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その癒し、5つ星級。人生を変える会員制リゾート

1本84万円の「獺祭」。日本酒初のサザビーズ・オークション出品。

1本84万円の「獺祭」。日本酒初のサザビーズ・オークション出品。

旭酒造(山口県)が造る「獺祭」は、酒米・山田錦だけを磨きぬいて造られた大吟醸です。その香り高さ、すっきりした味わいの中に感じられる旨みは、まさに大吟醸の極み。海外でも富裕層を中心に人気を博している地酒です。

その旭酒造が2019年に仕掛けた「最高を超える山田錦プロジェクト」は、山田錦の栽培農家を対象にしたコンテストです。通常の買い取り価格の25倍の値段がついた1等の山田錦で仕込んだ酒の一般への販売は、720ml瓶にわずか23本のみ。日本酒通なら心ときめく、この酒のストーリーを追ってみました。

山田錦の頂点を決めるコンテスト開催の理由

最高の酒を造るために

獺祭が原料として使う米は山田錦のみです。飯米に比べて決して育てやすいとはいえない米の品質を上げるために、生産農家は大変な苦労と工夫を重ねています。だからこそ、農家を大切にしたい、自分たちが最高の酒造りを目指すためにも、よりよい山田錦を作ってほしいと考えました。最高のものを作るためには、経験はもちろん、そこに新しい試みも必要です。その労力は計り知れませんが、高い評価を得ることは、やる気と実力のある農家に夢を与えるものにほかなりません。

1位の酒米は総額2,500万円で購入

飯米と呼ばれる一般的な米の農家からの買い取り価格は、1俵あたり1万5千円程度、これが山田錦だと1俵2万~2万5千円です。
ところが今回、獺祭が購入する価格は1位が1俵50万円、2位は1俵20万円、3位は1俵10万円です。選外でも条件を満たした山田錦は1俵5万円で購入するのです。
出品単位は50俵のため、優勝者からの買い取り価格は2,500万円という破格の値段になります。農家からすれば身ぶるいがするような金額です。

厳正な審査

応募資格は山田錦の生産者。出品量は50俵ということから、生半可な気持ちでは応募できない量です。栽培方法の手段ではなく、山田錦の品質のみが審査の対象となります。
審査は完全にブラインドで、機械による分析、DNA鑑定、審査員による目視、官能評価によって行われます。それぞれの生産者自身が、粒が整っていることを表す整粒歩合99%以上、白い部分が粒の中心にあることを表す心白率80%以上、その他様々な基準をクリアしたものだけを応募するのも、かなりハードルが高いことです。

「最高を超える山田錦プロジェクト2019」の優勝は栃木県の生産者

写真左から特別審査員 弘兼憲史氏、旭酒造会長 桜井博志、同社長 桜井一宏、グランプリ・坂内義信さん、準グランプリ・藤原健治さん、優秀賞・白井勝美さん

2019年夏に開かれたプロジェクトの発表会で、会場に集まった生産農家は、口々に審査基準の厳しさを語っていました。しかし同時に、「やってやる!」という意気込みも感じました。そして秋、収穫を終え、基準をクリアした山田錦が、山口県の旭酒造に次々に届きます。東は栃木、西は福岡から160名のエントリー、45点の出品数の中から、12月の予備審査で9点を選別。これらを50俵ずつ取り寄せて、1月の決勝審査で入賞者が決まりました。

特別審査員 弘兼憲史氏(左)から賞金目録を渡されるグランプリの坂内義信さん

グランプリに選ばれたのは、栃木県大田原市の坂内義信さん(山田錦栽培研究所所属)。相場の約25倍にあたる150万円、合計2,500万円での買い取りが決まりました。坂内さんはコシヒカリを作っていた農家ですが、4年前から山田錦の生産を手掛け、今は生産の8割が山田錦です。「とにかくうれしい。山田錦は手間がかかる分やりがいを感じる米です」とコメント。

サザビーズで、1本84万円で落札

日本酒初のサザビーズ出品

「最高を超える山田錦プロジェクト」第一回の優勝米で造ったのは、「獺祭」の最高級ブランド「磨きその先へ」の製法をさらにブラッシュアップしたもの。結果、生まれた「獺祭~最高を超える山田錦2019年優勝米~」の味を桜井一宏社長に尋ねると、「派手ではなく、きれいな旨みが、すーっと溶けていく感じ」と表現。この最高級の日本酒23本のうち、6本をサザビーズオークションに出品することになりました。

