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世界の手編みバスケット。アンティークから作家物まで

世界の手編みバスケット。アンティークから作家物まで

アメリカのNBAはもちろん日本でもBリーグ、3X3、3on3などが人気のバスケットボール。最初は、収穫した桃を入れるバスケットにボールをシュートすることからスタートしたそうです。今回は、ボールではなくゴールの方、バスケットのお話です。バスケットは、世界各地で農作物や水産物などを入れるために作られて、今では伝統工芸品として注目されています。作家物からアンティークまで、かけがえのないバスケットの話題をご紹介します。

バスケット、籠の始まり。

最も古いバスケットと考えられるのは、グルジア遺跡(現在の正式名称はジョージア)の洞窟で発見された、衣類かロープあるいは籠らしきものです。3万4千年前のものだと思われ、麻の繊維で編まれた痕跡があったということです。グルジア(ジョージア)は、南コーカサスにありロシア、トルコに隣接する国で、アフリカに次いで古い原人の化石人骨が見つかったことで有名です。

日本で最も古い籠は、佐賀市の東名遺跡で見つかった約8千年前の編み籠です。
縄文時代早期に作られたと考えられているその籠は精巧な技術によるもので、740点もあるそうです。

植物を細く長くしなやかにして編み込み、丈夫で緩やかな形状に仕上げる技術は、グルジアや佐賀市だけでなく、世界各国で古くから培われてきました。物を入れるいわゆるバスケットだけでなく、住まいの屋根の部分や船、ゆりかご、そして棺桶に至るまでさまざまな用途に籠を編む技術は使われてきました。

そんな籠、バスケットが今では伝統工芸品として、ハイブランドのファッションシーンでも、注目されるようになっています。

籠目、六芒星は魔除けのシンボル。

籠目とは、竹などによって編まれた籠の編み目のことです。代表的なのは六つ目編みで、六芒星と呼ばれ魔除けとして使用されました。正三角形の上向きと下向きを重ねた星のかたちです。古来から日本ではもののけや邪気などは凝視されることを嫌うため目がたくさんあるものを魔除けとして使用してきたそうです。籠目は、たくさんの目がある図形とみなされ、魔除けとなったようです。また、籠(こも)る神を加護するのが籠、そんあ説もあります。

イスラエルの国旗にあるのはダビデの星で、籠目と似ているため、同じような模様が違う国で神聖視されてきたことは不思議に思われることが多いようです。実際は、日本の籠目の方が平面的に図案化され、ダビデの星の方が編んだような図形になっています。ソロモン伝説によると、大天使ミカエルから授かったソロモンの指輪にダビデの星が描かれていて魔力を封じる強靭な力を持っていたということです。編むという作業に心が籠るから、魔除けになるのかも知れませんね。

素朴さと洗練された感性が編み込まれた日本の籠たち。

日本には、今も大切に育まれている籠の伝統工芸が各地にあります。時間をかけて丁寧に編み込まれた美しい籠は使うほどに味わいが深まる、丈夫で愛着がわくと人気があります。

・国の伝統的工芸品に指定された、3種類の奥会津編み組み細工。

雪深い山間地の手仕事として伝承されてきた、編み込み細工の技術。奥会津編み組み細工は、福島県大沼郡三島町が主な産地です。平成15年に山ブドウ細工、マタタビ細工、ヒロロ細工が国の伝統的工芸品として指定されました。

山ブドウ細工の手提げ籠は、高価ですが洋服はもちろん、着物にも似合うと多くの方に一生ものとして愛されています。山ブドウの蔓の一枚皮を使用した素朴な風合いは、使うほどに光沢が出て味わい深くなっていきます。籠の素材の中でも最も強靭といわれ、車を引っ張ることさえできるとか。採取するのもひごの状態にするにも困難なため、高価なのも納得できます。

マタタビ細工は、ざるなどの台所用品として製品化されますが、その美しさはそのままインテリアとして使いたくなります。

ヒロロ細工は、和名でミヤマカンスゲという植物の縄にして編み上げられます。編み目が細かく、素朴さと繊細な感性が共存した手提げ籠などが作られます。

・人間国宝が輩出した、別府竹細工。

日本書紀にその起源が記されているという、別府の竹細工。大衆品とは一線を画す高級工芸品として発展してきました。別府市で生まれた生野祥雲齋は竹工芸でははじめての人間国宝に指定されました。1979年には、国の伝説的工芸品に指定されています。

別府竹細工の特徴は、真竹を使用し、基本となる8つの編組があり、これを組み合わせることで200種類以上の編み方が可能となる多彩な表現です。仕上げ加工によって色目も変わります。

