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伊勢神宮で毎日供えられる唯一の御料酒として約100年、西宮郷の清酒「白鷹」の魅力

伊勢神宮で毎日供えられる唯一の御料酒として約100年、西宮郷の清酒「白鷹」の魅力

2020年6月、清酒発祥の地である伊丹郷とともに日本遺産に認定された、西宮・灘の酒蔵・灘五郷。日本最高峰の清酒の品質だけでなく、それらを生み出した伊丹と灘五郷の酒造りの歴史が受け継がれ、また地域文化や伝統とのつながり、重厚なストーリーが高く評価されました。今回は中でも全国の蔵元から唯一伊勢神宮御料酒に選ばれた西宮の蔵元「白鷹」にスポットを当て、「白鷹」蔵元・北辰馬家五代目であり「白鷹禄水苑」総合プロデューサーの辰馬朱滿子(たつうますみこ)さんにお話を伺いながら、「白鷹」の歴史や魅力を紹介します。

「白鷹」とは?

白鷹本社

兵庫県西宮市にある「白鷹」本社

「白鷹」は江戸時代幕末の文久2年(1862年)、初代辰馬悦蔵氏が辰馬本家(白鹿醸造元)より分家し兵庫県西宮市の現在地にて創業、「品質第一」を掲げて超一流に徹した酒造りを開始しました。鷹は百鳥の王、その中でも白い鷹は千年に一度現れる霊鳥といわれています。また王者の風格と気品をもつ「鷹」に清酒の清らかさを表す「白」を合わせて、酒名を「白鷹」と名付けられました。平成4年(1992年)には、それまでの株式会社辰馬悦蔵商店から白鷹株式会社へと社名も変更されています。

「白鷹」の酒造りは昔ながらの伝統的技法である「生酛(きもと)造り」です。江戸時代に発見され、“灘の生一本”の生みの親ともいわれる西宮の「宮水」と、初代辰馬悦蔵氏が支援して生まれ、100年以上昔から兵庫県三木市の農家と契約栽培を結んでいる酒米「山田錦」が使われています。

「生酛造りは現在の日本酒造りの基本中の基本の製造方法で、伝統的な日本酒造りになります。簡単に言いますといっさい人工的なものは加えずに自然の微生物の働きだけを巧みにコントロールしながらお酒を醸す方法です。この方法と宮水を使うことによって灘の特色である“男酒”といわれる旨味重視のお酒が生まれるのです。今は日本酒にとどまらず淡麗のあっさりしたお酒が世の中に多いですが、そんな状況の中でも『白鷹』は飲みごたえのあるお酒造りにこだわって製造しています。実は手間と時間がかかるのですが…」と、辰馬さん。伝統のお酒造りは今も継承されています。

「白鷹」が伊勢神宮御料酒に選ばれた理由

お神酒

伊勢神宮に奉献のお神酒(「白鷹集古館」1階)

清酒「白鷹」は、伊勢神宮の御料酒(ごりょうしゅ)に全国の酒蔵から唯一選ばれており、大正13年(1924年)から一日も欠かさず奉献されています。一般にはあまり馴染みのない言葉である“御料酒”とは、伊勢神宮外宮にて朝晩、鯛や昆布、御飯、野菜などとともに神宮の神々に供えられるお酒のことで、専用の土器(かわらけ)に入っています。伊勢神宮より遠く離れた西宮市の酒蔵「白鷹」が、なぜ御料酒に選ばれたのでしょうか?