サザビーズオークションとは

サザビーズはニューヨークに本社を置き、香港、ロンドンをはじめ世界9ヶ所でオークションを開催しています。1744年、ロンドンで古書のオークションとして設立され、最大規模の国際的なオークションハウスへと成長しました。美術品、宝石、不動産、ワイン、有名人の愛用品など、幅広い品が出品されています。
アジアにおけるオークション会場は香港ですが、2016年からオンライン・オークションを開催。会場に行かなくても、世界中どこからでもオンラインで参加できるようになりました。2020年以降、新型コロナウイルスの感染拡大によって、オンラインでの総売上が大きく伸びているそうです。サザビーズで日本酒を扱うのは初めてのこと。落札予想価格は、1本45万円~70万円でした。

最高6万2,500香港ドル(約84万)で落札

出品されたのは「獺祭~最高を超える山田錦2019年優勝米~」のシリアルナンバー1、2、3、6、7、8。10月30日、日本時間12時からオークションが始まると世界中から入札があり、11月10日、日本時間14時過ぎに落札額が決定。シリアルナンバー6と7が6万2,500香港ドル(約84万)、1、2、8が6万香港ドル(約81万円)、3が5万6,250香港ドル(約76万円)で落札されました。

日本では富裕層向けの超高級ブランドが育ちづらく、嗜好品の中でも日本酒は、ワインやウイスキーに比べて圧倒的に低価格です。桜井社長はこの取り組みについて、「日本の良いものを世界に理解してもらう挑戦」とも言います。並行複醗酵という世界でも数少ない製法で、昨今の酒質や味の向上を考えると、日本酒には高級品のマーケットに入る力があります。

「獺祭 最高を超える山田錦2019 年優勝米」(日本語名)/Dassai Beyond the Beyond」(英語名)

「最高を超える山田錦プロジェクト2020」1位は3,000万円

最高の山田錦で「獺祭」を造り、84万円という高い値段がついても、ここで終わらないのが旭酒造です。2020年もまた、「最高を超える山田錦プロジェクト」が開催され、エントリーは120名。12月3日に予審が行われ、全国13県から送られた43点の山田錦を7名の審査員が、厳しい目でチェックしました。

2回目となる今回の品質は、初回よりさらに優れており、一見するだけで粒が大きくそろって、ツヤがあるのがわかったそうです。心白が米の中央に大きく出ているものが優れているという山田錦の特徴もしっかりと出ていました。ここで選ばれた上位8位までが、12月24日に行われる決審に進みました。

そして年が明けて2021123日、グランプリと準グランプリが発表されました。今回は出品数量は60俵とし、グランプリ賞金3,000万円、準グランプリ賞金1,000万円、それ以外で条件を満たした山田錦については一俵5万円で購入と、昨年よりも高額です。

「最高を超える山田錦プロジェクト2020」発表会はリモートで開催

グランプリはウイング甘木(福岡県)の北嶋将治さん。10年前から山田錦の栽培に取り組み、昨年はエントリーするも敗退。今年は見事グランプリを受賞しました。「仲間の協力があってとれた賞です。この経験を地域農業の未来に生かしたい」とコメント。準グランプリを受賞した山田錦栽培研究所(栃木県)の紙本進さんは、「今後ももっともっと良い山田錦をつくりたい。さらに栽培面積も広げたい」とコメントしました。

コロナ禍で外での飲食が激減したため、酒の製造量は大幅に減少。生産農家もダメージを受けています。そんな中で開催された大きなイベント、「コンテストへの挑戦を通して、様々な試行錯誤や農家間の交流が生まれ、日本の農業が活発になることを願っています」と桜井社長。

多くの人の思いがこもった2020年産の山田錦がどんな味に仕上がるのか、世界中の日本酒好きが注目しています。

旭酒造株式会社
山口県岩国市周東町獺越2167-4
TEL: 0827-86-0120
http://www.asahishuzo.ne.jp/

獺祭ストア銀座
東京都中央区銀座五丁目10-2 GINZA MISS PARIS 1
TEL: 03-6274-6420
営業時間: 11:00-20:00(※現在緊急事態宣言発令のため19時までの営業)

獺祭ストア博多
福岡県福岡市中央区天神2-5-35 岩田屋本店B2
TEL: 092-752-3188
営業時間: 10:00-20:00[月〜日・祝](※現在緊急事態宣言発令のため19時までの営業)

※各店舗、感染症予防の観点より、営業時間・営業内容を一部変更することがあります。

取材・文 松田きこ

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