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希少価値と伝統技術、竹の可能性が広がる【京都・竹定商店】

希少価値と伝統技術、竹の可能性が広がる【京都・竹定商店】

奈良の正倉院に竹製の楽器や道具が収められているように、竹は古くから身の回りの品や和風建築に使われてきました。弾力性に優れ、湿度の高い日本でも歪みが少ないという特性が、当時の人々の暮らしに生かされていたことがわかります。

最近では、その独特の素材感を生かしてホテルや店舗など、洋風建築にも用いられています。今回は竹の魅力に迫るべく、京都に足を運びました。

京都で生まれる最高級の竹「京銘竹」

竹が建材として使われるようになったのは、平安時代だとされています。京の都として貴族文化が栄えた時代、建物や日常の道具として単に利便性だけを追求したものではなく、美しさという点でも人々に好まれたのは想像に難くありません。まっすぐに伸びた竹を柱に使ったり、茶室の門や庭の垣根に組んだり、実用面はもちろんですが見た目の美しさへのこだわりもはっきりわかります。

京の都で使われていたのは京都産のもの。京都は山に囲まれた盆地のため、寒暖の差が激しく、肥沃な土壌と相まって丈夫できれいな良質の竹が育ちました。
これが京都の伝統産業「京銘竹」です。必要以上に加工することなく、竹そのものの持ち味を生かして、様々な場面に用いられています。
竹の産地の中でも、嵐山・嵯峨野の竹は特に質がいいといわれています。

<竹の種類(京都府の伝統工芸品に指定される京銘竹4種類)>

白竹と胡麻竹

◇白竹(しらたけ)<火焙り加工>
青竹を火であぶり、油を滲み出させた後、直射日光下で乾燥させた竹。光沢が強いのが特徴で、茶道具や工芸品に多く用いられます。火焙り加工のほかに、湯抜き加工の白竹もあり、こちらは最も一般的な竹材で、柔らかな色合いがどのような空間にも調和し、多用途に使用されます。

◇胡麻竹(ごまだけ)
表面に胡麻粒のような模様のある竹。ある一定の長さ以上の上部を切り落として立ち枯れの状態にすることで、竹の表面には繊細な黒褐色の粒が表れます。その無数の粒の模様は一本一本異なり、趣のある個性的な表情の竹に変身します。

◇図面角竹(ずめんかくちく)

写真中央が図面角竹

その名の通り、断面が四角い竹。短く、まだ柔らかいタケノコのうちに四角い木枠をはめて、その形状に沿って成長させることにより、角のついた竹となります。

◇亀甲竹(きっこうちく)
亀の甲羅を思わせる独特の形状が特徴的な竹。庭園などで観賞用として重宝される他に、花器や茶道具としても用いられます。テレビドラマ「水戸黄門」に登場する杖としても知られています。

上記以外にも、加工される竹の種類は、十数種類あり、しなやかで弾力性の高い「真竹青竹(まだけあおだけ)」や、一般的にはその若芽がタケノコとして市場に出回ることも多い、真竹よりも肉厚で大きな「孟宗青竹(もうそうあおだけ)」などが加工されたものです。

竹を育て、独自の作品を作る職人集団「竹定商店」

京都市右京区太秦、路面電車が走り、古くからの街並みが残るエリア、京都最古の寺とされる広隆寺のすぐ近くに竹定商店がありました。工房の中には、様々な種類の竹が並び、幾人もの職人さんが作業をしています。営業部長の井上定治さんにお話をうかがいました。

竹の子から育てる

竹定商店では、竹林を管理して竹の子の時から竹を育てます。竹林は放置すると荒廃し、よい竹が育たないため、地上に顔を出す寸前のやわらかい竹の子に傷がつかないように下草を刈り、常に整備しています。そして、日光に当たりすぎると幹が伸びないので約80cm間隔になるように調整します。竹の成長のスピードは早く、3カ月ほどで15mから18mにまで育ちますが、幹がしっかり固くなるまでには、そこから3年から5年かかります。

