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【Mr.Xの財産管理の最前線 第1回】2019年、金融資産の運用環境を読み解く

【Mr.Xの財産管理の最前線 第1回】2019年、金融資産の運用環境を読み解く

「5つ星マガジン」が発信するマネーコラム。プライベートバンカーとして活躍するMr.Xがお届けします。

はじめまして!Mr.Xの財産管理コラムがはじまります

「5つ星マガジン」読者の皆さま、初めまして。初回となりますので私の簡単な経歴を紹介させてください。

私は1988年より金融の最前線にてクライアントの資産管理、運用提案をさせて頂いておりますプライベートバンカー(PB)でございます。名前はMr.Xと名乗らせていただきます。

職務経歴は、1988年より大手証券会社に約22年、フランス系のPBに約2年、大手メガバンクとイギリス大手銀行とのジョイントベンチャー組織に5年弱勤務し、現在はIFAとして独立、IFA事業会社に個人事業主として所属しております。これまでの経験値を基に、お話しさせていただきますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

初回は金融資産を対象に、特に運用環境の現状把握と今後の見通しについて、皆様の関心が高い世界景気にポイントを置き解説させていただきます。 

2019年の現状と後半の世界経済・金融市場

IMFが世界の経済成長見通しを下方修正

本年4月にIMF(国際通貨基金)は世界の経済成長見通しを下方修正しました。2019年の世界経済成長率を3.3%とし、1月に予測した3.5%から引き下げました。予測通りなら2019年は世界経済が縮小した2009年以来の低成長となります。IMFが見通しを下方修正するのは過去6カ月で3回目。理由としては、先進国の大半で見通しに陰りが出ていること、米中対立による関税引き上げが両国の貿易を圧迫する兆候がみられることがあげられます。

関税引き上げによる直接的な影響もさることながら、重要なのは、先行き不透明感が高まることにより、企業が慎重な行動をとるような(設備投資の先送り等)状況が継続されるマイナス面だと考えます。今回のように先行き不透明な状態になると、特に製造業を中心に企業心理が悪化し、雇用や設備投資に悪影響が出始めます。

景気循環から見た世界の現状はどうでしょうか。201711月に世界景気はピークとなり、その後世界全体に下押し圧力がかかり続けているのが現状です。米国は減税により好景気の延命を図っている状況ですし、欧州はBrexit、米中貿易摩擦、イタリアの政局においては、より景気の減速が鮮明になっています。中国も民間を含め負債比率が上昇し続け、そこに米中貿易摩擦の影響が加わり、不況からの脱却ができない状況です。日本も安定した経済状況でしたが、これまで好調であったIT関連企業を中心に企業業績は悪化し始めています。

では地域ごとの景気の現状を景気指標等で見てみます。

【アメリカ】好景気はどうなる?

まずアメリカですが、20096月以降続いている好景気は終わる気配がありません。

アメリカの景気循環統計は1854年より160年以上のデータがありますが、現在の好景気は今年の6月で120カ月連続となり、過去の最長期(19913月から20013月の120カ月)と並んでおり、7月も好況が続くと新記録になります。ウォートンの魔術師と呼ばれているジェレミー・シーゲル教授は、米景気拡大がサイクル終盤である点を強調しています。景気拡大の終盤の特徴の1つである低失業率も揃っていて、「このような時期はリスクが増大する。関税のようなものがあると、景気後退に陥ってしまう」と指摘しています。

経済指標を見ると、現在の米景気は、個人消費が底堅さを示しているものの、企業活動は低迷が明確になりつつあります。4月のISM製造業景況感指数(52.8)、5月の製造業PMI速報値(50.6)は、貿易摩擦の影響が反映され、それぞれ201610月、20099月以来の水準まで低下、製造業の陰りが鮮明になっています。

