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34億円のインペリアル イースターエッグも! ロシアロマノフ朝の絢爛豪華な世界

34億円のインペリアル イースターエッグも! ロシアロマノフ朝の絢爛豪華な世界

春分の日を過ぎて、最初の満月を迎えた直後の日曜日がキリストの復活を祝うイースター。2020年は、4月12日にあたります。イースターのシンボル的な存在となっているのがたまごで、その中でも絢爛豪華な装飾を施されたものがインペリアル イースターエッグです。復活祭のたまごに込められた願いや想い、その秘密を探ってみました。

(メイン写真:ファベルジェのインペリアル イースターエッグ/出典:ファベルジェ美術館Facebook)

イースター、キリストの復活を祝う春の行事。

復活祭の名称や日にちは、キリスト教の宗派や国によって違いがあるようですが、キリスト教を信仰する各国でクリスマスよりも大切に、キリスト教会最大の祝祭日とされているのがイースターです。

十字架にかけられたイエス キリストが埋葬されたのち、3日後に預言通りに復活されたことを祝い、その奇跡をいつまでも記憶にとどめるために行う行事なのだそうです。

ユダヤ教の過越の祭は、エジプトのもとで奴隷状態にあったイスラエル(ユダヤ)の民が、モーセを通して行なわれた神の救いによって解放されたことを忘れることなく祝うもので、この過越の祭の時期に、イエス キリストが磔にされたそうで、イースターと過越の祭の関係については、さまざまな説がありますが、今ではともに春のお祭りとして世界に広まり、多くの人々が祝っています。

 

イースターエッグは復活のシンボル。

イースターといえば、カラフルなイースターエッグと可愛い野うさぎのイースターバニーがシンボルとして定着しています。生命誕生の象徴であるたまごを運んでくるのが、繁栄や豊穣の象徴といわれているうさぎなのです。

イースターには、庭や部屋のあちらこちらにイースターエッグを隠しておき、子どもたちがそれを探す宝探しのようなエッグハントという遊びがあります。このことからコンピュータ用語で、ソフトウエアの本来の機能や仕様と関係のないところに隠された開発者の名前などのクレジットやミニゲーム、画像やアニメなどをイースターエッグといいます。庭でもパソコンの中でも、イースターエッグを見つけたらハッピーな気分になれますね。

 

ピサンキが、イースターエッグの起源。

イースターのたまごは、カラフルに染められ美しい模様が描かれる習慣があります。ウクライナに伝わるピサンキが、その起源と言われています。これは、ろうけつ染の技法でたまごを装飾したもので、歴史は古く太陽信仰の時代に遡ります。ウクライナをはじめ東欧の国々で作られ、ポーランドもピサンキ作りで有名です。

細かな美しい模様には意味合いがあり、心を込めて描かれます。例えば、生命の木という図柄には子孫繁栄、太陽と星には生命、成長、富、麦には豊穣などの意味が込めれているそうです。

 

イースターエッグの中でも象徴的な赤いたまご。

ピサンキが、イースターエッグとしてキリスト復活の象徴となるに至るきっかけとして、赤いたまごの逸話があります。

イエス キリストに従いその死と復活を見届けたマグダラのマリアが、ローマ皇帝に復活を告げたときのことです。皇帝に献上するためのたまごを持っていたマグダラのマリアに、「その白いたまごが赤くなることがないように、キリストが死から復活することなどあり得ない」と皇帝が言ったとき、瞬く間にたまごが真っ赤に染まったというのです。そのことから赤いたまごはイエス キリストの復活の象徴となりました。これをきっかけに、美しい模様を描いたピサンキが、イースターエッグとして定着していきました。ちなみに、玉ねぎの皮をいっしょに入れて煮だしたあとそのままの煮汁につけておくと赤いたまごが作れるそうです。

 

インペリアル イースターエッグその華麗なる世界。

祈りを込めた伝統工芸のピサンキ、イエス キリストの復活を象徴する赤いイースターエッグ、その次に登場するのがインペリアル イースターエッグです。ロシアの帝政時代に、ピーター カール ファベルジェによって作られたそのたまごは、今では何十億円もの価値ある宝飾品、あるいは美術品として知られています。

 

世界一の富と愛の結晶、インペリアル イースターエッグ。

インペリアル イースターエッグと呼ばれるものは、レプリカをはじめ多様に存在しますが、その中でも本物と言えるのは、ロマノフ王朝のロシア皇帝アレクサンドル3世とニコライ2世の命により皇室御用達金細工師のピーター カール ファベルジェの手によって生まれたものだけです。全部で50点、あるいは58点ともいわれるそのインペリアル イースターエッグは、現在では行方不明のもののほか、コレクターによる個人蔵、そしていくつかの美術館にも展示されています。

インペリアル イースターエッグの特徴は、精密な美しい金細工と宝石の数々を贅沢に散りばめた豪華なデザイン、そして必ずサプライズのお楽しみが仕掛けられていることです。たまごを開くと中から何が出てくるのか、2人の皇帝は大切な家族を喜ばせるために、インペリアル イースターエッグに巨万の富とともに深い愛情も込めたのです。

 

インペリアル イースターエッグに34億円の値!

