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その癒し、5つ星級。人生を変える会員制リゾート

【五感で感じる旅】火の女神ペレのエネルギーが満ちる島 ハワイ島(アメリカ)

【五感で感じる旅】火の女神ペレのエネルギーが満ちる島 ハワイ島(アメリカ)

ハワイ諸島で一番大きく、「Big Island」と呼ばれるハワイ島。島は5つの火山からなり、マウナ・ロアとキラウエアは活火山、マウナ・ケアとフアラーライは休火山、コハラは死火山である。島中央部にあるマウナ・ロアは海抜4,169 メートル、その北にあるマウナ・ケアは海抜4,205メートルの高さをほこり、南の島にありながら雪をいただくことも多い。4月、常夏のハワイへ行くのに、スーツケースにダウンジャケットを入れたのは、このマウナ・ケア登頂が目的の一つだったからだ。

日系人が多く住むヒロ

飛行機が着陸態勢に入ったときに見えた美しい山がマウナ・ケアだと、島東部のヒロ国際空港まで迎えに来てくれた黒島健司さんの説明を聞きながら車は住宅街を走る。黒島さん夫妻が運営するヒロのB&B「ゲストハウス・イン・ヒロ」がこの旅の滞在先だ。


ヒロは日系移民によって開拓された街で、今も多くの日系人が住む。溶岩の大地を開墾し、サトウキビの大規模農園を作った、その苦労は並大抵のものではなかったはすだ。当時の移民の生活を知ることができるプランテーションミュージアムがあるというので、案内してもらうと、小さな建物の中に個人が収集した生活道具や書類がところ狭しと展示してある。「日本人が来るのはめずらしい。来てくれてありがとう」とミュージアムの人が歓迎してくれた。島の人が日本人を大切にしてくれるのは、開拓者に敬意を払っているからだとも聞いた。1868年から約22万人の日本人がハワイ各島に渡って、さとうきび畑や製糖工場で働いた。その頃の写真に写っている人々の目は力強く輝いていた。

マウナ・ケアの頂へ

マウナ・ケアとはハワイ語で「白い山」を意味する。海底からの高さがエベレストをしのぎ世界最高峰で、冬場は山の五合目くらいまで白くなる。しかし、山頂付近は天候が安定しており、空気が澄んでいることから、世界11カ国の研究機関が合計13基の天文台を置く。日本の国立天文台・すばる望遠鏡があるのもここだ。

ハワイの気候に体が慣れた3日目、天候が安定したのを見計らってマウナ・ケア登頂を実行した。富士山より高い山頂だが、実は車で行くことができる。ただし高山病が危険なので、少しずつ気圧の低さに体を慣らしていく。

ヒロを出て、まず2000メートルの地点で40分ほど休憩。ここで持参したサンドイッチを少し食べて胃袋を動かし、血中の酸素を消費して新たに酸素の豊富な血液を作る。その後、車は2800メートルのオニヅカビジターセンターへ。売店やトイレがあり、この先の天候や移動の注意事項などを確認することができる。このあたりが富士山の七合目にあたる。ここでは飲み物以外は摂らず、胃袋の活動を抑えながら30分ほど休憩。高山病の原因となる酸欠を防ぐための方法で、黒島さんの主治医のアドバイスだそうだ。

 

冷たい風と霧雨の中、センターの裏手に行くと、ハワイ固有種で絶滅危惧種に指定されている銀剣草が花を咲かせていた。一生に一度だけ花を咲かせ、咲き終えたら種を残して枯れてしまう。5年くらいで咲くものもあれば、50年を超える寿命のものもある。まだ花を咲かせていない若い銀剣草も雨に濡れて銀色に輝く姿はとても美しかった。

この先は四輪駆動車しか入れない。急こう配の黒い大地を黒島さんの四駆はゆっくり走る。徐々に空気が薄くなってくるため、意識して呼吸をし、水を飲む。薄くおりた雲の中を抜け、どのくらい走っただろう。天体観測施設のある頂上付近に到着した。ゆっくりと歩を進め、高度4200メートルから見渡す景色に言葉を失う。空は晴れ渡り、空気は冷たく、火山の大地は温かい。そして静かだ。目を閉じて火の女神ペレの棲む山の気配をただ感じる……。

カウのオーガニックコーヒー園


近年ハワイ島南部のカウ地区のコーヒーが、「コーヒー・オブ・ザ・イヤー」を受賞して注目されている。黒島さんの友人、ジョンさんのオーガニックコーヒー農園「Kau Ocean Vista Coffee Estate」を訪ねた。

広大なコーヒー園の向こうに大海原が広がり、一面に育っているコーヒーの木は、ただただ美しい。ジョンさんにすすめられて、赤く熟した実をかじるとほんのり甘く、中から生豆が出てくる。

元々、カウはサトウキビ工業が盛んだったが、衰退が続いて1996年に全ての工場が閉鎖した。当時役所勤めだったジョンさんが上司のダニエル・イノウエさん(ホノルル国際空港の正式名称、ダニエル・K・イノウエ国際空港に名前が付けられている)から、カウ地区に仕事を作るように指示されてコーヒー栽培に着目した。

コロンビアで栽培を学び、農地を開拓し、苗木を植え、受粉のためにミツバチを放った。当時10数軒の農家が手を上げ、本格的にカウでコーヒー栽培が始まったのは1997年のことだった。

 

コーヒー栽培は通常1100mから2600mの高地で行われるが、カウは他の国より緯度が高いため低い土地でも育ち、高地より成長が早い。収穫した生豆をフライパンでライトミディアムにローストして、挽き、コーヒーを淹れてもらった。苦みはソフトで味はまろやか。コーヒーの花のハチミツをいただきながら、ゆっくりした時間を過ごした。

ジョンさんのコーヒーは、東京の一部のスターバックスで飲めるが11200円ほど。横浜、山口、仙台で出している店があるらしいが、数が少なくとってもレアだ。

 

ハワイといえば白い砂浜に青い海のイメージだが、ハワイ島に白い砂浜は少なく、溶岩が溶けて砕けて砂になった黒い砂のビーチが多い。

2018年53日の大噴火はボルケーノ(噴火口)が住宅地だった。近くまで行ったが、1年経っても溶岩に覆われた大地はまだ熱をもち、煙がくすぶっている場所もある。

自然が生み出した力強い景色を見ると、ここはまさに火の女神ペレの神秘の島。溶岩がのみこんだ街が、自然の力で新たな命を育む。悠久の時を破壊と再生が繰り返してきた島なのだ。

日本では見ることのできない雄大な自然を目にした今回の旅。黒島さんのツアーガイドもさることながら、B&Bでの食事がパワーの源となった。奥さんのミッシェルさんが作るマクロビの思想を取り入れたオリジナル料理が素晴らしかった。

切り干し大根の酢の物、おからのサラダ、海藻たっぷりの糀スープ、車麩と野菜の炒め物、たっぷりの有機野菜の料理のおかげで、体調がよくなった。ミッシェルさんが企画するミネラル断食合宿もとても気になりながら、島をあとにした。

 

<ゲストハウスインヒロ>

+1-808-969-7080

1047 Kikau place Hilo Hawaii

http://black-island.net/?page_id=11

取材・文 松田きこ

 

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