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その癒し、5つ星級。人生を変える会員制リゾート

創業から192年、究極の「寝心地のよさ」を求め進化を続ける、ワンランク上の寝具の老舗『IWATA』(後編)

創業から192年、究極の「寝心地のよさ」を求め進化を続ける、ワンランク上の寝具の老舗『IWATA』(後編)

ヒトの体は、睡眠を通して体の中のリズムを整えていきます。体内にはいろいろなリズムがあり、睡眠と覚醒という一日に一回程度のリズムもあれば、脈拍、呼吸、消化酵素の働きなど色々なリズムがあり、それがうまく同調されているときに体は健康であると考えられています。眠りを通して体と心の健康を維持したり、取り戻していただきたいとの願いを込め、IWATAの研究・開発とモノづくりは続いています。

前編に続き、後編では『IWATA』の究極の品質へのこだわり、また独創的なIWATAのベッドについてご紹介します。

高い品質と徹底した環境への配慮

循環できる素材を選ぶ

IWATAの寝具は、環境負荷を出来る限り抑えた製品作りを基本に考えられています。使われているのは、自然のものや再生しやすいものが中心。従来の寝具は、素材を入手し、製品を作り、使用後は廃棄するというものでした。しかし、この流れでは立ち行かなくなってきています。出来る限り自然のもの(循環できる素材)でモノづくりを行い、自宅でメンテナンスしやすいようにして商品をできるだけ長く使えるようにする。それでも寿命はくるので、再生(布団の場合はお仕立て直し)して再び使ってもらうという循環を作りたいと、実際に取り組まれています。

お仕立て直しで長く使う

IWATAでは、同社の寝具であれば、120年以上の長きにわたり使ったものまで、また他メーカーのものでも羽毛布団については、お仕立て直しの対応をしています。
一旦水で洗い、独自のイオン処理を施し、不良になった羽毛(ちぎれたもの、毛玉になったもの)を取り除き、そこに新しい羽毛を充填する。そのようにして仕立て直しされた寝具は、IWATAの製品基準である家庭で洗えて、直射日光で日干しできる掛け布団に再生することができるのです。「洗濯機で洗えるので、汚れが気になったら洗濯をし、出来るだけ長く快適に使っていただきたい」と有史氏は言います。

特に近年、SDGsへの関心の高さからお仕立て直しを希望する方が増えてきているそうです。

布団の中の空気も安全に、「エコテックス」認証へのこだわり

寝具用の生地に関してもIWATAが織組織を設計し、織布工場に依頼して、独自の加工を施した織布を作っています。また羽毛やラクダの毛、ヤクの毛など自然のものを使っていますが、動物の皮膚の断片や水洗いだけでは取り除けない微細なごみも、独自のイオン化技術で極限まで取り除き、衛生面にも配慮。

また、全ての商品が「エコテックス」という有害化学物質の検査を受けた素材のみで作られています。(エコテックススタンダード100認証)
「エコテックス」とは、ヨーロッパを中心に広がっている規格で、製品にその認証ラベルを付けるためには、その製品を構成しているすべての部材、例えば布団では、生地、中綿、テープ、縫い糸、品質表示の布など全てのパーツが基準に合格してはじめて製品にラベルが付けられます。全商品の認証にこだわるのは、できるだけ寝床内の空気までも安全にしたいという思いから。掛け布団だけ、または敷布団だけでは、体を包み込む布団の中の空気そのものを安全にすることができないという考えからです。

使用する自然の素材に関してもそれぞれの特性があるので、掛け布団に合うもの敷布団に合うもの、夏に合うもの、冬に合うものをしっかり見極め、適材適所に使っていくそうです。

※エコテックススタンダード100
350を超える有害化学物質が対象となる厳しい分析試験にクリアした製品だけに与えられる、世界最高水準の安全な繊維製品の証。1992年の発足より、のべ20万件を超える認証実績があり、今なお全世界での需要が高まっている。欧州では、取引や購入の際にエコテックスラベルの有無を確認されることも多く、消費者にも高く認知されている。