竹の加工技術

竹は自然の産物、手間をかけても思い通りに育てるのはとても難しいものです。見た目はもちろん、経年による変色や傷み方など、それぞれの個体差は大きいのです。それでも楽しく、竹はとっても魅力的なのだそう。井上さんは6代目※現社長は5代目、初代から数えて140年以上、伝統の技を磨いています。しなやかな弾力性を持ちながら強靭な竹には、どんな技術が施されているのでしょうか。

◇平割(ひらわり)
丸竹を幾等分かに割った後、幅が均一に揃うように両端を削る加工方法。幅2mmから60mmまでという精密な加工が竹定商店の特徴で、竹垣や内装材等幅広い用途に使われます。

◇柾割(まさわり)
丸竹の両側を平行に削り取って、あえて竹の断面を見せるもの。内側の美しさや節の不規則性を見せることで立体的な美しさを生み出します。

◇竹パネル
平割や半割りなど、割加工した竹を木製板に並べて貼り付けたもの。数寄屋建築や町家建築の壁材、床材、天井材等として広く応用され、「面」として竹の様々な趣を楽しむことができます。

◇ひしぎ
丸竹に背割を入れた後、専用の道具を用いて繊維に沿って叩くことで板状にしたもの。
京町屋の深く奥まった玄関へ続く、長いアプローチの壁面装飾などに用いられることが多く、不規則に入った割れ目が独特の和の情緒ある雰囲気を演出します。

加工道具の一部

平割竹を五角形になるように貼り合わせている

他にも、半割、背割、裏削り、面皮削り、表皮削り、編み、曲げ、染め、塗りなどの技法があります。特に竹定商店の伝統的な編みの技法は100種類以上も存在し、これらの中から数種類の編みを組み合わせることで様々な表情を持つ平面・曲面を作り出します。

京銘竹の新しい形

竹定商店は、長年問屋にのみに卸していたのを、「直接お客さんの顔を見たい」と、内装を手掛けるようになりました。竹の子のときから、一本一本の個性やクセを知り、品質管理を行い、最良の商品に加工する竹定商店の作品を見ていきましょう。

・犬矢来(いぬやらい)

塀に取り付けられた犬矢来

昔から京都の町家には、家の外側に犬矢来がありました。泥はねなどから建物を守るためですが、その機能とともに見た目の美しさが求められたのも都の特徴かもしれません。

・獺祭Bar (東京・銀座) 天井

平割の竹の美しさが光る天井は、隈研吾氏のデザインです。

koe donuts(コエドーナツ) (京都・新京極)

天井には嵐山産の竹を編んだかごが700個飾られています。

・ホテルNazuna(京都・西院)

曲げの技術を使って壁から天井へ、美しいフォルムを描いています。

・キッチンハウス広島ショールーム

ダイナミックな曲げの技術が圧巻です。

・エンゾアンゴ

照明がつくと影も含めてアートのようです。

・アートパネル

伝統的な文様を美しいパネルにしました。

140年の伝統をさらに進化させる

ここまで、写真とともにご紹介した作品は、「MICHIKU(未知竹)」という竹定商店の新たなプロジェクトによる技術も含まれています。クリエイターとコラボすることにより、140年以上の伝統と現代を生きるクリエイターの発想を融合し、竹によって表現できる未知の可能性を探求する活動です。MICHIKUプロジェクトで生み出されるものは、新しい加工デザインだけにとどまらず、竹に塗料を塗り、様々な色彩を取り入れることで、表現の幅を広げています。和の趣を残しつつ、新たなライフスタイルにマッチする照明器具や、多彩な内装パネルの開発に新しい光を見出しています。
和洋、様々な建築様式にも映える、新しい竹の魅力といえるでしょう。

株式会社竹定商店
住所:京都市右京区太秦桂木町6
TEL:075-861-1712
http://www.takesada-shoten.co.jp/

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