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ビル・ゲイツが落札した28億円以上の価値ある書物とは? 世界の希少な本のお話。

ビル・ゲイツが落札した28億円以上の価値ある書物とは? 世界の希少な本のお話。

史上最古の書物と考えられているのは、粘土板にくさび文字で書かれた記録で、その内容は、ロマンティックな物語でも冒険譚でもなく、行政上の記録だったそうです。5000年前のメソポタミア文明のもので、保管のための図書館もチグリス川とユーフラテス川の間に存在したといわれています。

粘土板だった書物がパピルス、紙、そして現代では電子書籍としてデータ化され、スマートフォン上で楽しめるように進化しています。それでも、本というスタイルがなくならないのは、そこに書かれた内容だけでなく。美しい装丁、それぞれの紙の独特の感触や匂い…。そんな本が持つ不思議で尽きない魅力があるからです。

図書館は宇宙、書物は天球。

架空の図書館を語る短編小説「バベルの図書館」で、著者のホルヘ・ルイス・ボルヘスは、図書館のことを宇宙と呼んでいます。図書館が宇宙なら、そこにある無数の書物は星々。無数にあるけれど、果てしなく広がるそれぞれの世界を持ち輝きを放つ存在です。

一冊の本を所有するのはひとつの世界を所有することで、それは内容だけをデータとしてスマートフォンやタブレットにダウンロードするのとは違う楽しみがあります。

計り知れない、稀覯本の価値。

稀覯本とは、きこう本と読み、レアな古書を指します。日本古書籍商協会が主催する、国際稀覯本フェアというイベントには、日本だけでなくアメリカやヨーロッパからも有名古書店が集まって、世にも珍しい古書が販売されます。2020年には3月に東京で開催されました。Web上でも目録をダウンロードして見ることができます。

稀覯本の価値は、誰のどの著作、作品かという内容だけでなく、希少価値やコンディション、どのような人の手を渡ってきたか、どれほど多くの人が欲しがるかによって決まってきます。古いのに保存状態が良くコンディションが良好に保たれている、発行部数が少ない限定本である、初版本である、そして歴史的な価値も価格に大きく関わってきます。書物は、内容だけでなく時を経て重ねてきた歴史によっても物語が生まれ、魅力を増していくのです。

また、現在における話題性やトレンド動向によっても稀覯本の価値は変化していくでしょう。

使い込まれた痕跡も価値となる手沢本の世界。

手沢本とは、しゅたく本と読み、ある人物が愛読して書き込みなどをした状態で遺した古書のことです。手沢とは手垢で出た艶で、これが転じて愛用したという意味になりました。有名人、人気のある歴史的人物などの手沢本は、使い古しているとは見られず、その人物の貴重な痕跡と見られ、価値が高まります。

手沢本の手沢として評価されるのは、書き込みや貼り付けに加えて差し込み、切り取り、はぎ取り、装丁などまで含まれる場合があります。

ビル・ゲイツが落札した284千万円の本とは。

マイクロソフト社を創業したビル・ゲイツが、1994年に284千万円で落札したのは、かのレオナルド・ダ・ヴィンチ直筆の手稿なのだそうです。ダ・ヴィンチはモナリザや最後の晩餐の作者であり、解剖学や天文学、物理学にも精通し、数々の発明を残す万能の天才として有名です。2019年の時点で最も高価といわれたのがモナリザで推定価格は83,000万ドルで日本円にするとおよそ893億円になるそうです。さらに、実際に取り引きされた絵画の最高額は、2017年にニューヨークのクリスティーンズで競売にかけられた「サルバトール・ムンディ」で価格は45,000万ドル、日本円でおよそ482億円で、作者はレオナルド・ダ・ヴィンチなのです。「サルバトール・ムンディ」とは、キリストを描いたものです。そんなダ・ヴィンチのアイデアの宝庫である手稿が高価であるのは言うまでもありません。

