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「お琴」の魅力にハマる!歴史・種類から、演奏会でのマナーをご紹介

「お琴」の魅力にハマる!歴史・種類から、演奏会でのマナーをご紹介

「琴」という楽器を知っていますか?

お正月に流れてくるBGMから聴こえてくる、「春の海」。

曲の初めの琴のメロディは、日本人なら誰でも口ずさめる琴の名曲です。5つ星マガジン読者の中には、実際に琴を演奏される方もいらっしゃるかもしれませんね。

和楽器として定着している琴ですが、その由来や歴史となると、意外と知られていないのではないでしょうか。

そんな琴の魅力をじっくりとご紹介していきましょう。

「琴」とは?

お琴

琴は中国古代の弦楽器であり、日本では伝統的な和楽器として定着しています。一般的には横幅が約1.3m、奥行きが20cmほどの大きさで、弦は13本あり、琴爪で弾くことで演奏ができます。
ここからは、そんな琴の歴史についてご紹介します。

「琴」の歴史

日本での遺跡の発掘などで得られた研究調査では、3世紀頃、既に琴の原型となる楽器が存在していたことがわかっています。
この琴は、権力者や支配階級の象徴とされており、祭祀などで使われる神具として用いられていました。

奈良時代になると、中国大陸から「琴(コト)」と呼ばれる楽器が日本に入ってきます。ここから、両者は融合し、琴はどんどん多様化していくのです。 

平安時代には貴族がたしなむ教養のひとつとして用いられましたが、鎌倉時代になると、貴族の権勢が衰え、武士や仏教の担い手である僧侶が力を持ち始める故、琴は寺院音楽の楽器として広がっていきます。 

絵画、建築、茶道や華道などが発展した室町時代は、琴の演奏においても、優れた音楽性や価値のある芸術性を追求する時代でもありました。 

12世紀の終盤には、福岡県久留米市の浄土宗・善導寺の僧侶・賢順が、雅楽をもとにした「越天楽」や「春風」「四季のみだれ」などを作曲し、「筑紫流箏曲(つくしりゅうそうきょく)」というジャンルも生み出されました。 

17世紀になると、織田と豊臣の両政権によって、やっと国内が統一されます。

町人文化が隆盛する江戸時代、琴を奏でる演奏家も、検校(けんぎょう)や別当(べっとう)、勾当(こうとう)、座頭といった職業音楽家が生まれます。
京都の銘菓「八ツ橋」の由来ともなった、八橋検校が有名です。
彼は幼い頃に失明しますが、職業音楽家となるために、筑紫流箏曲を学び、さらに改良して、独自の琴の楽曲を生み出したことで有名です。
半音階をふんだんに使った表現豊かな技巧的な奏法で、八橋流十三曲といわれる組歌のほか、「六段の調」「八段の調」「乱れ(輪舌)」などの段物(だんもの)と言われる楽曲の原型を作り上げました。 

このようにして、町人文化となった「琴」は、三味線とともに、裕福な家庭での「お稽古事」の主流となります。また、それまで単旋律で演奏されていた曲が、複旋律を使うようになり、曲の幅を広げたのもこの頃と言われています。

さらに洋楽が入り始めた明治以降、現代に至ってもまだ、その時代に合わせた曲が作曲され続けています。「古曲」と言われる古い曲から、現代の洋楽とのセッションまで、長きにわたり、「琴」は進化し続けているのです。

「琴」の種類。「琴」と「箏」の違いとは?

通常、「琴」を言えば、この「筝」という十三弦の物を指します。
5つ星マガジン読者の方も、TVや舞台などでご存じの方も多いでしょう。実は「琴」というと、古楽器を指すものなのです。ちょっと混乱しそうですね。
ここでは敢えて、「筝」と「琴」も分けて、種類をご紹介していきましょう。

筝(そう)

私たちが、通常「お琴」と呼ぶものですが、正しくは「筝」と言います。
「こと」は、古くは弦楽器すべてを表す日本語で、漢字では「琴」と表します。
「琴」は「キン」とも読み、平安時代の七弦の楽器をさす場合がありました。
実は、これは「琴柱(ことじ:胴の上にたてて弦を支え、その位置を変えて調律するための「人」の字形の道具。)」を使わない楽器のことを指します。つまり、板に弦が張ってあるものですね。
それに対して、「琴柱」を使う「おこと」として知られている楽器は「箏」と書きました。
ただ、「箏」の字が常用漢字に含まれていないため、楽器をさす場合は「箏」の字を、「ことじ」「こといと」「ことづめ」などの付属品をさすときには「琴柱」「琴糸」「琴爪」などと「琴」の文字を使うことになっています。
「筝」の弦は十三絃で、もっともメジャーな「琴」で、TVなどで観る「お琴」は、この十三絃の物なのです。
良く緋毛せんの上に琴を置いて、弾いている映像などをご覧になった方も多いかと思いますが、特に決まったことはないようです。専用の台があって、そこにおいて椅子に座って弾くと言う形もあります。 

