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卒業式以外にも着こなしたい。 伝統的で新しい、晴れのよそおい。 女袴2020

卒業式以外にも着こなしたい。 伝統的で新しい、晴れのよそおい。 女袴2020

華やかで美しいだけでなく、凛々しくて颯爽とした印象が魅力の女性の袴姿。袴は、卒業生や先生方、あるいは巫女さんや神職さん、武道家など、限られた人だけのものなのでしょうか。最近では、制服のない小学校の卒業式でも袴姿が増えているそうです。

大人になってお洒落として袴は楽しめる? ドレスコードとしては? 袴を知って楽しむために、基本のしきたりからアレンジ方法などを調べてみました。

袴のルーツは、埴輪にあり。

袴の歴史は古く、原型は古墳時代の埴輪の衣装に見られるような太いパンツだといわれています。「古事記」や「日本書紀」には、袴という名前が見られ、正倉院には、最古の袴が現存していていわゆるモンペスタイルなのだそうです。平安時代には、宮廷の女官たちが袴を身につけており、その様子はひな飾りの三人官女にうかがわれます。袿袴(けいこ)、という袿(うちき)に袴を合わせたスタイルで最初は一般的な装いでしたが、後に正装となります。武家社会になると袴は武士の礼装で、女性が身につけられるのはごく一部となります。その後、男女ともに袴を着用する習慣が減少しますが、また宮中で女性の儀式の礼服として着用されるようになりました。

そして、現在の卒業式の袴姿のもとになるのが、明治時代から女学校で採用された袴です。

 

行燈袴と馬乗袴は、スカートとキュロット。

明治時代の女学生や女の先生は当初、当時の男性と同様にキュロットタイプの馬乗袴を着用していました。従来の着物より活動的で裾のみだれを気にせず歩けて、椅子にも座りやすかったようです。その後、男性と同じ袴を女性が着用することに対する批判が沸き起こり、スカートタイプの行燈袴が作られました。この行燈袴の発展には、下田歌子氏という女子教育の先覚者が大きく貢献しているといわれています。

彼女の発案した女袴は、華族女学校の制服となりました。色は紫がかった赤のいわゆる海老茶色で、「海老茶式部」と呼ばれました。これに対して、跡見女学校は紫の袴で、どちらが先だったか実際のところはわかりません。そして、この女袴は他の女学校の制服へと広がります。

現在、卒業式などで着用されているのは、スカートタイプの行燈袴です。おもしろいことに、男性においても現在は行燈袴が主流なのたそうです。その理由は、行燈袴の方が動きやすいためのようです。

 

昔の女学生のイメージから卒業式の晴れ着に。

明治から大正、昭和初期へと受け継がれた女学生の袴は、彼女たちが社会へ出て働く女性となるとそこでも着用されます。当時は女学校へ通うことができたのも、社会で活躍できたのも限られた女性であり、憧れの姿であったに違いありません。女学校に行かずに職業を持つ夢を抱きながら嫁いだ人も多かったでしょう。そんな中で、颯爽と袴を着こなし、自転車に乗り、スポーツもし、社会で活躍する姿は鮮烈で、当時の小説にも生き生きとした描写で彼女たちの姿が登場しています。後に「はいからさんが通る」というマンガになり、宝塚の舞台や映画にもなっています。

矢絣の着物に海老茶色の袴、髪は結い流し、足元は、足袋に草履あるいは編み上げのブーツが典型的なイメージです。

そんな女学校の制服のイメージから、現代の卒業式の晴れ着として袴姿が定着しました。最初は、先生方から始まり、学生へと広がったように思われます。

 

女袴はどこまでフォーマル?

女袴姿は、凛として清々しい美しさで、卒業式だけの装いとしては惜しく、もっといろんなシーンで、さまざまな年齢層の女性にも楽しめないかどうか考えてみました。

まず、フォーマルなシーンでの和装に対してはさまざまな考え方があり、またどれくらい格式が重視されるシーンなのかによっても変わってきますが、一般的な基本をまとめると次のようになります。

礼装

冠婚葬祭など儀式の際に着用する最もフォーマルな装いです。女性の和装の場合は、黒紋付、黒留袖、色留袖、振袖などです。黒紋付は、最も格の高い正礼装とされ、以前は婚礼の席で晩酌人や親族が錦の帯を合わせて着る習慣がありましたが、現在は喪服として着られることが多いです。黒留袖が既婚女性の第1礼装として着用されています。色留袖は、それに準ずる礼服で、五つ紋なら黒留袖と同格とされ、黒留袖にはない三つ紋、一つ紋が色留袖にはあって準礼服、略礼服となります。振袖は未婚女性の正装で成人式、卒業式、結婚式などに着用します。以前はお正月のお出かけや仕事の初出に振袖を着る場合もありました。

準礼服

礼装に準ずる装いで、訪問着や色無地などがこれにあたります。訪問着は用途が広く披露宴からお宮参り、子どもの行事などにも着用します。色無地は紋が一つでも入れば無紋の訪問着より格が上になります。