ダ・ヴィンチの手稿の行方。

ダ・ヴィンチは思い浮かんだアイデアや考察、調査の結果を常にメモしており、40年にわたって書いた手稿の数は8,000枚はあるともいわれ、5,000枚は現存するといわれています。ビル・ゲイツが落札したのは、天体の考察を記したレスター手稿と呼ばれるものです。では、その他の手稿はその後、どうなったのでしょうか。

ダ・ヴィンチの死後、手稿を相続したのは弟子のメルツィでしたが、さまざまな経緯から編纂され、そのほとんどは、美術館や博物館が所有するそうです。大英博物館が所有するのは、アランデル手稿でWeb上で公開され、570のデータになっています。

日本最古? 世界最古? 現存する最古の印刷物とは。

世界最古の印刷物としては諸説あり一概にはいえませが、制作された年代が判明していて、現存する印刷物は、「百万塔陀羅尼経」だという説があります。この「百万塔陀羅尼経」は、奈良時代の女性天皇、称徳天皇の勅願によって、クーデターによる対立で亡くなった多くの人の供養と平和祈願のために製作された小さな三重の塔に納められたものです。

約6年の間に、100万基の三重の塔が作られたといわれています。実際には、1万基ごとに七重の塔、10万基ごとに十三重の塔が10基ずつ作られたそうです。
そして奈良と大阪、滋賀の大寺院に10万基ずつ奉納されました。現存するのは法隆寺の大宝蔵院の46千基で、陀羅尼経は約2千巻といわれています。
100万もの写経は時間的に不可能と、木版か銅板による印刷によって作成されたと考えられていて、完成は770年(神護景雲4年)だったと、「続日本書紀」に記載されているそうです。古いものではありますが、数多く印刷されたものなのでまったく手に入らないわけではなさそうです。

江戸時代の稀覯本を見つける。

江戸時代の浮世絵は、世界でも人気があり、北斎や広重、歌麿、春信など海外での評価が高く多くの画家に影響を与えたといわれています。浮世絵には木版画と肉筆画があり、一般的なのは木版画です。肉筆画は、裕福な人が絵師に注文して制作したもので、1点物なので高価になります。形状としては、巻物、蛇腹の折本、掛け軸状の掛幅、扇絵などがあったそうです。木版画は種類が多く、大きくわけると製本していない版画と、製本した版本になります。中でも浮世草子や仮名草子などの娯楽本が数多く刊行され、人気を呼んだ江戸時代。その分、この時代の版本は比較的手に入りやすいといわれています。日本では寺子屋で読み書きの教育が広がったこともあり、字を読める人が多くなったことも本や印刷技術の発展につながったようです。手に入りやすいとはいえ、発展期で大量に創造された時代ならではの、良質な本が多彩な分野で数多く登場しているはずです。江戸時代の版画、版本には、次のようなものがあります。

一枚ものから連作まで版画の種類。

一枚の版画で完結する単発作品を「一枚絵」といい、テーマにそって連作で描かれるものを「組物」といいます。さらに現代のフライヤーやチラシの役割のものは「摺物」、絵入りの新聞は「新聞錦絵」というそうです。

内容によって呼び名が違う版本いろいろ。

イメージとしては、版画が一般的で種類も多いように思いますが、実は版本の種類はたくさんあります。大きく分類すると、画集、草双紙、小説、ハウツー本でその中でも内容によって分類され名付けられています。ひとつひとつの名称と内容を簡単にご紹介します。

画集の仲間たち。

●絵本
画集に分類されるのものの中で、絵をまとめて製本されたものです。

●絵手本
江戸中期以降になると絵師だけでなく裕福な商人中や文化人、知識人のーにも絵を描きたいと思う人が出てきて、その人たちのために、絵の手本として作られたのが、絵手本です。同じようなもので「画譜」があり、これは中国から伝わったものです。「北斎漫画」は、北斎による絵手本で、手本にするというよりは鑑賞されるものだったようです。

