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その癒し、5つ星級。人生を変える会員制リゾート

日本酒の魅力と日本文化を伝え続ける「白鷹禄水苑」

日本酒の魅力と日本文化を伝え続ける「白鷹禄水苑」

酒どころとして知られる兵庫県の灘五郷(西郷、御影郷、魚崎郷、西宮郷、今津郷)。この西宮郷にある「白鷹」は伊勢神宮御料酒としても知られています。その「白鷹」が運営している、文化施設「白鷹禄水苑」を訪問。この施設の立ち上げから手がけられた総合プロデューサーの辰馬朱滿子(たつうますみこ)さんに、日本酒や伝統文化、そして地元への思いを伺いました。

「白鷹禄水苑」とは?

白鷹禄水苑

「白鷹」本社の南側に位置する「白鷹禄水苑」

「白鷹禄水苑(はくたかろくすいえん)」は、「白鷹」の四代目蔵元である故・辰馬寛男氏が私財を投じて、2001年に「白鷹」の敷地内に設立した複合文化施設です。館内には、戦前の造り酒屋の暮らしぶりが分かる「暮らしの展示室」、白鷹ブランドやオリジナルの日本酒、食品などが並ぶショップ「美禄市」、茶室「悦庵」、多目的ホール「宮水ホール」、SAKE BAR「蔵BAR」、「東京 竹葉亭西宮店」があります。また、元土蔵だった建物を含む別館は、白鷹の歴史や伊勢神宮御料酒の関連資料、酒造りの道具などが展示されている「白鷹集古館」になっています。週末はもちろん、平日も多くの人が訪れている人気施設です。

日本独自の文化や心を伝えていきたい

辰馬朱滿子

「白鷹禄水苑」総合プロデューサーの辰馬朱滿子さん

「父はこちらの施設を造るにあたり、いろいろな酒蔵関連の施設を見学し、ここを単なるアンテナショップではなく文化施設にしたいという思いを持っていました。そのコンセプトを今も引き継いでいます。この場所は、元々『白鷹』の敷地内で辰馬家の自宅でしたが、戦争で焼失しました。しかし、焼け残った土蔵の中には、昔の生活用品がよい保存状態で残っていたので、それらを通して昔の暮らしを紹介したいという気持ちもあったようです」と、蔵元五代目でもある辰馬朱滿子さん。先代の思いを大切に引き継ぎながら、この禄水苑を運営されています。

「酒蔵を見ていただくのではなく、造り酒屋のかつての暮らしを見ていただきたいのです。酒造りだけでなく、灘の酒造りを支えた暮らしや、関西のかつての商家の暮らしぶりを知ってもらえたらと思います」。

土蔵の中からは、100年前の物とは思えない生活用品がきれいな状態で出てきたそう。酒蔵をリノベーションした施設はよくあるものの、こちらの建物は旧家の見取り図などをもとに、かつてこの地にあった蔵元・辰馬家の住居をイメージして再現し、“造り酒屋の自宅”というコンセプトで新たに建てられたものになっています。

「生活用品も決して華美ではなく、実質本位でものを大切にしながら何世代も使っていく…昔の日本にあった独自のスローライフというか、手間をかけながらも急がない、旬のものをみんなでゆっくり味わう、といったような文化・暮らしをこの施設を通して感じていただければと思います」と、朱滿子さん。そのコンセプトと思いは、施設内の展示物など随所にも表れ、またイベントや文化活動の原動力にもなっているようです。

日本酒と食の新しい愉しみ方を提案

宮水ホール

2階「宮水ホール」で各種文化イベントを主催

前述のとおり、「白鷹禄水苑」では西宮の蔵元である「白鷹」が運営する文化施設として、2階のレンタルホール「宮水ホール」を中心に、文楽・能などの伝統芸能や文化講座、日本酒と食事を愉しむ企画など、幅広いイベントが開催されています。

「酒蔵や西宮の文化を紹介するイベントはオープン翌年から開催しています。日本酒の魅力をもっと知ってもらおうと始めた『レディース Sakeサロン』は、コロナ禍でもなんとか続けて15年ほどになります。今年もすでに満席です。やはり続けていくことが大切だと思っています。また、新しい挑戦として四季折々の料理と日本酒を組み合わせて愉しむ『食べ頃の旬、飲み頃の旬を愉しむ会』も毎回好評です」とのこと。