略礼服

格式ばらない結婚式やパーティなどに着用し、江戸小紋、小紋、付け下げなどがこれにあたります。一つ紋を入れることで準礼服になる場合もあります。

以上はあくまでも目安で、時代によっても変化しています。失礼がないようにするのが基本ですが、変化しているものなのですから、ルールに縛られるだけでなく自分らしく楽しむことも大切だと思われます。

 

では、女袴は、どのシーンなら着用可能でしょうか。

もともと袴は、宮中でも礼装とされた歴史があるので、本来なら礼服として着用してもルール違反にはならないはずですが、現在の一般的な状況からすると礼服としては着用しにくいでしょう。礼服や準礼服として着用するシーンは限られるので、略礼服を着用する場面なら着こなしによって着用可能となりそうです。ただし、現状は卒業式のイメージが強いのでコーディネートで、華やかさや洗練された雰囲気を演出すると良いでしょう。

 

女袴と着物の組み合わせを楽しむ。

訪問着や振袖も、袴と組み合わせて着ることができます。成人式で着た振袖に袴を組み合わせパーティで着たり、母が着ていた着物に袴を合わせてランチや美術館、音楽会に出かけたり。そんな楽しみ方もあります。

小紋などの淡い色の着物があれば、濃い色目のエンジや紺、濃い緑などを合わせるとシックな着こなしになります。逆にシックな色目の着物には、少し華やかな、例えば柄があしらわれた袴を合わせると個性的な着こなしになります。

足元は、袴には草履と足袋、あるいはブーツも似合います。ちょっと改まった席では草履と足袋、歩く時間が長いならブーツを合わせると良いでしょう。袴に似合う定番のブーツは、紐を編み上げるタイプですが、短めのブーティなども似合います。

 

自分で着付けもできるようになって、女袴マスターに。

着物の着付けで難しいのは、帯を上手に結ぶことです。着物の帯はバックスタイルも重要なので長い帯をバランスよく結ぶのは、大変です。袴の場合は、帯が隠れてしまうので、その点は気が楽です。もちろん隠れるからといってもきちんと土台を整えることで美しく着こなせますが、最初は気軽に着て少しずつ慣れて上手になっていく方法もあります。気軽に始めてみると意外と早く自分ひとりで着られるようになります。

袴の着付けの基本は、まず着物を通常よりかなり短く床上20cmくらいになるように着て、帯は小さな文庫(りぼんのような形)に結びます。その上に袴を着ていきます。レンタルも豊富にあるので、最初は軽くて扱いやすい手頃なレンタル袴で着付けレッスンをしてもよいでしょう。

 

アンティーク着物で、アクセサリー使いで、大正ロマン袴姿。

矢絣は、袴姿に合わせる着物の代表的な柄

若い女性には。大正ロマン風の袴の着こなしが人気です。はいからさんのイメージで矢絣の着物に海老茶色の袴の女学生のスタイルだけでなく、モダンで大胆な色づかいの着物で大正ロマン風に着こなしを楽しむこともできます。

アンティーク着物なら古典柄にも現代的な柄にもない独特の雰囲気のものがあります。アンティーク着物とは、昭和初期の戦前に作られたもので、人工的に作られた繊維や染料が使われておらず、独特の素材感や色合い、柄が魅力です。昭和中期以降の着物はリサイクル着物で、素材や染色など現代のものに近くなります。アンティーク着物の方が当然高価で特にコンディションがよく、希少価値が高いものほど数十万円といった価格がつくことがあります。気をつけたいのは、シミなどダメージがみられる可能性もあること、そして昔の人々は今より小柄だったため、着物の作りが小さいことです。ネットでも購入できますが、サイズを確認するか、最初は店頭でアンティーク着物がどの位のサイズ感なのかを確かめると良いでしょう。

大正ロマンは着物と洋服が混雑するイメージで、着物の着こなしに洋装の感覚を取り入れると、雰囲気が演出できます。袴にブーツを合わせるだけでなく、パールのネックレスをつけたり、帯留めにブローチを使ったり、がま口タイプのバッグなどを合わせたりします。

袴の装いにも、髪にドライフラワーを飾ったり、レーシーな手袋やフォーマルドレスに合わせるようなバッグを持つなどでモダンな着こなしが楽しめます。寒いシーズンには、マントを羽織っても素敵です。

女袴は、今はまだ卒業式のイメージが強いですが、少し前は成人式でも着られていました。限られた宮中の女官だけに袴の着用が許された時代もありましたし、花嫁衣裳として復活することも、あるかも知れません。通常の着物よりも動きやすく、着付けしやすく、お洒落のバリエーションが広がるなど、魅力いっぱいの女袴が、幅広い層にもっと楽しまれる素敵な時代が来るのも、夢ではきっとないでしょう。

社会で活躍する大きな夢を抱いて闊歩した、はいからさんたちのように伸びやかに、自由に袴を楽しみませんか?

 

 

 

 

 

 

 

 

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