2014年、インペリアル イースターエッグのひとつが、アメリカの蚤の市でくず鉄業者によってそれと知らずに約140円で買い取られていたそうです。

彼は、これをくず鉄として販売し、5万円ほどの利益を得ようとしていたそうですが、売れずにインターネットで検索して価値を知り、ロンドンのアンティーク宝飾品取引会社ウォルツスキーの宝飾品の専門家に見せ、取引は成立。その価値は、約3300万ドル、日本円で約34億円に上ったそうです。

 

ファベルジェ、ジュエリー好きをときめかせる金細工の魔術師。

インペリアル イースターエッグの作者であるピーター カール ファベルジェは、サンクトベテルブルクの宝石商の家に生まれました。彫金の技術をドイツのドレスデンで磨き、イギリスやフランスで華やかな宝飾技術を身につけたのちに本国ロシアに戻り、金細工職人としての地位を確立したといわれています。

彼のジュエリーの特徴は彫金技術の繊細さに加え、ロシア産の多様な輝石を見事に生かしたデザイン性、さらに一度は衰退していたエナメル技術を復活させ見事なロシアンジュエリーに仕上げたことでした。アレクサンドル3世は彼を大層気に入り、宮廷御用達の金細工職人として任命し、イースターエッグの製作を命じるようになりました。

ロシア革命の際には、ファベルジェの工房は国家に抑えられ、一族はヨーロッパへと亡命していきます。その後、香水を作るようになり、2007年になって、ジュエラーとしてのファベルジェとして復活を果たします。ハイジュエリーをはじめ、時計、そしてインペリアル イースターエッグをモチーフにしたアクセサリーまで製作、販売しているそうです。2018年には、ファベルジェはロールスロイスとコラボレーションしました。ロールスロイスのフロントグリルの先端に「スピリット オブ エクスタシー ファベルジェ エッグ」として取り付けられたのです。ホワイトゴールドにアメジストとダイヤモンドが使用され、たまごは開閉する仕掛けで、ファベルジェらしさがあふれています。

ロールスロイスの「スピリット オブ エクスタシー ファベルジェ エッグ」(出典:http://intensive911.com/?p=165655

ロシアのサンクトベテルブルクには、ファベルジェ美術館があり、インペリアルイースターエッグを展示しています。その数は9つもあるとか。エルミタージュ美術館ほど有名ではありませんが、いつの日か一度は訪れたい美術館です。

ファベルジェ美術館(出典:ファベルジェ美術館公式サイト

 

エルミタージュ美術館のインペリアル イースターエッグのたまご。

フランスのルーブル美術館、アメリカのメトロポリタン美術館と並んで世界三大美術館のひとつと称されるロシアのエルミタージュ美術館。三大美術館の中でも最も古く250年もの長い間、さまざまな試練を乗り越えつつ美を守り続けてきました。所蔵する美術品は300万点で、世界最大の所蔵数といわれています。

1775年に、ロマノフ王朝の女帝エカテリーナ2世が、フランス語で隠れ家という意味のエルミタージュという自分専用の展示室を造ったのが、この美術館の起源なのだそうです。それから歴代のロシア皇帝がコレクションを残していきました。ロシア革命の後は、貴族や商人たちから没収された美術品も集め、巨大な国立美術館となりました。

あまりにも広大で莫大な所蔵品のあるエルミタージュ美術館の中には、見るべき作品が数多くありますが、その中にインペリアル イースターエッグのもとになるといわれている、たまごがあるそうです。エカテリーナ2世が恋人から贈られたと伝えられている、七宝細工を施された黄金のたまご型の香炉です。エルミタージュ美術館に行く機会があれば、エッグハントしてはいかがでしょう。

世界一の富豪だったロマノフ王朝の皇帝に愛されたインペリアル イースターエッグ。まだどこかに存在する行方不明のひとつに、いつかどこかで出合えるかも知れませんね。

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