会に供される料理は、日本料理にこだわらずフランス料理やスペイン料理などの西洋料理も。いろいろな旬の料理と日本酒の組み合わせにもチャレンジし、時には食事に行った店で料理提供の協力をお願いすることもあるそう。
「いくつか地元のレストランにも協力いただいていますし、先日も京都の飲食店に行ったときのことですが、私自身が食べておいしかったので、突然『私、こういう者ですが…』と声をかけて…新しい協力店も開拓しています。新しいことにチャレンジされている姿勢は料理にも表れるので、そういうお店は趣旨を説明するとすぐに面白いと、企画に賛同くださるところが多いんです。こういう会を通して、ご自宅でも日本酒と料理の新しい組み合わせの発見を愉しんでいただければと思います」と、朱滿子さんのチャレンジも尽きることはありません。

地元の伝統文化・芸能の応援者として

人気イベントは早々に満席になることも

「白鷹禄水苑」に入って右手には、各種イベントやセミナー情報、西宮市の文化活動などが紹介されているコーナーがあります。西宮市には“えべっさん”で有名な西宮神社があり、室町時代以降に西宮神社近くに住んでいた大道芸人の傀儡師(くぐつし)が、「えびすかき」と呼ばれる人形操りで、全国に「えびす様」の信仰を広げる活動をしていました。その人形操りが江戸時代に淡路島や四国にわたり、文楽や人形浄瑠璃につながった由縁から、西宮市は人形操り発祥の地としても注目されています。

「地域との文化や関係を調べていくと、西宮は文化に対しても、昔からとても理解度の高いところだということが分かりました。また西宮市を含む阪神間には、文楽や能、講談など人間国宝の方をはじめ優れた芸能人も多く住まわれています。ここは昔の住居を再現した施設でもあり、西宮が人形操り発祥の地でもあることから伝統芸能関連のイベントにも力を入れています」。

かつて灘の蔵元は、地域の文化応援者としての役割をも担っていました。「白鷹禄水苑」では、その伝統を受け継ぎながら、能や文楽などの伝統芸能はもちろん、他のジャンルとのセッションなどのイベントも主催しています。また、地元西宮をはじめ阪神間の人々の生涯学習と心豊かな知的交流の場を目指して、各種講座やコンサートなどを開催する会員制の「白鷹禄水苑文化アカデミー」を運営しています。
※イベントの開催情報やアカデミーの詳細については公式ホームページでご確認ください

イベント情報:https://hakutaka.jp/event.html
アカデミー情報:https://hakutaka.jp/academy.html

「白鷹禄水苑」施設案内

暮らしの展示室

館内に入り、ショップ「美禄市」を通りぬけた右手には「暮らしの展示室」があります。入場無料で自由に入場できます。土足厳禁なので、入口で靴を脱いでスリッパに履き替えます。辰馬家に伝わる生活道具や家蔵の品が展示され、戦前の造り酒屋の暮らしぶりを伝えています。

旧辰馬家 化粧部屋

1階では旧辰馬家の部屋を再現(写真は化粧部屋)

1階は、旧辰馬家の明治から大正にかけての茶の間の食膳風景や、女性の化粧部屋などが再現・展示されています。食器や家具、調度品なども代々受け継がれてきたもので、保管状態もよいことから大切にされてきたことがうかがえます。

旧辰馬家

2階は数々の貴重な日用品や昔の衣装などを展示

2階には、実際に使われていた造り酒屋のハレの日のしつらえや日常使いの道具の展示、明治・大正・昭和の人間像、写真などがパネル展示されており、その時代に生きた人々の息づかいまで伝わってくるようです。

辰馬家旧宅 模型

戦前の辰馬家旧宅を模型で展示

また、2階には辰馬家旧宅も模型で展示されています。戦前の灘の酒屋の多くは、蔵元の住居と酒蔵が地続きになっている「内蔵形式」でした。茶の間や座敷、女中部屋など往時の造り酒屋の暮らしぶりとともに住居部分の構造・部屋割りなどもよく見て取れます。

