【紳士淑女に贈るラブレター 第4回】年末年始マナーの栞
こんにちは、プロトコールジャパン株式会社代表の花房英子です。
暮らしの小さなヒントになればと思う事柄をプロトコール・マナーからの目線で、お読みくださる紳士淑女の皆様に心を込めてお届けします。
紳⼠淑⼥の皆様におかれましては、年末年始のご予定に向かってお忙しくされておられることと存じます。今回は、年末年始の行事に関するマナーについてのお話しです。
花房英子 EIKO HANAFUSA
プロトコールジャパン株式会社代表取締役
2006 年 プロトコール・国際マナー研究家の母とコミュニケーションツールとして一般社会に「身近なプロトコール」を普及させるプロトコールジャパン株式会社設立。
主宰するメゾン・フラワータフトでは「おうちを素敵に、おうちで素敵に」をコンセプトに、空間&テーブルコーディネート、プロトコールとマナー、ホームパーティの開き方などのスクール運営、企業向け提案、セミナー、制作監修、コラム連載などの活動中。食空間コーディネーター、フォトグラファー
<Protocol Japan> http://www.protocol-japan.co.jp
<Maison FLOWERTUFT> https://www.flowertuft.com
年末年始の過ごし⽅の違い
早くも2020年を迎えようとしています。⽇本では「お正⽉」を1年の初めの特別な⽇と考え、12⽉31⽇と1⽉1⽇の間に⼤きな区切りを設けています。
一方、クリスチャンの宗教的⾏事である「クリスマス」。アジア以外の⼤陸ではクリスチャンの割合は7割以上だそうですが、クリスマスを祝う⼈たちにとっては1⽉6⽇までがクリスマスタイドのため、その最中に新しい年に変わると考える地域が多いようです。
クリスマスは⼤切な⾏事、家族が集まり⼀緒に家で過ごすことが習わしとなっていますが、⽇本ではお正⽉を家族と過ごし、クリスマスはイベントと捉える⼈が多いですね。クリスマスとお正⽉に対しての感覚は正反対なのでしょう。
クリスマスカードと年賀状
実は、メッセージの送り⽅にもその違いが表れています。⽇本の年賀状にあたるクリスマスカード。英語での書き⽅には少し⼼配りが必要です。クリスマスを「Xmas」 と略す表記は、間違いではありませんが、きちんと「Christmas」と書く⽅が丁寧です。相⼿がクリスマスを祝う習慣がない場合や宗教がわからない時は、「Merry Christmas」 の代わりに「Season’s Greetings」 や「Happy Holidays」 と記載すると、どなたにあてても安⼼です。続けて「and Happy New Year」 として、“良いお年を”とすることもできます。⽇本の年賀状⽂頭の賀詞に英語表記の「Happy New Year」 を使うことも多いですね。この場合冠詞をつけるのは間違いです。
✖︎ A Happy New Year
○ Happy New Year
正⽉事始めとクリスマスタイド
クリスマスツリーなどの装飾も、クリスマスタイドが終わる1⽉6⽇までは出しています。
⽇本では12⽉13⽇が正⽉事始め、松の内が1⽉7⽇(地⽅によって違いがあります)、その間にクリスマスが来て、12⽉ 25⽇が終わると即座に切り替えてお正⽉の準備終盤に⼊る、というスケジュールが年末をより慌ただしくさせてしまう要因とも⾔えるのでしょう。
⽇本の伝統的⾵習とマナー
12⽉13⽇の正⽉事始めに新年に年神様を迎えるための準備を始めます。ここにおもてなしの⼼が表れています。元旦に気持ちよく年神様をお迎えするために、⼀年の汚れを払う「煤払い」を⾏います。⾨松など、正⽉飾りには⽋かせない松を⼭に取りに⼊ったことから、この⽇を「松迎え」とも⾔います。お歳暮もこの頃に贈ります。
⼤掃除を終えると、しめ縄や⾨松などの正⽉飾りは12⽉29⽇と31⽇以外の⽇に飾ります。しめ縄には結界を表す意味があり、家の中が年神様をお迎えするために、清らかになっていることを⽰します。年神様が⽬印にするとされている⾨松は向かって左側に雄松、右側に雌松を飾ります。雄松はクロマツ、雌松はアカマツです。⾒分け⽅は、クロマツの⽅が葉が⻑くて葉先が鋭く、アカマツは葉が短めで葉先を触ってもあまり痛くありません。
12⽉13⽇から始まった正⽉準備は⼤晦⽇に全て終えます。
⼤晦⽇を「除⽇」といい、その夜が「除夜」です。新しい年を迎えるにあたり、旧年の災いを取り除くことも意味しています。華やかな花⽕や派⼿なカウントダウンで新年を迎える国、⼼静かに除夜の鐘を聞きながら迎える、⽇本の伝統的な元旦。次の新年は、どこでどのようなスタイルで、お迎えになられるのでしょうか。
さて、ここまで4回に渡ってお届けした、私からのラブレターをお読み下さった紳⼠淑⼥の皆様にとって、2020年も健康で素晴らしい⾶躍の年でありますよう、⼼よりお祈り申し上げます。
それではまた、どこかでお目にかかりましょう。
文・写真 花房 英子