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【Mr.Xの財産管理の最前線 第6回】コロナショック

【Mr.Xの財産管理の最前線 第6回】コロナショック

5つ星マガジン読者の皆さま、新型コロナウィルス感染の拡大という危機に直面し、生活、仕事等への悪影響により、大変なご苦労をされているものとお察し申し上げます。

前号にて庚子の年のお話を致しましたが、このように世の中が進むとは考えてはおりませんでした。ただ、経済の循環、環境を正しく把握していた者からすれば、原因は何であれ、一度大きなマイナス要因が発生した場合は、経済状況、マーケットが現在のように大きな動きとなることは、容易に想像できることでもありました。

これまでの流れが終了し、新しい流れが誕生するとされる庚子、現実にこの様なことが起きてみると、干支の意味する重みに驚かされるばかりです。

さて今号は、皆様が一番ご不安ではないかと思われる、経済、マーケットの今後について、引き続き連続して解説させて頂きます。

Mr.X

1988年より金融の最前線にてクライアントの資産管理、運用提案を行うプライベートバンカー(PB)。

職務経歴は、1988年より大手証券会社に約22年、フランス系のPBに約2年、大手メガバンクとイギリス大手銀行とのジョイントベンチャー組織に5年弱勤務し、現在はIFAとして独立、IFA事業会社に個人事業主として所属している。

コロナの影響による現在の市場状況

前号においては、世界景気に回復感が出始めている可能性があることから、リスク面を横目で見ながらではありますが、引き続き金融緩和、財政政策の期待でマーケットが堅調さを継続する可能性があることをお話しました。ただ、一度何かリスク要因が顕在化した場合は大きな調整が起こるリスクがある点もお伝えしました。ではコロナショックを受けて、マーケットはどうなったでしょうか。

まずはじめに、3/13現在(日本国内は3/1318時現在、米国は3/13終値)の市場状況を確認致します。

日経平均の3/13終値が17,442.50円で、今年1/17の取引時間中に付けた直近高値24,115.95円からの下落幅は、実に6,673.45円(-27.7)となりました。3/13NYダウ引け値は23,185.62ドル(1,985.00ドルの大幅上昇)でしたが、前日の3/12の引け値は21,200.62ドルで、2/12史上最高値の29,551.42ドルからの下落幅は、8,350.80ドル(-28.3)でした。為替(ドル/円)は3/13のニューヨークの引け値が107.93円(3/9の直近最安値は101.19円)、3/13の米国10年国債の金利は0.983%(3/9  0.319%)でした。金価格は1,529.10ドル(3/9の直近最高値は1,704.30ドル)でした。

この様に金融市場はリーマンショック(the financial crisis)以来の大幅な調整局面となっています。株式マーケットでは調整幅が20%を超えると弱気相場入りとされ、今回の下落率を確認すると、弱気相場入りと判断されても仕方ないと考えます。それだけ大幅で急激な下落であることを認識する必要があります。さらに、株価、債券、為替、金がセオリー通りに動いていません。これは換金できる商品全てに売りが出ている可能性があることを示しています。末期症状と解釈することもできますが、実際に売却した主体が何なのか分らない時は、静観が良いと思われます。

 

今後の経済、金融市場を考える上での注目点

<1. リーマンショック時の主要国の財政政策>

今回の原因はもちろんコロナウィルスですが、アメリカは昨年末まで126カ月に及ぶ長期の景気拡大が続いていたことから、いつ景気後退局面となってもおかしくない状況であったと思われます。日本も近い将来、景気後退局面となる可能性が高い状況でしたので、このサイクルにコロナショックが追い打ちをかけてしまったと言えます。

EU圏はもともと弱い景気が続いていたので、この地域もかなりの影響が出るものと考えます。

ではコロナショックの影響下、今後の経済、金融市場を考える上でどこに注目すればよいのか。そのポイントを整理したいと思います。

前回の金融危機、リーマンショック時には各国の協調により危機を短期間で済ませることができました。それは主要国の政府による「積極的な財政出動」と、中央銀行による「潤沢なマネーの供給」があったからです。財政出動においては、G20(先進国と新興国)が総額5兆ドルもの緊急経済対策を行なうことで合意、特に当時の中国政府が4兆元(当時の為替換算で約57兆円)という膨大な財政出動を実施し、無理矢理な需要創出が世界経済を救ったといっても過言ではない状況でした。その当時の日本は、2008年、2009年のGDPによる試算では、約33兆円の需要が減少したのに対し、日本政府は14.7兆円の財政出動を行いました。半分にも満たない政策でしたが、2010年には+4.2%のGDP成長となりました。しかし、そこには中国の莫大な財政出動があったからだとも言えます。