●雛形本
いわば、江戸時代のファッションブックです。染織技術が発達したこの時代には、さまざまな文様や豊かな色彩の小袖(女性の一般的な着物の原型)などが紹介されています。着物を誂える際の見本帳としての役割もあったようです

●絵入狂歌本と狂歌絵本
狂歌は、社会風刺もしくは洒落の効いた短歌のことで、この狂歌に絵をつけて掲載したのが、「絵入狂歌本」あるいは「狂歌絵本」です。このふたつの違いは明確ではありませんが、絵入狂歌本は、狂歌がメインで挿絵をあしらったもの、狂歌絵本は、絵をメインにレイアウトして狂歌があしらわれているといったイメージです。有名なものでは、歌麿の狂歌絵本があります。

 

草双紙の仲間たち。

●赤本
現代の赤本といえば大学入試の過去問題集が一般的ですが、江戸時代の赤本は、子ども向けにつくられた本です。赤い表紙に題箋が貼られていました。桃太郎やかちかち山、金太郎、おばけの話などが絵入りで語られています。現在よく知られている内容とは少し違うところもあるようです。

●黒本
赤本同様に絵入り、仮名書きで歴史物語、武勇伝をはじめ浄瑠璃や歌舞伎などの題材をベースにしたものが多く、青年向きでした。

●青本
当時は青と称していた萌黄色の表紙で、黒本よりは少年や女性向きの内容でした。おとぎ話、黒本と同様に歴史物語などもありましたが、徐々に恋愛物や遊里の話などが増えていったようです。

●黄表紙
大人向きの娯楽本で、筋書きを追うというより遊びの要素や仕かけが随所にあり、それを読み解く楽しみがあったそうです。代表格は、恋川春町の「金々先生栄花夢」で、現代の漫画のフキダシのようなもの用いられていました。

●合巻
絵入りでありながら、長編で読み物の要素が強いものです。式亭三馬が合巻の発案者といわれ、草双紙といえば合巻のことを指す場合もあるようです。

小説の仲間たち。

江戸時代の小説の中には、現在まで演劇や映画、ドラマの題材として何度も使用されてきたものがいくつもあります。代表的なものは、曲亭馬琴の「南総里見八犬伝」「傾城水滸伝」、十返舎一九の「東海道中膝栗毛」などです。小説といってもジャンルがいくつかありました。そして挿絵があったのも特徴です。

●読本
中国のイメージが強い伝奇小説のジャンルで、格調高い知的な表現と内容です。「南総里見八犬伝」もこの分野に含まれます。

●滑稽本
会話を主体とした読みやすい文章で大衆の笑いを誘う内容のものです。「東海道中膝栗毛」はその中の代表作といわれています。当時、落語と影響しあい、滑稽本の話を落語の落とし話として演じられることもあったそうです。

●洒落本
遊里での遊びをすべて知っているという人物と初心者のかけあいをもとにしたものが定番化していたようです。

●人情本
庶民の恋愛を描いた小説を人情本といいます。とくに女性の読者に人気があったそうです。中でも泣ける作品は、泣本と呼ばれることもありました。代表的なものは、絵師柳川重信、作者為永春水の「春色梅児誉美」といわれています。

ハウツー本の仲間たち

江戸時代は、貸本屋が多く、庶民たちは貸本屋で借りた本をさらに貸すといったことも多く、たくさんの本が読まれました。その中には、小説だけでなく今でいうハウツー本、ガイド本もあったそうです。100種類の豆腐料理を紹介した「豆腐百珍」、犬の飼育書「犬狗養畜伝」、女子のための教科書「女大学」などがあります。

データでは感じられない独特の味わいの本に出合ったら、一冊の本のために巨額を差し出す稀覯本コレクターの気持ちがわかるかも知れません。自分だけの価値感を持って特別な本との関係を探しに、本の宇宙に出かけませんか?

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