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その癒し、5つ星級。人生を変える会員制リゾート

極上の墨をする。 最高級硯が引き出す墨の色。

極上の墨をする。 最高級硯が引き出す墨の色。

何か新しいことを始めたいと思ったとき、書道も選択肢のひとつとして考える方も多いのではないでしょうか。自由に楽しむ書はもちろん、写経、オンラインの書道教室などもあります。心静かに真っ白な半紙に向かう。墨の香り、黒い清々しい線…。美しい黒を表現するためには、墨はもちろんですが、硯が大切なのだそうです。美術品、アンティークとしての価値も果てしない、硯の魅力をご紹介します。

代表的な硯は、和硯と唐硯。

硯において代表的なのは、日本の和硯と、中国の唐硯です。硯が発明されたのは中国で歴史は大変古く、2千数百年前にさかのぼるそうです。
その中でも宋代(960〜1279年)のおそらく初期の頃の硯は名品といわれ、日本に伝わったのもその頃のようです。

和硯と唐硯を比較すると、コレクターズアイテムとしては、唐硯の評価が高く、その大きな理由のひとつは、石が元来持つ紋様の美しさ、多様さだといわれています。極めて美しい自然の石の紋様を生かし技巧を凝らして仕上げられた硯は非常に高価で取引されます。

和硯の赤間硯(あかますずり)、雄勝硯おがつすずり)は国の伝統工芸指定を有する。

赤間硯は、山口県宇部市や下関市周辺で採取される赤間石で作られます。800年以上の歴史があり、鎌倉時代には製造が始まっていたといわれています。赤間石は、石質が緻密で墨をする際に必要な石英や鉄分を多く含み、粘り気があって彫刻がしやすいといった特徴があるそうです。また、赤間石は採取にも特徴があります。ほかの硯石より乾燥しやすいため、露天掘りではなく坑内での採石が必要で、硯職人が自ら採石にあたるそうです。職人には、石を見極める選択眼、さらに坑内での採石技術も必要とされます。

完成した赤間硯は、墨を細かくすることができ、発色が美しく伸びの良い墨汁になると評価されています。また、赤間硯ならではの浮かし彫りや毛彫り、たたき彫りなど精緻な彫刻が施された、上質な美術工芸品としての硯もあります。国の伝統的工芸品として指定され、山口県無形文化財として工芸技術、技術保持者堀尾信夫氏が認定されています。

雄勝硯は、宮城県石巻市で採取される雄勝石で作られます。雄勝硯の歴史も古く、室町時代にはすでに産出されていたようで、600年以上の伝統があり、現在もその技が受け継がれています。雄勝石は黒色硬質粘板岩であり、純黒色で圧縮や曲げに強く、化学作用や経年による劣化もしにくいといわれています。
この石に注目した伊達政宗は、一般採掘を禁じた、そんな話もあるほど貴重な資材として評価されていました。雄勝硯の生産地は、東日本大震災によって壊滅的な被害を受けましたが、全国からのボランティアの援助で原材料や硯などを回収し、翌年には採石を再開すると伊勢神宮からの依頼の硯も製作、平成26年には特許庁により地域団体商標に登録されています。ギャラリーでの展示やワークショップなども行われています。雄勝硯もまた、国の伝統的工芸品に指定されています。

紫式部が源氏物語を書くとき用いた若田硯(わかたすずり)。

長崎県対馬市で作られるのが、若田硯です。昔、対馬若田川の川辺で自然のままで硯の形をした奇石が発見され、それが若田硯の起源といわれています。すったときに墨の粒子が微細に分散し美しい光彩を放つ発墨の良さで知られています。

紫式部が源氏物語を執筆する際に用いたのが、若田硯だといわれています。その頃はすでに京の貴族の間では愛用されていたようです。また、江戸時代の儒学者である林羅山は、中国の端渓硯に匹敵すると評価しました。

彫刻を施さず、石の風合いを生かすのが若田硯の特徴で、対馬市若田地区で採取される頁岩は、美しい石紋を持っているため、中国の名高い端渓硯などに匹敵する名硯となるそうです。

唐硯の最高峰は、端渓硯(たんけいけん)。

中国南部の広東省肇慶の風光明媚な深山幽谷で採取される紫を基調とした美しい石で作られる硯を、端渓硯といいます。端渓硯が作られるようになったのは、およそ1400年前といわれ、宋代には多くの種類が作られるようになりました。出現した頃から硯の最高峰といわれ、その絶対的な地位はその後他に譲ることなく現在に至っています。端渓硯を所有することはステイタスであり、中でも上質のものは皇帝への貢物にされました。希少で価値が高く賄賂として使われることがあるほどだったともいわれています。

端渓硯の魅力は、まず硯としての上質さにあります。端渓硯ですった墨は伸びがよい、墨に色が良い、墨が早くすれる、墨をする力が衰えない、筆に溜めた墨が涸れない、筆先を損じないなどといわれています。なぜ、このような利点が得られるかは、石の持つ質によります。硬度が低く、粒度は極めて細かい、さらに吸水性・透水性が低い、そんな性質が理想的な硯として機能するのです。これに加えて、眼と呼ばれる斑点の中に芯円を持つ独特の石紋などの現れ方や色合いといった石自体の持つ自然な美しさ、さらに彫刻の精巧さも高い評価を受ける要因になります。美術品として、骨董品としても評価が高く優れた年代物になると非常に高い値段が付けられます。