アメリカを筆頭に日銀やECB・ヨーロッパ中央銀行も、史上初めてとなる事実上のゼロ金利政策に踏み切り、輸血をするかのように市場にマネーを流し込んでいきました。これらの政策が効果を発揮し、世界経済は急回復することとなったのです。

 

<2. 今回の財政出動とマネーの供給>

では今回はどうでしょうか。財政出動、マネーの供給について考えます。

まず「積極的な財政出動」についてですが、現在各国で緊急経済対策の検討に入ったとの報道がなされています。日本でも自民党の融資議員が政府に対し、30兆円の補正予算編成を実施し、消費税を一律0%とする措置を景気対策として提言しています。ただ今回の経済損失がどの程度かはっきりしない現状では、正確な規模の議論ができないものと思われます。大和総研の試算では1年継続するなら日本のGDPの減少幅はマイナス16.3兆円という試算がなされていますが、実際にどの程度継続されるのかが現状では分からないのです。

次に「潤沢なマネーの供給」についてですが、アメリカのFRB0.5%緊急利下げのあと、市場安定のために1カ月と3カ月物レポでそれぞれ5,000憶ドルを流動性供給策として実施、これまで実施している月額600憶ドルの財務省短期証券(TB)の買い入れプログラムだけでなく、長期の財務省証券にまで広げる措置を発表しました。

日銀も13日に国債現先オペによる5,000憶円の資金供給を通知しています。3/9からは1日1,000憶円を超える額の株価指数ETFを購入するという手段も取っています。ECB、英国も資金供給、緊急利下げ等にて対処しています。

 

コロナ対策政策への期待と効果

では今回のコロナショックの対策としてこのような政策の継続を今後も期待できるのでしょうか?果たしてこのような政策が有効なのでしょうか?

各国の現状を見ると、積極的な財政出動については、ある程度の対策は取れるものの、前回のリーマンショックの時以降に政府が抱えた負債を考慮すると、前回の中国のような莫大な規模で実施のできる主体が見当たらず、マネーの供給については、中央銀行は金融緩和状態をすでに継続中のうえに追加策を取らざるを得ないのが現状で、追加可能な政策に限りがあることを考慮すると、コロナの影響が長引く時には政策の限界が心配される局面も想定しなければならないと考えます。さらに、今回はウィルスによって、人、物、お金の動きが止められており、景気刺激策をとったところで直ぐには機能しない可能性があります。

今回のコロナショックについては、過度な当局への政策期待を持つことは大変危険であり、景気の後退開始局面での刺激策はあまり意味を成さないことから、必要とされる対策は経済政策ではなく、1日でも早く新型ウィルスを封じ込めることが重要で、短期的には経済損失があろうとも、ウィルスの拡大阻止に資金と労力を注ぐことのほうが大切だと思われます。

 

コロナショックに対する今後の一番のポイントとは

リーマンショックと現在のコロナショックとの違いがどこにあるのか。破綻は発生時にその損失がほぼ全て確定します。しかし、今回は今後も継続して損失が拡大し続けます。従って、どの程度の経済損失になるかは終息してみないと分からないのです。損失が確定しなければ問題の処置ができないのです。

今後の一番のポイントとなるのは、大型の景気刺激策ではなく、ウィルスの拡大阻止にどう予算措置を取るかではないかと思います。拡大阻止が可能となった時には、現在議論されている景気刺激策が必要となりますので、決して現在の議論は無駄ではないとは思いますが、政府、各国の動向をこの点から見ることが重要と考えます。

 

Mr.Xの一言

現在、投資についてはより慎重に且つ大胆な発想にて虎視眈々とチャンスを窺う姿勢で臨みたいと考えています。不謹慎に思われるかもしれませんが、大きな危機は大きな投資のチャンスを与えてくれます。ただし、“落ちてくるナイフは掴むな”という相場の格言があるとおり、慌てた投資は怪我をします。十分に引き付けて投資されると良いと思います。景気刺激策はバブルを生みます。本当に不謹慎ではありますが、そのことを念頭に世の中を観察して下さい。

 

(お願い)本文記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、当コラムは情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。

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