和の自然素材で作られる快適ベッド

KAGUYA KOKOCHI (かぐやここち)[シングルサイズ220,000円~/ヘッド付タイプ360,000円~(各種サイズあり)]

前章で自然の素材を適材適所にという点に触れました。IWATAの作るベッドフレームにもその信念が反映されています。1つ、ご紹介しましょう。
岡山県産の孟宗竹で作られるベッド、『KAGUYA KOKOCHI(かぐやここち)』。竹は他の木材に比べて固くて丈夫なうえ、抗菌性・調湿性にも優れているため、ベッドフレームとしても適しています。また、竹のしなやかな「しなり」は、やさしいスプリングの役割を果たし、その張り感のあるやわらかな弾力で寝心地も快適です。ヘッドボードの竹の皮が創り出す自然美のデザインによって、和室のみならず洋室でもオシャレに、飽きることなく使えそうです。

IWATAだけの新感覚の寝心地、人類進化ベッドとは

有史社長とある研究者との出会い

チンパンジーのベッド 【撮影:座馬耕一郎/撮影場所:タンザニア マハレ山塊国立公園】

社長の有史氏は、睡眠文化の研究をしているグループのメンバーと旧知の中でした。その中に、当時、京都大学で猿の研究をされていた座馬耕一郎先生(現在、長野県看護大学准教授)がいらっしゃいました。
座馬先生はタンザニアのマハレで、チンパンジーの生態について研究をし、長いときは1年くらい滞在していました。チンパンジーは、毎日新しいベッドを作ります。朝起きると木から降りて餌を求めて移動し、夜になると新たなベッドを作って眠るという習性があるのです。1年で365個、生涯で1万個以上ものベッドを作るベッド作りの名人なのです。
あるとき座馬先生は、チンパンジーが前日に作ったであろうフレッシュなベッドが木の上に残っているのを見つけます。そのベッドに横になってみたところ、体を包み込まれるような感覚と、ほどよい揺れに爆睡してしまったそうなのです。

「眠り展」への出展

有史氏は、座馬先生から「岩田さん、一緒にチンパンジーのベッドを作ろうよ」と声をかけられます。タイミングを同じくして、睡眠文化の研究をしているグループから京都大学の総合博物館で、「眠り展」という展覧会の計画を聞きます。眠り展は3カ月ほどのスパンで行われるイベントでしたが、睡眠の文化を示すような、例えばセイコーが最初に作った目覚まし時計とか、ワコールが作った最初のネグリジェ、アフリカの木のベッド、中国の陶器の枕など、様々な睡眠文化に関連するものが集められ、展示されるとのことでした。

そこで、チンパンジーが作ったベッドの寝心地を再現しようというプロジェクトが発足されました。座馬先生とデザイナーと有史氏の三人で、眠り展に向けてチンパンジーの寝心地をベースにしたベッド作りが本格的に始まったのです。(最初はあくまでも展示用としてのベッド作りでした。)

チンパンジーのベッドを再現する

座馬先生は赤外線カメラでチンパンジーが寝ている様子を撮影していました。チンパンジーは約820メートルくらいの高さのところにベッドを作りますが、寝返りを打つとベッドが揺れます。その揺れ幅のデータを分析し、寝心地のポイントとなるその自然な揺れをどう作り出すか、色々な試作品が作られました。
面白いのは、チンパンジーとヒトは約700万年前に、進化の過程で分岐をしています。ヒトの元を辿るとチンパンジーとヒトはほぼ近い原点に辿り着くのですが、そのころからおそらくチンパンジーはベッドを作り続けていたでしょう。ヒトも二足歩行をし始めた約100200万年前は、木の上で寝ている時期があったということが化石からわかっています。つまり、チンパンジーのベッドは、実はヒトが木の上に作ったであろうベッドの構造とほぼ同じだろうと推測され、ヒトが最初に寝ていたベッドの再現でもあるということで、京都大学の総合博物館で展示されることになったのです。