竹細工は特にこの数年、西欧で人気が高く美術展が開催され、数万ドルの価格がつく作品もあるようです。

・正倉院にも残る、豊岡杞柳細工。

しなやかで強靭なコリヤナギを編んで作られる豊岡杞柳細工。但馬国産柳箱とう名前で正倉院にも残されているそうです。豊岡の柳行李として有名で、衣類を入れて引っ越しや旅行にも利用されました。明治時代には西洋風のカバンが作られ、大正時代には、鍵付きのバスケットが作られ大正バスケットと呼ばれました。令和天皇が幼稚園時代に持った小さな鍵付きバスケットは、なるちゃんバスケットと呼ばれ大変な人気だったそうです。

現在は、伝統の手工芸技術でモダンデザインのバスケットが作られています。

たっぷりの愛を詰めるサック ド フィヨンセ。

フランスでも古くから愛用されてきたバスケット。中でも婦人用バッグの原型といわれているのが、サック ド フィヨンセです。古くは、男性がレースやジュエリーなどを詰めて大切なフィアンセに贈る習慣があったそうです。籐を細く割いて細かく編み上げる手法は、現代では数少ない職人によって守られているそうです。アンティークのサック ド フィヨンセは、たとえ多少コンディションが悪くても人気があります。丁寧にに編み上げられた美しいフォルム、味わい深い素材感や色調、古き良き時代のロマンティックな物語を想像せずにはいられない、アンティークならではの雰囲気に魅了されるのです。

フランスの南プロヴァンスの小さな村ヴァラブレーグでは、「夏のかご祭り」が開催されるそうです。当日には、あちこちの窓から籠が吊り下げられ、空に浮かんでいるように見える風景は、ファンタジーのよう。パレードやかごマーケットも開催されるそうです。

数十万ドルの価値がつくこともある、ナンタケットバスケット。

セレブの避暑地として有名な、アメリカ東海岸のボストン沖に浮かぶナンタケット島。ここで作られるのが、ナンタケットバスケットです。ナンタケットバスケットの素材は、オーク、チェリー、メープルなどの木で、ケーンと呼ばれる籐などの茎です。美しい編み目は独特のもので、限られた職人によってオーダーで作られています。そして、現在はワシントン条約で輸入が禁止されていますが、装飾に象牙などが使われるのも特徴です。象牙以外では、セイウチやマンモスの化石、クジラの骨などで、貝やクジラなどが彫刻されたものが飾られます。

長年使いこまれたナンタケットバスケットは、飴色になります。オークションでアンティークのナンタケットバスケットが、数十万ドル、日本円にすると数千万円で取り引きされることもあるそうです。

そんなナンタケットバスケットですが、始まりは華やかなものではありません。

ナンタケットとは、ネイティブインディアンのワンパウアグ族の言葉で、遠い島という意味なのだそうです。ナンタケット島辺りは捕鯨が盛んだった歴史があり、男たちは命がけで捕鯨に出ました。というのも、船の墓場といわれるほど浅瀬が多く潮流の早い危険な海域で霧が多かったそうです。しかも砂地のため、灯台は造れませんでした。そこで、ライトシップと呼ばれる灯台船が沖合で船舶の安全を守るために常駐することになったのです。灯台守となったのは樽職人たちで、彼らが灯台船の中で作ったのが、ナンタケットバスケットの始まりといわれています。そのため、ナンタケットバスケットには、ナンタケットライトシップバスケットという正式名称があります。その後、ナンタケット島が避暑地となり、バスケットがバッグとしてデザインされるようになると流行し、同じバスケットを持っていると会話が弾み友だちが増えることから、ナンタケットフレンドシップバスケットとも呼ばれるようになったそうです。

タイ王室御用達、ヤーンリパオのバスケット。

タイの南部の森の中だけに生息するヤーンリパオという植物の蔓を使用して作るヤーンリパオの籠やバッグ。タイ王室御用達で、各国の要人たちへのギフトとしても利用されているそうです。カジュアルなバスケットというよりは、あらたまった印象のデザインが特徴です。細い蔓をさらに細く割いて精密に編み上げられます。技術を有する職人が減っており、伝統の技を守るために、タイ王室がサポートしているそうです。

バスケットをファッションやインテリアとして楽しむ場合、以前は夏に使用するイメージでしたが、最近ではオールシーズンアイテムになっています。初夏から夏は、あみ目ごしの涼しげな風合いをそのまま楽しみ、秋冬には毛糸やファーをプラスするのもおすすめです。

 

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