白鷹集古館

実際に酒造りに使われていた道具の数々を展示

土蔵だった別館は、入館無料の「白鷹集古館」になっています。1階展示室には、「白鷹」に伝わる昔ながらの酒造りの道具の数々が展示されており、酒造りの工程を見学できます。また、土蔵1階には酒器をはじめ伊勢神宮御料酒の酒器が展示されており、2階では「白鷹」の歴史が紹介されています。とても見応えのある施設で、じっくり見学すると1時間ほどかかりそうです。

茶室 悦庵

茶室はお茶会以外の会合などにも使える

1階を通り抜け、庭園に出た右側には茶室「悦庵」があります。障子窓からは四季折々の庭園の趣を感じることができます。各種稽古やお茶会、会合、食事会などで使えるほか、白鷹禄水苑主催のお茶会なども開かれます。

東京 竹葉亭西宮店

客席の大きな窓からは美しい庭園も眺められる

1階には、江戸前の鰻蒲焼を中心とした伝統の懐石料理が楽しめる「竹葉亭西宮店」があり、江戸末期より数々の文化人にも愛された老舗の味が楽しめます。

・メニュー
平日昼限定お弁当 3300円、昼会席 5280円、鰻丼(肝吸・吸物付)3520円~
夜会席 6930円~
・椅子席 78席 ・座敷2部屋(220名)

蔵BAR/ワンショット・テイスティングバー

落ち着いた雰囲気の中で試飲できる

1階左手には、土日祝の午後のみ営業の本格的SAKE BAR「蔵BAR」があり、禄水苑限定酒や白鷹の代表酒を蔵元価格で楽しめます。いろいろなお酒を飲み比べできる、試飲にも最適なBARです。

(営業時間)土日祝のみ/12:001700
(メニュー例)
・昼下がりの一杯セット(燗酒または冷酒一合に酒肴3品)1000
・季節の飲み比べセット(季節の唎酒3種に酒肴一品)1000
・コーヒー(酒粕生キャラメル付き)500

また、こちらのスペースはワンショット・テイスティングバーとして、禄水苑おすすめの蔵出し限定酒をすべてワンショット200円で試飲できる立ち飲みコーナーにもなっています。平日にも利用できるので、利用の際はショップスタッフに声掛けを。

(営業時間)11:0017:00 (定休日) 定休日 第13水曜日

 ショップ「美禄市」

日本酒だけでなく酒肴、調味料なども販売

「白鷹」の代表的なお酒をはじめ「白鷹禄水苑」限定販売酒、全国から選りすぐったこだわりの食材や珍味、酒肴、酒器などが販売されています。

季節により展示・販売のお酒も変わる

店内には白鷹禄水苑でしか手に入れることができない限定酒や季節限定酒も多く、目移りしそうです。展示コーナー下の冷蔵庫には冷酒もあります。

人気の「白鷹」3種セットもおすすめ

『杜氏撰生酛純米 山田錦セット』(5500円)/白鷹の代表酒「純米大吟醸極上白鷹」「純米吟醸超特撰白鷹」「純米金松白鷹」の3種がセットになっており、お家での飲み比べはもちろん、ギフトにもおすすめの商品です。(各720mI×3本入)

まとめ

酒蔵関連の施設と聞くと、見学施設や資料館・直売所などを思い浮かべますが、「白鷹禄水苑」は、物販や資料展示だけでなく、さまざまな主催イベントや地域と密着した多彩な文化活動が継続的に行われていることが特徴です。「どのような状況でも継続していくことが大切」という、総合プロデューサーの辰馬朱滿子さんの言葉がとても印象的でした。「白鷹禄水苑」を訪れ、歴史ある蔵元の伝統を守りつつ、新たな蔵元の在り方に挑戦し続ける朱滿子さんの想いを感じてみられてはいかがでしょうか。

(取材・文・撮影 滝野利喜雄)

白鷹禄水苑
662-0926 兵庫県西宮市鞍掛町5-1
TEL0798-39-0235

・ショップ「美禄市」11:0019:00
・蔵BAR 12:0017:00(土日祝のみ営業)
・暮らしの展示室(見学無料)11:0018:30
・白鷹集古館(見学無料)  11:0018:30
・東京 竹葉亭西宮店 11:3014:3017:0021:00(土日祝11:3014:3017:0021:00

定休日 第13水曜日
駐車場 33台(酒蔵通り挟んで北側の「白鷹本社」内北駐車場と、札場筋を挟んで東側の東駐車場)

白鷹禄水苑HP  https://hakutaka.jp/shop.html

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