
また、夏は水分が太陽熱でお湯になることを防ぐために、早朝に水をあげる必要があります。
冬は植物の生命活動も鈍くなり水もあまりいらなくなるため、あげすぎによる根腐れに注意しましょう。
肥料は月に1度か2度上げるくらいで十分です。
伝統的な肥料としては油かすなどがありますが、近年では盆栽専用の肥料なども売られており便利です。
それぞれの肥料の説明書通りに施肥しましょう。
ポイント4
整枝
ピンセットやはさみ、針金などを使って樹形を整えることを整枝(せいし)と言います。
整枝では、ピンセットは余分な芽をつむために、はさみは余分な葉や枝を切り落とすために、針金は木をたわめて特殊な樹形を作り出すために使われます。
松などを使った盆栽では、木が斜め上に向かって流れている斜幹(しゃかん)という形のものがよくありますが、これは整枝の技法を使って作られます。
整枝は木の性質や健康状況などを見ながら行い、無駄な部分や見苦しい部分を取り除きます。
ポイント5
置き場所
盆栽は基本的に屋外に置いた方が望ましいとされています。
その理由は、屋外の方が植物にとってちょうど良い日当たりや風通しを得やすいためです。
盆栽は1日の半分程度は太陽光を浴びさせることが望ましく、風通しが適度にあったほうが病害虫を防ぎやすいのです。
屋内で同じ条件を実現させようとすると、余分な手間や設備が必要になってしまうでしょう。
もちろん、夏場は太陽光が当たりすぎないよう注意したり、天候が荒れている時は室内に取り入れるといった工夫は必要です。
盆栽と自然をうまく付き合わせながら、健康に育つよう配慮してみてください。
ポイント6
好きな木を育てる
盆栽を始めるにあたっては、まず最初に育てる木を選ぶ必要があります。
もしあなたに何か好きな木があるなら、その木を育ててみることをおすすめします。
後述するように、盆栽で育てる木には育てやすいものと多少難しいものが存在します。
しかし、自分の好きな木ならば少々育てづらくても世話ができるため、 苦になりません。
成長を心待ちにできれば、途中で盆栽に飽きてしまうこともないでしょう。
育ててみたい木があるなら、思い切ってチャレンジしてみてください。
ポイント7
なるべく安価に
盆栽を始める時には苗木や道具を安く揃えましょう。
最初にあまり元手をかけすぎると気負ってしまい、プレッシャーから趣味が続かなくなりがちです。
基本的に盆栽は植物と土、そして鉢植えがあれば最低限始められます。
はさみや針金といった整枝のための道具は後から買い足すこともできるため、最低限の道具でとりあえずは始めてみましょう。
ポイント8
ポピュラーな樹種を
最初に盆栽を始める時には、なるべくポピュラーな樹種を選ぶと育てやすいです。
盆栽に使われることが多い樹種では、黒松、杉、モミジ、梅などがあります。
盆栽でよく使われる樹種は扱っているお店も多く、そのぶん安価に買えるものも多いです。
加えて、育てている人も多いため、分からないことがあった時にも答えを得やすいでしょう。
ポピュラーな樹種の中でも初めての人におすすめの種類は松です。
松は立派な姿をしており見映えもしやすい他、樹液を分泌するため剪定しても弱りにくいという特徴があるためです。
迷うことがあればとりあえず松から始めてみましょう。
ポイント9
手間のかからないものを
盆栽を始めたくても途中で飽きそうな時は、手間のかからない樹種から始める方法もあります。
例えば、サボテンなどの多肉植物を使った盆栽も人気のある分野です。
サボテンなどの多肉植物はもともと過酷な環境で育っていたので、環境の変化にも強く乾燥への耐性も強いです。
他には、苔を育てる苔盆栽も基本的に水を絶やさなければいいだけなので、楽です。
最近では、机の上でも育てられるミニ盆栽なども出てきており、手間のかからない盆栽を始める環境は整っていると言えます。
ポイント10
良い品質のものを
盆栽の苗を買う時には、なるべく良い品質のものを選びましょう。
良い盆栽とは、枝ぶりや葉の色も良く、見ていて元気な様子が感じられるものです。
盆栽の苗はなるべくなら園芸専門店で購入してください。ホームセンターで購入した苗から盆栽を始めても良いのですが、ホームセンターは店員の方が忙しく世話が行き届いていない場合も多くあります。
また、園芸専門店なら育てる上での疑問にも答えてくれる場合が多いです。
最後に…
ここまでの長文をお読み下さり、ありがとうございます。
お好みの樹木がある場合は、ぜひその樹木をファースト盆栽に選んで愛情をかけて育てましょうね。
特にお好みの樹木がない場合には、まずはベーシックで育てやすい樹木を選ぶことがポイントのようですね。ついつい力んでしまいがちですが、気軽な気持ちで盆栽を始めてみましょう。
以上、『初めての盆栽の育て方10のポイント』でした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。