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落札価格12億円!名器「ストラディバリウス」の魅力とは?

落札価格12億円!名器「ストラディバリウス」の魅力とは?

「ストラディバリウス」と言う名前をご存じでしょうか?

「世界一高価なヴァイオリン」として有名な楽器の名前です。「ストラディバリ」という名工の工房で作られた弦楽器のことを指しますので、ヴァイオリンに限らず、チェロやビオラも作成されていますが、現存する一番高額なものは、45億円のヴァイオリンです。

しかし、あまりの高値に、オークションでも買い手がつかず、実際に購入されたもので一番高額なのは、12億7千万で落札された1721年製「レディ・ブラント」(ストラディバリウスには名称があります)が最高価格です。

さすがの5つ星マガジン読者もため息が出るのではないでしょうか?

そもそも、どうしてこんなにも高価なのでしょう。しかも、その高額な値段もものともせず、最高レベルの演奏家たちがこぞって手にしたがる理由は、いったいどこにあるのでしょうか。

名工「ストラディバリ」の歴史

「ストラディバリウス」は、イタリア人の弦楽器製作者、アントニオ・ストラディバリと、その二人の息子、フランチェスコ、オモボノが製作した弦楽器のことを言います。

通常「ストラディバリウス」といった場合は楽器を示し、「ストラディバリ」といった場合は楽器製作者を示します。

実は、ストラディバリの製作した弦楽器には、18世紀の法令に基づき、楽器製作者のラベルを張ることが義務付けられていました。アントニオが作製した楽器には、「Antonius Stradivarius Cremonenfis(アントニウス・ストラディウァリウス・クレモネンフィス)」「クレモナのアントニオ・ストラディバリ作」と言う意味のラベルが貼られ、彼ら3人の製作した弦楽器を「ストラディバリウス」、あるいは省略して「ストラド」と呼んでいます。

  

アントニオ・ストラディバリの功績

「ストラディバリウス」を立ち上げた、アントニオ・ストラディバリ(1644-1737)は、先ずニコロ・アマティと言う楽器製作者の工房で、弟子として楽器の製作技術を学びました。

彼は2人の息子と共に、その生涯で1,116挺の楽器を製作したとされています。

ストラディバリは弦楽器の工房なので、ヴァイオリンに限らず、ヴィオラ、チェロ、マンドリン、ギターなどを作製し、現在は、約600挺が現存しています。実際に製作した楽器の数は1,300挺とも言われ、そうなると月、20挺のペースで製作したことになり、手仕事のこの時代、かなりの量産であったと思われます。その中でも、特に17世紀~18世紀にかけて製作した弦楽器のレベルが高く、逸品です。

アントニオの大きな功績は、16世紀にはまだ名前さえなかった、「ヴァイオリン」と言う楽器の様式を完成させたことにあります。

具体的には、それまでは、ばらつきのあった楽器本体の木の厚みを、より厳密に制御し、ヘッドスクロールと言う概念を確立したり、音色を調整するため、ニスをより色濃くするなど実績を残しました。

特にヴァイオリン本体の長さを、18世紀初頭における標準であった352mmより、さらに約3mm拡大し355mm前後とするなど、今現在ある、ヴァイオリンと言う楽器の形を創りあげたのです。

  

愛称を持つ楽器たち

ストラディバリウスの楽器には、愛称がついているものがあります。

例えば有名な三代名器は、

  • 「1714年製 ドルフィン」
  • 「1715年製 アラード」
  • 「1716年製 メサイヤ」

といった具合に愛称がついています。

有名なイタリアの国宝となった「1690年製 メディチ」。これは、イタリアの富豪メディチ家からの依頼で製作されたもの。と言うように、由緒あるストラディバリウスは愛称と一緒に逸話もセットされているようです。

例えば、ヴァイオリニストの千住真理子さんが所有している「1716年製 デュランティ」は、200年もの間、とある貴族が所有しており、その後スイスの富豪にわたって、更に100年、通算300年もの間、一度も演奏されなかったそうです。300年物の新品の玄に弓を落とした瞬間、千住さんはどんなお気持ちだったでしょう。想像するだけでもワクワクしますよね。

 

モチーフとしての「ストラディバリウス」

楽器にまつわる逸話というのも、色々ありますが、特に「ストラディバリウス」は、優れた、または優美な楽器の代名詞として、様々な小説にも登場してきます。

例えば、アーサー・コナン・ドイルの「名探偵シャーロック・ホームズ」。彼は劇中でストラディバリウスを弾くとされていて、映画やドラマなどでも、そのシーンが出てきますよね。

また「レッド・バイオリン」という映画は、現代のモントリオールで開かれたオークションで出展された、注目を浴びたヴァイオリンが、4世紀に渡りあらゆる持ち主のエピソードに絡んでいくという映画。このヴァイオリンが「イタリアの名工が1681年に手掛けたもので、名器」と銘打っているため、「ストラディバリウス」へのオマージュとされています。

また、実際の話として、天才ヴァイオリニストと謳われたジネット・ヌヴーが死亡した墜落事故や、そのヌヴーの師であるジャック・ティボーが来日途上に巻き込まれ死亡した墜落事故などで、それぞれの愛用のストラディバリウスが巻き込まれており、「命を落として」います。それも逸話として残るくらい、世界的に重要な文化財と言うことでしょう。

 

何故「ストラディバリウス」は高額なのか?