十七絃

合奏曲の低音部を受け持つ箏として、1921(大正10)年に大検校・宮城道雄が考案しました。十三絃と同じ形ですが、全体的に幅、長さ、厚み があり、十七本の弦を張ります。
弦の太さも全体的に太くなっています。

古琴

古琴は、中国の伝統楽器です。七弦琴(しちげんきん)とも呼ばれ、3000年の歴史を持ち、その名の通り、7本の弦を持つ琴です。 

一弦琴

文字通り、一本弦のシンプルな琴です。板琴、須磨琴などとも呼ばれ、日本には江戸時代初期に中国から伝来されました。幕末の土佐藩士のあいだで流行し、土佐一絃琴と呼ばれました。

二弦琴

1820年に中山琴主(ことぬし)が出雲大社への献納用楽器として考案したことから、「出雲琴」と呼ばれました。後に、中山琴主の代表曲「八雲曲」にちなんで、「八雲琴」とも言われます。
弦が二本でも、同じ律に調弦されることから、一絃琴を進化させたものと考えられています。残念ながら、現在は衰微しています。

大正琴

文字通り大正時代に作られた琴で、木製の胴に212本の金属で出来た弦を張ります。通常の「琴」と違うのは、簡単な鍵盤があるところです。鍵盤を左手で押さえ、右手でピックで弦を弾いて演奏します。

落札価格17億円!中国の「琴」

日本でも、「琴」の値段は高価です。これは、楽器に使われる木材によりますが、手軽なものなら10万円台。プロ仕様の高価なものになると、通常150万以上はする楽器です。

さる2010年、北京で行われたオークションで、宋・徽宗の御物で清・乾隆帝の「松石間意」の銘がある「琴」が、なんと、約17140万円で落札されました。
これは、今世紀最大の「高価な楽器」として、名をはせることになります。
1718世紀にイタリアで製作されたバイオリン「ストラディバリウス」が、落札価格12億円でしたから、「松石間意」は、世界最高価格の楽器になったというわけです。 

「琴」は世界遺産にも登録されており、世界的には「中国を代表する楽器」と言う認識があります。先ほども少しご説明しましたが、日本の13弦は「筝」と言う風に正しい名称は別にありますね。
上流階級に愛された楽器であるため、中国では文化大革命期、「批判の対象」となりました。しかし、台湾や香港、海外華僑などの間では、一貫して貴重なものとされており、古い名器が高額で取り引きされていたのです。
中国でも、1980年代ごろからやっと再評価が始まりました。
「琴」を愛する富裕層が増えたことで、価格が跳ね上がったのだと言われています。

「筝」を聴きに行きましょう!

筝の演奏会

さて、ここでは敢えて「筝」と呼ばせて頂きましょう。由緒正しい楽器の演奏会へ行くのですから。
日本舞踊や歌舞伎などで邦楽はお聴きになる方もいらっしゃるでしょう。実際「筝」の演奏会へ行く時のマナーなどをご紹介しましょう。

どんなところで演奏しますか?

日本のホールは、ほとんどが邦楽も演奏できるように施設が整えてあります。多目的に設計されているのからですが、やはり専門のホールで聴きたいものですね。
日本では、邦楽のためのホールがあります。いくつかご紹介しましょう。

●「国立劇場」 https://www.ntj.jac.go.jp/kokuritsu.html
半蔵門にある「国立劇場」は、歌舞伎や能、文楽など、伝統芸能専門の劇場です。
観た感じでもお分かりでしょうが、「うなぎの寝床」と言われる長方形の建物が特徴ですね。
これは、和の舞台の特徴で、歌舞伎を基本にしています。長方形の絵巻物のように観えるようになっているのです。
歌舞伎座を少し小さくしたような、由緒ある劇場です。

●石川県立音楽堂 https://ongakudo.jp/c_hall/c_hougaku/70
石川県金沢市にある「石川県立音楽堂」は、石川県に息づく古典芸能を継承・発展させることを目的としています。
こちらも、「うなぎの寝床」型の長方形で、長年培われた珠玉の技を、じっくりと味わえる空間となっています。

●中央区立日本橋公会堂 http://www.nihonbasikokaido.com/
400席の客席をと花道を備えた伝統芸能ホールです。
珍しく高さもあるため、芝居やオペラなども上演され、音響が良いのも特徴です。
終演後の人形町散策も楽しいイベントです。

服装やマナー

初めて邦楽の演奏会へ行く場合、どんな服装が良いでしょうか?また、気を付けなければいけないマナーはあるでしょうか?