「大正4年(1915年)に行われた大正天皇即位のおり、全国数千ある酒蔵の中から、品質・格式とも最上とされる酒・5銘柄が選ばれ、現在の“大饗の儀”にあたる“大嘗会(だいじょうえ)”に供されました。『白鷹』も選ばれた5銘柄の中のひとつだったのですが、やがて神宮から『白鷹』を特に指名して神宮の御料酒にしたいと沙汰がありました。なぜ『白鷹』が栄誉ある御料酒に選ばれたのか、今となっては当時を知っている人もなく、また正式な文献や記録なども残っていないため、実は社内でもはっきりと分かっていないのです」と、辰馬さん。

白鷹集古館

伊勢神宮日別朝夕大御饌祭の様子も展示(「白鷹集古館」1階)

御料酒に選ばれた経緯についてはさまざまな説もあるようですが、今となってははっきりとした理由が分からないのが事実のようです。とはいえ、選ばれた後100年近くもの間欠かさず、遠く離れた伊勢まで奉献し続けるというのは想像以上の苦労・努力があったようです。

「大正時代は鉄道も徐々に開通し、道路なども整備されてきた頃ですが、とはいえ大きな酒樽を西宮から伊勢まで運搬するのは大変だったようです。社員自ら届けたそうですが汽車または電車、荷車、人力が中心だったのではないでしょうか。また昭和の戦中や戦後の物資がない時代には、お酒も大変貴重で、運んでいる途中に中身がお酒だと分かると周りの人に取り囲まれた…などの逸話は伝え聞いたこともあります。伊勢神宮に無事届けるだけでもひと仕事だったそうです」と、辰馬さん。

昔は二斗(36ℓ)樽、五升壺で納めていたとのことですが、今では一升瓶に専用ラベルを貼り付けて年間300本以上を数回に分け車で運ぶそうです。また。阪神淡路大震災時においても西宮市街地や会社が被災して不便な状況ながらも、伊勢神宮への奉献は続けられました。

伊勢神宮より贈られた碑

永年の奉献に嘉して伊勢神宮より贈られた碑(本社前)

「直営ショップには『伊勢神宮に献上しているお酒が欲しいのですが…』というお客様もいらっしゃいますが、実は伊勢神宮への奉献分はまったく別に特別な状態で貯蔵しているため、一般には販売していないのです(辰馬さん)」。

最高級の山田錦と宮水を使い毎年2月にできる新酒の中で、社内でも社長と醸造責任者だけが試飲し、一番よいものが伊勢神宮の御料酒として奉献されているとのことです。

理想の酒造りに最適な「宮水」とは

宮水

「白鷹禄水苑」の庭園に残る「宮水」の井戸

江戸時代末期の天保11年(1840年)、西宮と魚崎で酒造りをしていた「櫻正宗」の山邑太左衛門氏が、同じ工程で酒造りをしていたにもかかわらず西宮蔵のほうに良酒ができる原因を調べ、それが「水」であることを突き止めました。「宮水」の発見です。当初は「西宮の水」と呼ばれていましたが、いつのまにか略されて「宮水」と呼ばれるようになりました。それ以降「宮水」は灘の酒造家はもちろん、他の地方の酒造りにまで広く使われるようになり、特に灘の酒造りには欠かせない水となりました。「宮水」はカルシウム、マグネシウムを多量に含む硬水で、また酒造にとって有害な鉄分が少ないため酒造りに最適な水です。「宮水」に含まれる成分は清酒酵母の栄養分となり、また酵素の作用を促すため、昔から灘の酒は辛口豊醇な“男酒”と言われています。

白鷹集古館2階

「宮水」についても解説(白鷹集古館2階)

「宮水」で醸した灘の酒は、夏を越しても味が落ちるどころか、かえって熟成しまろやかで調和のとれた味となり、秋になると「秋晴れ」といって一層芳醇になります。自家所有の8つの井戸から湧く「宮水」を仕込み水として使っている「白鷹」をはじめ、灘の酒蔵の多くが今も「宮水」にこだわった酒造りを続けています。大切な「宮水」を守るため、酒蔵が協力し合い水質の保全活動にも取り組んでいます。

