世界一高級なコーヒーとは?
今や60ヵ国で生産され、200種類以上の銘柄があると言われているコーヒー。どこでも誰でも気軽に楽しめるコーヒーにも、やはり高級品と呼ばれるものが存在します。
それは一体どのようなものなのでしょうか。今回、5つ星マガジン読者のみなさまには
- 最高級のコーヒー3種類
- コーヒーの発祥
- 日本におけるコーヒーの歴史
をご紹介します。
コーヒーの奥深い世界を、少しのぞいてみましょう。
世界で最も高級な3種のコーヒーをご紹介
現在日本国民にとって、なくてはならない嗜好品であるコーヒー。その最高級品はいったいどのくらいの価格なのでしょうか。
ここからは、特に価格の高い3種のコーヒーをご紹介していきます。
3位 パナマ・ゲイシャ 100g/約10,000円
その名の通りパナマ原産のコーヒー。ゲイシャというと日本の「芸者」を想像してしまいますが、意味は「ゲイシャ」というアラビカ種の木の名前からとっています。このコーヒーの逸話をご紹介しましょう。
パナマで開催される「ベストオブ・パナマ」というコーヒー豆のオークションがあります。そのオークションで数年にわたってダントツで優勝したパナマ・ゲイシャ。すると他の出場者から苦情が殺到し、なんと出場停止になってしまったのです。
パナマという国はコーヒー生産者の賃金を高く設定するほどのコーヒー大国。そんなコーヒー大国の圧倒的1位に君臨するコーヒーは、至高の味がすることでしょう。
実際パナマ・ゲイシャは、
- 香水にも例えられるフローラルで華やかな香り
- トロピカルフルーツのような甘さ
- 心地よい酸味
が特徴。一度飲むと忘れられない味わいを誇るといいます。
2位 カペ・アラミド 100g/約15,000円
2位はフィリピン原産の「カペ・アラミド」。カペ・アラミドは、コーヒー豆を採食したジャコウネコの糞(フン)から製造されます。
フンの中からコーヒー豆を取り出して洗浄し、焙煎するのです。似た製造方法のコーヒーが、インドネシアの「コピ・ルアク」。しかし、ほぼ同じ製造方法にも関わらず、カペ・アラミドはコピ・ルアクよりはるかに高い金額で販売されています。ではその値段の違いとは、いったい何なのでしょうか。
それはいわば、養殖物と天然物の違いです。インドネシアのコピ・ルアクは、檻の中のジャコウネコにコーヒー豆を与えて生産しています。それに対し、フィリピンのカペ・アラミドは、野生のジャコウネコのフンから採取された物のみを使用して製品化しているのです。
そのため、野生のネコのフンを森の中から探し出さないといけません。日がのぼる前から一日中探し続けても、1日に1kgしか採れないという、超希少なコーヒーなのです。
その味は甘さとフルーティーさが特徴。ジャコウネコは、完熟した甘いコーヒーチェリーを選り好みして食べます。食べたコーヒーチェリーが消化される際の、
- 減カフェイン効果
- 酵素処理
- 麝香(じゃこう)の天然アロマが染み付く
ことによって、苦味や酸味が抑えられた香り高いコーヒーになるのです。
1位 ブラックアイボリー 100g/約50,000円
1位はタイ原産の「ブラックアイボリー」です。カペ・アラミドがネコの糞からの採取だったのに対し、ブラックアイボリーはなんとゾウのフンからコーヒーを製造します。
こちらもカペ・アラミドと大体の製造方法は同じです。ゾウに、バナナなどの果物と一緒にコーヒーの実を1日2回ほど与えます。コーヒーの実は15時間〜30時間かけて消化され、排泄されたフンの中から丁寧に採取、洗浄、焙煎されたものが製品になるのです。
高額の理由は手間と希少性ゆえです。まず、ひと月約1000ドルという多額のゾウの飼育費用が原因の一つ。
また、食べさせるコーヒーの実がそもそも質の良いものを与えており、そのままコーヒーにしてもタイでトップと評価されるほどのものを与えています。そして食べたコーヒーの実は、多くがゾウの中で消化されてしまうのです。なんと33kgのコーヒーの実を食べさせても、製品にできるコーヒー豆は1kgほどしか採取することができないといいます。
こうした理由でブラックアイボリーは、世界一高級なコーヒーとなっているのです。
しかし手間がかかっているだけあって味は超一品。ブラックアイボリーコーヒーはチョコレートのようにマイルドな風味で、苦味がなく非常にフルーティーな香りが楽しめるコーヒーです。そのようなテイストを生み出す理由は、ゾウの消化過程にあります。
まず、ゾウの消化酵素がコーヒーの苦味成分であるタンパク質を分解。一緒に与えられたバナナなどの果物と時間をかけて消化される際、マリネのようにつけ込まれることで、果物やハーブの香りがコーヒーに移ります。その結果生み出されるのが、フルーティで独特な風味なのです。
