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その癒し、5つ星級。人生を変える会員制リゾート

創業から192年、究極の「寝心地のよさ」を求め進化を続ける、ワンランク上の寝具の老舗『IWATA』(前編)

創業から192年、究極の「寝心地のよさ」を求め進化を続ける、ワンランク上の寝具の老舗『IWATA』(前編)

創業は1830年(天保元年)、京都三条通りの西洞院に「岩田蒲団店」を構えて以来、「心地よい眠りとは何か」を常に追い求め、代々独自の研究・開発を続けて時代の一歩先をゆく高品質の寝具を作り続けている『IWATA』。先ごろ、2021年に始まり今年で2回目を迎えた、世界に誇る日本ブランドの名品に贈られる「Jaxury Award 2022(ジャグジュアリー・アワード)」を受賞。寝具メーカーとしては唯一の受賞を果たしたIWATAの寝具について、ご紹介します。

 

※JAXURYとは、日本発(Japan’s)の、ほんもの(Authentic)の、心地よさ(Luxury)を意味する造語で、この言葉を定義とし、これからの時代に求められる「日本発の感動体験」を発信していくことを目的に、その理念に共感した9人のメンバーによって社団法人として立ち上げられたJAXURY委員会が選出するもの。“日本のものづくり”にフォーカスし、本質的な豊かさを提供する商品やサービス、ブランドの素晴らしさや価値を讃えるものとして選ばれた企業に賞が贈られる。

引き継がれてきたものづくりへの探求心

IWATAは1830年(天保元年)に岩田蒲団店として創業しました。江戸時代以前、日本では綿はほとんど作られていませんでした。江戸時代になり、各地の大名が自分の領地で主に軍事目的(火縄銃の縄、甲冑を締めるひも、陣幕など)で綿の栽培を始めました。すると、綿作りは意外にもうまくいき、河内や摂津など関西にも綿の一大産地ができました。その綿が徐々に一般にも流通するようになってくると、一部の特権階級の人が綿入りの蒲団を使用するようになり、初代岩田市兵衛により岩田蒲団店がスタートしたのです。一般家庭で綿の「布団」が使用されるようになったのはかなり後のことになります。

綿の研究から羽毛へ

岩田 有史

株式会社イワタ 代表取締役社長 岩田 有史(いわた ありちか)氏/ 快眠術の専門家。睡眠環境、睡眠習慣のコンサルティング、眠りに関する教育研修、睡眠関連商品の開発、寝具の開発、睡眠環境アドバイザーの育成などを行なっている。

現社長 有史氏の祖父である三代目 岩田市兵衛氏はずっと綿の研究をしていました。しかし晩年、欧州で「羽ぶとん」が使われているのを知ると、他に先駆けて羽毛の研究を始めます。ところが、市兵衛氏の時代には、羽ぶとんを実用化することはできませんでした。日本では夏になると湿気が多く気温が上がると動物臭がしてしまう。その原因までは突き止めたのですが洗剤が開発出来ておらず、洗剤の開発にも携わったのですが、うまくいかなかったのです。

その意志を継いで、有史氏の父・卓三氏が羽ぶとんの研究をさらに進め、実用化に成功します。卓三氏は羽毛で最も困難な脱臭と殺菌、ごみの除去を可能にする『イオゾン』を開発します。汚れをイオンで分離・除去し、オゾンで殺菌するという画期的な仕組みで、当時、世界9カ国で特許を取得しました。
羽毛は日本ではほとんどとれず、すべて輸入のみ。水鳥などの肉の部分が食べられたあとの副産物として発生するため、あひるやガチョウを食べる国、フォアグラを摂る国からしか発生しないのです。輸入された羽毛を、安全で上質な羽毛に仕上げるのがイオゾンの技術なのです。