毎年10月の第1土曜日にはその年によい酒ができることを願って「にしのみや宮水まつり」が行われています。当日は「宮水」発祥の井戸から「宮水」を汲み、酒造関係者約80名が雅楽を奏しながら、宮水発祥の地記念碑前から西宮神社までを練り歩き、神社に宮水を奉納します。環境の変化で、今や限られた場所でしか湧出しないという「宮水」が、いかに灘の酒にとって重要で大切にされているか感じることができる神事になっています。

酒造りの歴史が分かる「白鷹集古館」

白鷹集古館

「白鷹禄水苑」内にある「白鷹集古館」

「白鷹」本社の南側にある直営の文化施設「白鷹禄水苑」内には、「白鷹」の歴史が分かる「白鷹集古館」があります。この施設はかつて辰馬家の住居にあった土蔵をリノベーションした建物で、1階には昔の酒造りの流れが分かる道具と酒器・伊勢神宮御料酒関連の資料、2階には「宮水」や「山田錦」、杜氏、蔵人に関する資料、「白鷹」の歴史に関する資料などが展示されています。

白鷹集古館

1階には実際に使われていた酒造りの道具を展示

白鷹集古館

道具を通して昔の杜氏の息づかいが聞こえるよう

白鷹集古館

昔の酒造りの工程も展示説明されている

白鷹集古館

館内は見ごたえのある貴重な道具ばかり

おすすめの「白鷹」銘柄紹介

数多いラインナップがある「白鷹」の中からおすすめの3銘柄を紹介しましょう。直営の「白鷹禄水苑」内のショップをはじめ百貨店・酒屋など全国の取扱店、または「白鷹」オンラインショップで販売しています。家飲みはもちろん贈答にも喜ばれる「白鷹」をお楽しみください。

吟醸純米「超特撰白鷹」

超特撰白鷹

吟醸純米「超特撰白鷹」<化粧箱入り>

豊かなコクと深みのある味わいが酒通に好まれる純米吟醸です。少し冷やしてまたは常温もおすすめですが、ぬる燗で一層まろやかな旨味が楽しめます。
吟醸純米「超特撰白鷹」1.8L 3,300円、720ml 1,650

大吟醸純米「極上白鷹」

極上白鷹

大吟醸純米「極上白鷹」<化粧箱入り>

生酛造りならではのふくらみのある旨味に絶妙のキレのよさで人気です。料理をさらに美味しく引き立たせる白鷹いち押しの1本です。少し冷やしてまたは常温がおすすめです。
大吟醸純米「極上白鷹」1.8L 5,500円、720ml 2,750

特別純米「金松白鷹」

金松白鷹

特別純米「金松白鷹」

米の旨味を最大限に活かした、「白鷹」を代表する生酛造りならではのキレと力強い飲み口が楽しめます。常温、ぬる燗、燗がおすすめです。
特別純米「金松白鷹」1.8L 2,640円(箱入りは2,728円)、720ml 1,100

まとめ

江戸時代後期、西宮に樽廻船問屋ができ西宮港からの船による輸送体制が大幅に強化されたこともあり、江戸に供給される酒の8割が「灘の酒」だったといいます。輸送力だけでなく多くの人に「灘の酒」が受け入れられたのは、良質な西宮の湧き水「宮水」と精米技術、高度な酒造技術によって造られた清酒そのものの芳醇な味が、当時の江戸の人々の心をもつかんだともいえるでしょう。時代は移っても江戸時代からの伝統的な酒造りを継承している西宮の「白鷹」が、伊勢神宮の御料酒に選ばれたのも自然な流れだったのではないでしょうか。

(取材・文・撮影 滝野利喜雄)

白鷹
662-0942 兵庫県西宮市浜町1-1
TEL0798-33-0001
白鷹  https://hakutaka.jp/
白鷹オンラインショップ https://www.hakutaka-onlineshop.jp/

白鷹集古館(白鷹禄水苑内)
開館時間 11:0018:30
見学無料
定休日 第13水曜日
駐車場 33

白鷹禄水苑 https://hakutaka.jp/shop.html

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