2位のカペ・アラミドとの味の差も、ゾウの特性が大きく影響しています。ジャコウネコは雑食で虫やタンパク質性のものも食べますが、ゾウは草食です。その違いがコーヒーの風味に違いをもたらします。草食であるゾウから採取されたブラックアイボリーの方が、よりマイルドで豊潤な味わいになるのです。
コーヒーの発祥
今では世界中で生産されているコーヒー。その発祥とはどこなのでしょうか。最も有力なのは、とある伝説です。
コーヒーの発祥はエチオピアのとある伝説
14世紀のエチオピアが舞台の伝説です。
あるヤギ飼いの少年がヤギの異変に気づきました。ヤギたちが昼夜問わず、興奮して飛び跳ねていたのです。不思議に思った少年が修道僧に相談したところ、山腹の木に実る赤い木の実が原因であることが判明。修道僧自ら、茹でて試飲してみたところ気分が爽快になりました。これを徹夜の宗教行事の際、修道僧たちに飲ませてみたところ、目覚ましい効果が得られたのです。それから修道院は「眠らない修道院」として国内に名を馳せ、魔法の実を国中が欲しがった、という伝説です。
伝説の真偽はともかく、エチオピアが発祥という説が今では通説となっています。
本当の発祥は伝説の400年も前の文献
記録としての最も古いコーヒー利用は、ある文献に記されていました。
それは伝説よりも400年も昔の9世紀。バグダッドのラーゼスという医者が、コーヒーを煮出したビール色の液体を医学に用いています。その薬理効果について「消化や強心、利尿作用がある」と現在の医学でも認められる効果を記していました。
日本のコーヒーの歴史
世界的に見ると、古くからコーヒーは利用されてきました。では日本では、コーヒーはいつ頃から飲まれているのでしょうか。日本におけるコーヒー文化の歴史をご紹介します。
日本人とコーヒーの最古の出会いは鎖国時代
コーヒーが日本に最初に渡ってきたのは、江戸時代初頭の話。長崎出島にオランダ商館が設立(1641年・寛永18年)され、そこにコーヒーが持ち込まれていただろうと思われます。当時はごく一部の通訳や役人、商人のみがその味を知っていたことでしょう。
そして日本で最初のコーヒーに関する文献が現れたのは、1782年(天明2年)のこと。蘭学者、志筑忠雄の訳書である「萬国菅窺(ばんこくかんき)」に
「阿蘭阿弥陀の常に服するコッヒイというものは、形豆の如くなれども、実は木の実なり」
と記されています。
コーヒーが普及しはじめる明治時代
明治時代に入ると、西洋文化を取り入れて文明開化しようという社会の風潮もあり、日本人がコーヒーを受け入れはじめます。
さらに、外国人居留地ができたり逆に留学へ行く人が増え、外国人向けのホテルが建てられたりと、日本人がコーヒー文化に触れる機会は増えていきました。とはいえ、まだ上流階級の一部が飲むだけの高級飲料という域を出ず、一般の人々に普及するようなものではなかったのです。
コーヒー文明が開化する大正時代
大正時代に入ると、いよいよコーヒー文化が日本に普及しはじめていました。そんな大正時代のカフェで有名なのが「メイゾン鴻の巣」です。このカフェは、北原白秋などの有名作家が毎月会合を開いていたカフェで、本格的なフランス式の深煎りコーヒーを提供していました。このようなカフェが明治時代から大正時代にかけて複数開店していたものの、値段も高く一般の人々にとってはまだまだ敷居の高いものでした。
そんななか、日本にコーヒー文化を広めた立役者が「パウリスタ」というカフェです。このカフェは、従来の3分の1の価格で本格的なコーヒーを楽しめる、という徹底したコーヒー文化の普及とサービスを展開。一気に人気を博し、全国に店舗を拡大をしていきました。全国に展開されたパウリスタで、初めてコーヒーを味わった日本人はたくさんいたことでしょう。
大正時代以降の日本とコーヒー
大正時代以降、コーヒー文化に親しむ人は増加の一途を辿りました。昭和に入ると、さらにコーヒーは人々の生活に浸透します。しかし、第二次世界大戦が始まると、コーヒーは「敵国飲料」として輸入停止に。そして戦後、昭和25年から輸入が始まりました。コーヒーは、再び日本で愛される飲み物として、現在ように人々の生活の一部となっているのです。
あとがき
ここまで長文を読んでいただきありがとうございました。ここまで、世界で最も高級な3種類のコーヒーと、コーヒーの歴史をご紹介してきました。
いかがでしたか?
コーヒーは様々なシーンで私たちの生活を豊かにしてくれます。いつもと違うコーヒーは、私たちの生活にもいつもと違った一面を見せてくれることでしょう。
ぜひ一度はこれら極上のコーヒーを味わってみたいものですね。