木の上のやさしい揺れを再現するのは、とても難しく試作品は7~8回作られました。段ボールで模型を作ったり、上から吊るしてみるなど、いろいろなアイデアが出された結果、足にカーブを付けて、360度どの方向にも揺れるような工夫をし、揺れすぎて落下することのないよう揺れ過ぎ防止の足も取り付けられました。カーブの角度と揺れのバランスを幾度も検証して、座馬先生が体験した本物のチンパンジーのベッドの寝心地をとことん追求したのです。

完成した「人類進化ベッド」

人類進化ベッド[407,000円~]

無事ベッドは完成し、展覧会に出展したものの、まだモックアップで市販に耐えるものではありませんでした。しかし、寝心地は確かにとてもよかったので販売しようということになり、1年半をかけて耐久性や安全性をブラッシュアップし、製造ラインに載せられるまでに開発が進みました。

完成した「人類進化ベッド」は、その包み込まれるような安心感と心地よい揺れが女性に人気で、このベッドに買い替える人も多いそうです。また、購入者の約3割の方はリビングに置き、ソファ代わりに使われています。
手や足を動かすだけでベッドが少し揺れます。ヒトは同じ姿勢で寝ていると荷重がかかる部分がしびれてくるため、自然に寝返りを打っていますが、揺れるたびに荷重を受けている体のポイントが少しずつ変わり、寝返りが通常より減るのです。

人類進化ベッドの包み込まれるような寝心地

チンパンジーのベッドは大きくわけると二層の構造になっています。土台部分は、周囲の木から複数の太い枝を折り曲げて真ん中に向けて集めます。その上に、葉っぱのたくさんついた細い枝を敷き詰めていき、上はふわふわ、下はしっかりしたベッドをあっという間に作ります。その形は、楕円形で真ん中がくぼんでいるため、寝返りを打っても落ちることなく、ゆりかごのように揺れるようになっているのです。

リビングなどに置いてソファとしても使えます

この構造を模して、下を特殊なベルトを組んで支え、上に柔らかいフェザーのマットを載せ、チンパンジーのベッドと同じような感触を再現しています。ヒトが最初に作ったであろうベッドの寝心地にもおそらく近いものと言えるかもしれません。
この人類進化ベッドの楕円形に合わせたベッドパッドや掛け布団もあります。ベッドパッドの周囲はピザ生地の端のように盛り上がっていて、枕がわりになるので枕は不要です。
この人類進化ベッドはIWATAの各店舗に置かれていて、寝心地を試すことができます。

2016年(平成28年)に開催された「眠り展」では、たまたまこのチンパンジーの再現ベッドがメイン展示となり、国内の新聞、イギリスのガーディアン紙にも掲載されました。今でもいろいろな雑誌に取り上げられていて、昨年は科学雑誌のNewton(ニュートン)にも掲載されています。

IWATAが目指す未来志向のモノづくり

IWATAの寝具は、国内のさまさまなホテルでも多数採用されています。
【写真ご協力:アートビオトープ那須 スイートヴィラ】

【写真ご協力:nol kyoto sanjo】

よく眠れる寝具を作ることは当然ですが、お仕立て直しを始めとする、環境に配慮した循環型のモノづくりが行われていることは他の章でも触れました。『サーキュラーエコノミー』『サーキュラーデザイン』と呼ばれますが、「作って」→「使って」→「捨てる」から、「作って」→「使って」→「使い続ける」というビジネスモデルに、IWATAは取り組んで行こうとしています。また、出来る限り生産過程での廃棄物を少なくすることにも挑戦しようとしています。

使用するラクダの毛などを精製するときに落ちるごみを、有機肥料の原料として供給。これまで、産業廃棄物で捨てていたものを再利用する仕組みにどんどん変えているのです。裁断くずからもう一度糸を作り出し、新たな製品を作ることも行っています。老舗の立場に甘えず、ずっと先の未来を見据え、一歩先を行くIWATAの寝具。富裕層の間でも人気です。

取材・文・写真 森永桂子

寝具御誂専門店IWATA(京都本店)
京都市中京区堺町通三条上ル
TEL: 075-241-2332
営業時間:11:001900
定休日:水曜日/夏期・年末年始
https://www.iozon.co.jp/

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