また、市兵衛氏のときに開発出来なかったのが、国産の羽ぶとんの生地でした。一時期、繊維商社に勤務していた卓三氏は、紡績会社と共に生地の開発に着手。家業に復帰した卓三氏は1963(昭和38)年に株式会社イワタを設立し、翌年に糊や樹脂を使用しない『ダウンプルーフ』を発表。他社の追随を許さない、親子2代に及んだ日本の環境に応じた羽ぶとんの製造に至ることができたのです。その後、卓三氏は羽毛の精製力を高めた『イオゾンα2』も開発し、家庭で洗える羽ぶとんを完成させ、イワタの代表商品の一つとして誕生したのです。そしてさらに卓三氏は、敷布団の素材となる獣毛(ラクダ、ヤクなど)の研究も始めました。

寝具素材の研究から「眠り」の研究へ

有史氏の代になって、これまで祖父や父がやってきた寝具素材の研究とは異なる、「寝具と睡眠の関係」をテーマとした新たな研究を始めます。
当時、寝具と眠りの関係性はあまり解明されていない分野でした。睡眠の研究というと、不眠や脳科学に焦点が当てられていたのです。寝具は眠るための道具であり、目的は眠りなのに、眠りのことを知らずして寝具を作っていたというのがこの業界の主流で、どちらかというと繊維の研究に比重が置かれていました。寝具メーカーは、布団生地の素材や柄を変えたり、縫製や中綿の種類を変えたりして、新商品として売り出していたのです。新商品に、よく眠れるということに繋がる何か工夫があるのかというと、そうではありませんでした。

寝具の目的は眠ることなのに、睡眠について知らずに本当によい寝具が作れるのだろうかと疑問に思った有史氏。大学と連携して睡眠についての共同研究を始めます。睡眠の研究には、温度や湿度管理、脳波なども測定できる装置のある専門の施設が必要だったのです。研究を重ねるうちに有史氏は、ヒトの良質な眠りには、掛け布団と敷布団の間にできる空気との関係がとても重要だということに気づきます。布団によって作られた遮断された空間にヒトの体という物体が入り、そこからの熱が放散され水分が放出される。この布団の内部空間の空気の状態(寝床内気候と呼びます)をどううまく調整できるのかが、寝具の一番重要な部分であることを発見するのです。

代々の研究成果が作り出すIWATAを代表する寝具『ラークオール』

オールハンドメイドのベッドマットレス『ラークオール』[253,000円~(各種サイズあり)]

IWATAを代表する商品の1つがベッドマットレスの『ラークオール』。代々にわたり、研究・開発してきた成果を結集して作られた寝具とも言えます。カシミア、キャメル、ヤク、ホースなどの高級天然毛を重ね合わせ、厳選した生地を使用し熟練の技を持つ職人によって、一つ一つオールハンドメイドで仕上げられるオーダーマットレスです。2008(平成20)年にはグッドデザイン賞を受賞しています。

天然素材の特性を生かし、快眠環境を創造する

ラークオールに使用されるのは、ゴビ砂漠近辺のラクダやヤクの毛。中近東のラクダは毛が伸びません。冬はマイナス30℃、夏は逆に30℃以上にもなる寒暖差のとても激しい地域に生息しています。そのため、冬は保温力が高いことが容易に推測できますが、毛の繊維自体がカラッとしていて水分を持たないのです。

夏の不眠の原因となるのが、背中の湿度。深く眠ろうと思っても、湿度が上がると背中が蒸れて熱くなるので自然に寝返りが増え、眠りも浅くなり不眠になってしまうのです。背中の湿度を低減しておくことが夏の快眠のポイントなのだそう。ラクダの毛はとても放湿性がよく常にカラッとしているので、夏は快適、冬は逆に背中を温かく保てるので、冬でも厚くて重い掛け布団は必要ありません。体は背中の放熱のほうが胸からの放熱よりも大きいので、敷布団やマットレスでしっかり保温すると掛け布団は薄くて軽いものでも温かく感じられ、眠りやすくできます。