景気サイクルを延長し収益成長を大幅に押し上げた財政刺激策の効果が、2019年後半に勢いを失い始める可能性が高まっています。

【中国】今後の復調はあるか

次に中国ですが、工業設備稼働率等から見ると、201710-12月期が78.0%でピークとなり、以降減速しています。国家統計局発表の中国製造業PMI(*1購買担当者景況指数=企業の景況感を示す景気指標)によると、20186月を直近のピークに20192月まで下降トレンドを形成し、201812月以降景況判断の分岐点である50を割れ、20193月に一旦は50超えに戻しましたが、4月には再度50割れとなり、特に輸出受注指数が急速に悪化しています。

【ユーロ圏】米中貿易摩擦の影響は・・・

ユーロ 圏については、実質GDP成長率で2017年の2.4%以来減速していますが、今年3月の鉱工業生産が前月比0.3%減と2カ月連続で減少となり、5月製造業PMI(*1)は47.7と引き続き好不況の判断の分かれ目である50を下回っています。ただ、1-3月期実質GDP(改定値)は前期比 0.4%増と前期(同0.2%増)を上回る伸びとなりましたが、米中貿易摩擦の影響が続き、依然先行き不透明となっています。

【日本】内需の弱さ克服なるか

日本経済は、3月の景気動向指数(改定値)によると、先行、一致、遅行指数が共に前月比下落。一致指数による機械的な基調判断は「下方への局面変化」から、62カ月ぶりに「悪化」へ変更されました。

1-3月期実質GDP1次速報)は前期比年率0.2%減という市場のマイナス成長予想に反し、同 2.1%増と昨年4-6月期以来の高い伸びとなりましたが、内訳が、個人消費(寄与度 -0.2%)、設備投資(同 -0.2%)の内需主要項目が共に前期比で減少、純輸出(輸出-輸入、同 +1.6%)がGDPを押し上げたが、これは輸出(同 -1.8%)以上に輸入(同 -3.4%)の落ち込みが大きかったためで、これも内需の弱さを示しています。

今年後半はさらなる減速リスクの警戒を

以上のような現状を踏まえると、今年後半は、さらなる減速リスクについて警戒する必要があります。リスク要因としては、米国経済の減税効果の希薄化、米中貿易摩擦激化による米国経済への影響と中国経済の急減速、Brexitやイタリア財政問題を抱えたユーロ・EUのほころびのリスクなどがあげられます。米国等、先進国の金融引き締めは後退したため、景気の過度な減速は回避される見通しですが、今後景気後退となった場合の緩和等、政策余地は限られ、非伝統的手法、その深掘りに頼らざるをえなくなる可能性もあります。

プライベートバンカーの一言(私見)

上記は少々硬いお話ですが、本質的なお話をいたします。

FRBの金融引き締めより金融緩和方向への舵取りの変化は、米国を含めた世界の景気悪化が顕在化してきたことの証です。米中も貿易摩擦で表現されますが、実際は米中の覇権争い、安全保障上の問題であり、米国の中国の現体制に対する政策と思われるので、長期化するリスクは高いと考えます。

直近は円高ですが、一つの可能性を記憶してください。世界で一番金融緩和を実施している国は日本です。金額を把握されている方は少ないと思いますが、6月4日日銀発表の5月の資金供給残高(マネタリーベース、月中平均)は510.8兆円です。この資金はどこに向かっているのでしょうか。その多くは形を変えて海外へと流失しています。では世界で想定外の危機が発生した場合、これらの資金はどうなるのでしょうか。逆流するリスクがあります。当初は金融緩和局面が円安要因でしたが、現在は需給関係から、円高リスクを警戒しなければならないと考えます。

今年後半より来年にかけては、より保全を前提とした運用が好ましいと考えます。世界の株式も一株当たりの利益(EPS)は低下しているにもかかわらず、マーケットは上昇しています。以前よりリスクは高まっていると考えます。

Mr.X

 

(お願い)本文記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、当コラムは情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。

 

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