端渓硯には、次のようなランクがあります。

・最高級の老坑ろうこう

硯の中の硯、硯の王様といわれる端渓硯の中でも最上とされるのが、老坑で産出された石で作られる硯です。この石材は水巌と呼ばれ、最も高いレベルで硯材としての条件を満たしているいわれています。老坑の洞坑は地上から下へ掘り進められ、年中水に浸かっている状態なのだそうです。そのため、採取される石は老坑水巌石と呼ばれました。石の質としてはきめ細かでしかもしなやかであり、墨の良さを最大限に引き出す力を備え、筆先を痛めることもないといわれています。また、石紋の美しさも老坑水巌の特徴で、水に濡らすと美しさが際立ち、そんな石紋の美しさを鑑賞する楽しみ方もあったようです。採掘は水中で困難を極め多くの人を必要とし、一度の採掘で得られるのはほんのわずかでした。

・三大端渓硯のひとつ、坑仔巌こうしがん

老坑硯に次いで三大端渓硯のひとつといわれている、坑仔巌硯。老坑と坑仔巌は採取の入口が近く、石の質も似ています。にもかかわらず、老坑のほうが評価が高く、高額で取引されています。坑仔巌の方が比較的小さめの硯が多い、老坑より乾いているといった特徴があります。

・もうひとつの三大端渓硯、麻仔坑(ましこう)。

老坑、坑仔巌、そしてもうひとつの三大端渓硯が、麻仔巌です。紋様の多様さは老坑に次ぐといわれ、美しい色艶で深い紫の石色が特徴です。きめが細かく、すりやすいですが、鋒鋩自体は強くないといわれて、そのためこまめに手入れすることが大切です。鋒鋩とは、硯の表面の肉眼では確認できない凹凸で、この鋒鋩が弱くすり減ってしまうとヤスリとしての役割がなくなり、墨がすりにくくなります。お手入れの方法としては、硯専用の研石で丁寧に傷をつけないように研ぎます。

・宋代に開坑された宋坑そうこう

三大端渓硯に次いで上質とされているのが、宋坑です。端渓硯の中ではリーズナブルな価格で取引されています。茶色がかった石色が特徴で、比較的硬く早く墨をすれる硯としての特徴があります。

端渓硯とともに名硯といわれる歙州硯(きゅうじゅうけん)。

端渓硯が登場し人気を博するまで、最も支持を得ていたのが歙州硯です。採取されるのは、南京のおよそ南に200kmの辺りです。ここは、奇岩石の峰が林立する山岳地方です。端渓硯とともに希少で高価なことで知られています。石の特徴は、へき開によって一定方向に割れやすい特徴があり、墨はすりやすく真っ黒な墨色が出るといわれています。端渓硯はたたくと木琴のような音がして、歙州硯は高い金属のような音がするそうです。

30億円の硯も! 愛硯家は、硯のために家を売ることさえいとわない。

硯の始まりは中国で、日本に渡ったのは最も発展したといわれる宋代でした。その宋代より前の五代には、愛硯家なる人物が現れ始めてたといわれています。愛硯家とは、文字通り、硯の愛好家です。書画を嗜む人が硯にもこだわりを持つのはごく自然なことですが、それが高じ愛硯家は、硯そのものをこよなく愛しました。その開祖と考えられているのが、五代の地方国家の天子李後主という人物で、硯務官という名前で名工官職においたそうです。

中国には、著名な書家や皇帝が使ったとされる名硯が残っており、香港や中国本土で行われるオークションで3000〜5000万円といった価格がつくこともあるそうです。

ギネスブックに世界最大の硯として認定された中華竜硯は、14.6mの長さを持ち、幅は3.8m、高さは1.6mもあったそうです。価格はおよそ30億円といわれています。

日本でも愛硯家として有名な人物がいます。 書家で硯の蒐集において当代随一の見識を持つといわれた、坂東貫山です。蘭亭硯を手に入れるために、家を売るほどだったそうです。蘭亭硯とは、中国の故事を書き残した蘭亭叙にある、蘭亭で名士が集まって開いた曲水の宴の様子を彫り込んだ硯です。この曲水の宴の様子は、後世の文人たちの理想郷とされたそうです。

墨は、煤と膠、水と微量の香料を固めて作られます。墨の質を上質にするためには、煤が重要なのだそうです。煤は菜種や胡麻などの油を燃やして出た煤を集めます。香料は、樟脳、梅花香などが使われます。墨を最大限に生かすのは、硯、そしてする人の手と思い。書に向かう前に、墨をすることで心は落ち着くといいます。そのとき硯の上を墨が心地よく滑り、微かな感触から伝わる手応えを感じられたら、心弾む瞬間になるのか、凛として紙に向かえるのか…。自分に合った硯を見つけられたら、素敵です。

 

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