IWATA京都本店1Fにディスプレイされているラークオール内部の素材の層

ラークオールには、「蒸れない」「揺れない」「暖かい」という3つの特徴があります。高級天然毛を使用しその特性を生かすことにより、従来のマットレスに使用されるウレタン等の素材で起こる放湿性の悪さによる蒸れを大幅に低減し、湿度調整に優れた良質な寝床環境を作り出しています。
また、ポリエステル製の芯材を組み合わせ、日本の「畳」の構造をヒントに高級天然毛を上層ほど繊維が細かくなるように積み重ねた積層構造によって、振動や横揺れを解消し安定した寝姿勢を保てるようにすることで深い眠りへと導いてくれるのです。そして、天然毛は保温性にも優れているため、冬は暖かく眠ることが出来ます。

日本の四季や室内環境を考慮した製品づくりとプロによる眠りの提案

IWATAでは、ベッドマットレス以外の寝具についても、様々な製品づくりを行なっています。
日本には春夏秋冬の四季がありますが、例えば冬、日本の家屋では寝室暖房して寝る人も少なくあまり温度を上げないまま、寝室が冷たい状態で眠ることがあります。あるいは夏だと、二階に寝室があり、昼間はエアコンが効いていなくて寝る直前だけエアコンをつけるという人も多いでしょう。そうすると輻射熱が部屋全体に残っているなど寝室の環境もいろいろと異なります。四季折々の眠り方、北海道から沖縄までの南北の気候にも違いがあり、住宅もマンションから戸建て、京都の町家のように断熱性の悪い家屋もあるなど条件も様々で、日本の四季をどう眠るかというのは、マットレスなどの寝具に使用される素材をいかにうまく組み合わせ、活かせるかが重要なカギなのです。

麻パッドshitone(しとね)[シングルサイズ39,600円~(各種サイズあり)]とブルーのグラデーションの染めが美しい二重ガーゼケット あけぼの[25,300円]

ふんわりさらりとしたやさしい肌触りのガーゼケットは大小サイズがあり、赤ちゃんのおくるみとしても人気[シングルサイズ15,400円/ ハーフサイズ 9,900円]

そこでIWATAでは、夏のシーズンはさらにもっと涼しくということで、放湿性の高いキャメルの敷パッドの上に薄く肌触りのやさしい麻パッドを敷くことや麻のシーツを用いることにより、汗をかいても家庭でも洗いやすく、涼しく快適に眠れる提案なども行なっています。

IWATA京都本店2Fショールーム

オーダーメイドのラークオールは、京都本店2Fや東京新宿パークタワー内OZONE 5F、リーガロイヤルホテル大阪店のショールームで、睡眠改善インストラクターや睡眠環境アドバイザーの資格を有する社員のアドバイスを受けて、寝心地を実際に体験しながら選べます。硬さも色々なバリエーションがあり、大きさ、長さなどは使用しているベッドに合わせてフルオーダーも可能。マットレスと組み合わせるベッドパッドの厚みによっても寝心地は変わってくるので、様々な組み合わせを試し、自分に最適なものを選べます。

IWATAの理念

IWATAは、『自然との調和を眠りから』を理念とし、これを実現するために「自然のリズムに則した良質の眠りをお届けすること」、「自然の限界の範囲内でものづくりをしていくこと(環境に配慮し、環境破壊をしないものづくりを目指していくこと)」を基本として、企業活動を行っています。

東洋の言葉で「天人合一(てんじんごういつ)」という言葉があります。自然界のことを大自然(大宇宙)といい、体の内なる世界のことを小自然(小宇宙)と呼ぶのですが、大自然のリズムと体の中の小自然(小宇宙)のリズムが同調したときに人は健康であり、健康を獲得しやすいという意味を持っています。この言葉に習い、眠り自体もそうですが、ものづくりにもこの「天人合一」の考えをベースにしていこうというのが、IWATAの目指すものづくりなのです。

後編では、このIWATAの理念を基に作られる、モノづくりへのこだわりと独創的なベッドについてご紹介しましょう。

取材・文・写真 森永桂子

寝具御誂専門店IWATA(京都本店)
京都市中京区堺町通三条上ル
TEL: 075-241-2332
営業時間:11:001900
定休日:水曜日/夏期・年末年始
https://www.iozon.co.jp/

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