まず、演奏時間をあらかじめ確認しておきましょう。
「筝」単独の演奏会は、通常、流派の門下が寄り集まって演奏することが多いので、人数も多くなります。そのため、邦楽の演奏会は「午前・午後」と、一日かけて行うこともあるのです。 

ご案内頂いた方や、お目当ての演奏者の時間に合わせて来場したり、退場したりと出入り自由ですし、時間に制約がないのが普通です。
なので、お知り合いの発表会などに呼ばれた際は、あらかじめ大まかな演奏時間を聴いておきましょう。
また、演奏者にプレゼントなどを渡したい場合も、受付で留め置きされるのか、直接渡せるのかは確認しておいた方が良いですね。 

会場に行くと、和装の方も多いですが、特にこだわることはありません。
そういう意味では、演奏者もそれぞれ門下によって衣装が違います。
例えば、やはり正装ですから、「絹」を使った着物を着る門下や、どんな物でもOKと言う門下もあります。現代曲を弾く場合などは、ドレスと言う方もいらっしゃるようです。 

ただ、せっかく邦楽の演奏会へ行くのですから、敢えて着物をお召しになるのも良いですね。その場合は、派手さを抑えた色合いや柄を選びましょう。
劇場は色んな人が来るところです。長く椅子に座ることもありますし、時間によっては、トイレも回数行く可能性もあります。着崩れしない、楽な着物を選ぶのが良いでしょう。

終演後のお食事なども楽しいですから、是非和装も挑戦してみてくださいね。

「琴」の伝説

ハープ

東洋にかかわらず、「琴」は存在しています。そして、その音色や形がどこか神秘的なのか、「琴」にまつわるお話しは多いですよね。有名なお話を二つご紹介しましょう。

日本の寓話

常陸国住人に琴御館宇志丸(ことのみたち うしまる)という者がおりました。
この者は、「一人で鳴る琴」を持っておりました。
その琴は、敵が来ると音を鳴らし出し、宇志丸に教えたため、彼は戦に負けることがなかったのです。
このため、一計を案じた敵は、和睦と言う男を使わせ、宇志丸の娘の婿とします。
和睦はその嫁をそそのかし、見事に父の琴の弦を切らせるのに成功します。
宇志丸が琴の弦が切られたことに気づいた時には、敵が攻め入っており、敗戦。
結局、近江国滋賀郡に逃げ落ち、日吉神人(神主)の祖先となったとされています。 

このお話は、『続群書類従』所収「耀天記」に記述されたもので、ベトナムに伝わる伝説と類型が指摘されていますが、日本風にアレンジされており、日本文化における琴の信仰観が伝わります。 

オルフェオとエウリディーチェ

これは有名なギリシャ神話です。
竪琴弾きのオルフェオが、蛇に噛まれて死んでしまった妻のエウリディーチェのことを嘆いていると、神の使いのアモーレ(愛)がやってきて、「ゼウス(神)が嘆きを聴いた、お前に妻を返してやる」と宣言します。
喜んだのもつかの間、条件がありました。それは、「黄泉の国を抜け出すまで、決して妻の顔を見てはいけない」と言うもの。
承諾し、黄泉の国へ行ったオルフェオは、無事にエウリディーチェと再会します。そして、地上へ帰ろうとする時、「なぜ自分を見ないのか」とエウリディーチェに詰め寄られ、答えに窮している内に、エウリディーチェは不信感に怒り、その感情に苛まれます。
「こんな思いをするくらいなら、黄泉の国へ戻る」と踵を返したエウリディーチェを、我慢できずに観てしまうオルフェオ。
結局妻は、再び帰らぬ人となるのでした。

ヨーロッパでは、竪琴やハープと言った、手に抱えて弾く楽器が主流でした。音楽の神様アポロンも竪琴を持っています。
伝説の時代は、日本もヨーロッパも、楽器が神からの力になったと解りますね。

最後に

最後に

知っているようで知らなかった「お琴」と言う楽器。歴史が長いだけに、時代によって、形や用途、弾く人さえも、自然に変えていった楽器と言えます。

TVや映画などでもよく目にする楽器ですが、その演奏となると、中々聴きに行く機会はないかもしれません。
ここは一度、お着物と洒落こんで、会場へ足を運んでみてはいかがでしょうか。
古の弦の音が、現世の考え事を消し去ってくれるかもしれませんよ。
心に染み入る弦の音を、どうぞお楽しみくださいませ。

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