【紳士淑女に贈るラブレター 第 1 回】レストランでの大人のマナー
こんにちは、プロトコールジャパン株式会社代表の花房英子です。暮らしの小さなヒントになればと思う事柄をプロトコール・マナーの目線で、お読みくださる紳士淑女の皆様に心を込めてお届けしたいと思います。
花房英子 EIKO HANAFUSA
プロトコールジャパン株式会社代表取締役
2006 年 プロトコール・国際マナー研究家の母とコミュニケーションツールとして一般社会に「身近なプ ロトコール」を普及させるプロトコールジャパン株式会社を設立。
主宰するメゾン・フラワータフトでは「おうちを素敵に、おうちで素敵に」をコンセプトに、空間&テー ブルコーディネート、プロトコールとマナー、ホームパーティの開き方などのスクール運営、企業向け提案、セミナー、制作監修、コラム連載などの活動中。食空間コーディネーター、フォトグラファー
<Protocol Japan> http://www.protocol-japan.co.jp
<Maison FLOWERTUFT> https://www.flowertuft.com
プロトコールとは?
国際的な交流の場で必要なマナーのことを指します。外交や皇室で用いられている決まり事・マナーですが、時代の変化とともに、民間でも国際的に通じるプロトコールが必要になりました。文化や歴史、習慣の違いで誤解を生じさせないための世界共通のマナーがプロトコールなのです。
東京オリンピックも近づき、日本のどこでも誰でも国際的マナー、プロトコールの知識が必要になっています。マナーやお作法は流派や地域によって違うことがありますので、まずはプロトコールを知ってみませんか。
結婚披露宴のテーブルマナーもプロトコール
“プロトコール”を初めて聞くとおっしゃる方も、結婚披露宴のテーブルにつかれた経験はおありかと思います。このテーブルマナーもプロトコールなのです。
レストランやホテル、海外旅行先で、スマートなテーブルマナーをさらりとこなし、ますます紳士淑女ぶりを上げてみませんか。今回はレストランでのカッコいい大人のマナーについて、いくつかポイントをお伝えします。それぞれのシーンをイメージしながら読み進めてみてください。
レストランで気をつけたいマナー
【予約】
電話をする場合は、忙しいと思われる時間はなるべく避けましょう。キャンセルや人数変更がでたら必ず連絡をします。近年予約だけして姿を見せないお客さんが多くなっているそうです。これは迷惑以外のなにものでもありません。相手を思いやる気持ちはプロトコールの基本です。
便宜上、食事をする場所の総称としてレストランと言っていますが、お店の形態によって格があります。フランス料理店でしたらブラッスリー→ビストロ→レストラン、イタリア料理店ならオステリア→トラットリア→リストランテの順に格が上がります。TPO に合った装いで出かけましょう。
【着席】
プロトコールの原則としてレディファーストがあります。テーブルに案内されて席に着く際、サービスの方が椅子をひいて着席のサポートをしてくれますが、サービスの方がいない場合は、男性が同伴の女性のサポートをします。紳士の皆様、ご自分だけが、さっさと先に着席しないようお気を付けください。照れくさくてすぐにはできないという方は、女性が着席するのを見守ってから席に着くようにしましょう。着席の際は椅子の左側からかけます。
【オーダー】
メニューが決まり、いざオーダーする時、サービスの方を声に出して呼んだり、手招きしたりして気づいてもらう動作は紳士淑女には相応しくありません。メニューを閉じて静かに談笑しているうちにテーブルに来てくれます。メニューを広げてある状態はまだ決まっていないと認識されます。待っているのに気付いてもらえない時は目を合わせるとサインになります。もう少しアピールをしたくて手を使う場合でも、ゆったり優雅に目の高さより上にあげない方がスマートです。
【ナプキン】
ナプキンは、食事の始まりと終わりを告げるサインにもなります。上手な使い方ができる人はこなれた感じがします。膝の上に二つ折りにして輪をご自分の方にして置きましょう。ナプキンを膝に広げるタイミングは、着席早々だとお腹をすかせた子どもの様に映ります。主賓がいる席では、主賓や主賓婦人がナプキンを取り膝に置いてから、それにならって取ります。
食事中、ワイングラスに口をつける前には、軽くナプキンで口元を押さえます。淑女の皆様は、口紅がナプキンやグラスにべっとりと付いてしまわないように工夫が必要です。事前にティッシュなどで押さえておきましょう。また、色々な化粧品メーカーから出ている落ちない口紅でご自身に合うものを見つけておかれるのもよいですね。
ナプキンをテーブルの上に戻すと食事が終わったサインです。その際、きちんと折りたたんで置くと「もう二度と来ません」というネガティブな意味になるので、雑に置くとよいと言われています。ただ、あまり乱雑すぎるのは美しくありません、使用したことがわかる程度に、角を合わせない軽いたたみ方でよいでしょう。
マナーは人格を表す!
普段から正しいマナーを知って、自然と動作に表れるようになると楽ですね。「マナーは人格を表す」といい、立派な方でも、ただマナーを知らなかっただけで、人格まで誤解されてしまうことが起こり兼ねません。そして、マナーで助けられることもたくさんあります。立ち居振る舞い方だけで判断されやすいレストランやホテル、旅先。紳士淑女らしいスマートなマナーで楽しい時間をより豊かに過ごしましょう。
それでは、また次号でお目にかかりましょう。
文・写真 花房英子