では、実際どうしてこんなにも「ストラディバリウス」は高いのか。

ここは5つ星マガジン読者の皆さんが、一番知りたいところでしょう。さっそく紐解いていきましょう。

 

歴史的価値がある

まず、大きな要因として、その歴史的背景に価値があります。

大きな成果を残して、大量の弦楽器を製作していたアントニオ・ストラディバリは17371218日、クレモナにて死去しました。

しかし、その当時のクレモナ市の地元の貴族や有力者は、外国の王侯貴族に庇護され、裕福であった楽器職人の存在を不快に感じており、父と兄亡き後、三男のパオロが相続した楽器の製作道具を「クレモナ市内で絶対に使用しないこと」を条件にして売却してしまいます。これによって、後継者の道が絶たれ、ストラディバリの製法は失われることとなります。つまり、現存している楽器以外に、ストラディバリの楽器製作技術は残されなかったことになるのです。

更に、1745年には、ほとんどの楽器職人がクレモナから去り、ここにクレモナでの弦楽器製作の伝統も途切れてしまったのでした。

今現在、クレモナは弦楽器製作の町として復興していますが、実はこれは他の地区から移入された製造技術によるものであるため、ストラディバリの弦楽器製造技術を再現する試みは現代に至るまで続いているのです。

「ストラディバリウス」は楽器そのもの以外に、歴史的重要文化財ともいえる価値を持っているのです。一つ一つの楽器に愛称がつき、どこか神格化される理由もわかりますよね。

 

「ストラディバリウス」の音色

また、高額であるもっともな理由を一言で言ってしまえば「音の響き」が良いということです。その音色はどのようにして作られるのでしょうか。

実は、今現在ではその音色に対しての作為的な根拠に答えは出ていません。

例えば、「ニスや防虫剤が影響する」「木材の厚みが違う」など、様々な実験を繰り返しても、結局は結論が出ません。ただ、これだけは言えるでしょう。「人智を超えたからこそ、神の音が創られた楽器」であると言うこと。

この謎こそが、「ストラディバリウス」を高額にする最大の理由かもしれません。

 

「ストラディバリウス」を持っている日本人演奏家たち

ストラディバリウス製造の楽器は、【バイオリン】約600挺、【ヴィオラ】8挺、【チェロ】63挺、【マンドリン】2挺が現存しています。

所有されている形は様々で、財団が所有して個人に貸与したり、個人で購入して所有したり、或いは投資目的でバイヤーが所有しているものもあります。ここでは、ストラディバリウスを所有している日本人演奏家をご紹介しましょう。

 

貸与と自己所有とは?

ストラディバリウスを所有する場合、貸与と個人所有があります。

個人所有は、書いて字のごとしで、演奏者個人が自己負担で楽器を購入することです。文字通り田畑を売ったり、家を売ったりと、やはり億単位の金額が必要ですから、「清水の舞台から飛び降りる」くらいでは済まないかもしれません。しかし、購入してしまえば、個人のものですから、管理や保険は大変でも、永遠に手放さなくて良いものとなります。

逆に貸与は、その楽器を所有している団体から、個人演奏家へストラディバリウスを貸して弾いていただくという形です。

日本の演奏家の場合、多くは「日本音楽財団」と言う公益財団法人からの貸し出しです。この団体は「所有する楽器を演奏家に貸与する楽器貸与事業」を主として行い、その楽器を貸与された演奏家たちにより、西洋音楽の普及や発展などを担っている団体です。

特に、10挺以上のストラディヴァリウスとその貸与者で行われる、「ストラディヴァリウス・コンサート」は、世界的にも稀な演奏会として話題になっています。

 

所有している演奏家紹介

実際にどんな演奏家がストラディバリウスを所有しているのか、何人かご紹介しておきます。愛称もちゃんとついていることから、名器だとわかりますね。

 

◇ヴァイオリン

1:諏訪内 晶子

  • 製作年:1717
  • 愛 称:ドルフィン
  • 所有者:日本音楽財団から貸与

 

2:五嶋 龍

  • 製作年:1715
  • 愛 称:エクス・ピエール・ローデ
  • 所有者:NPO法人イエル・エンジェルから貸与

 

3:川井 郁子

  • 製作年:1715
  • 愛 称:フランチェスコ・ルジェーリ
  • 所有者:大阪芸術大学から貸与

 

4:高嶋 ちさ子

  • 製作年:1736
  • 愛 称:ルーシー
  • 所有者:自己所有

 

5:千住 真理子

  • 製作年:1716
  • 愛 称:デュランディ
  • 所有者:自己所有

 

6:樫本 大進

  • 製作年:1722
  • 愛 称:ジュピター
  • 所有者:日本音楽財団から貸与

 

◇チェロ

1:石坂 団十郎

  • Danjuro Ishizaka
  • 製作年:1696
  • 愛 称:ロード・アイレスフォード
  • 所有者:日本音楽財団から貸与

 

2:岩崎 洸

  • 製作年:1727
  • 愛 称:不明
  • 所有者:自己所有

 

まとめ

たった3人の楽器製作者から産まれた、名器「ストラディバリウス」。沢山の才能ある演奏家が愛してやまない音色を持った楽器の魅力。5つ星マガジンの読者の方々にはどんな風に伝わったでしょうか?

ストラディバリウスに限らず、アマティ、グァルネリ、グァダニーニなど、名工が作製したヴァイオリンやチェロは、どれも負けず劣らず高額で、豊かで美しい響きを持っています。選び難い魅力はどの楽器にもあるのです。結局は、自分の五感が満足した音色が一番自分を癒し、満たしてくれるでしょう。

たまにはオシャレして、コンサートにお出かけしてみてはいかがでしょうか?

その素晴らしい響きに白昼夢が観れるかもしれませんよ。

 

 

 

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