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日本六古窯の一つ、丹波焼。その魅力

日本六古窯の一つ、丹波焼。その魅力

日本海と瀬戸内海、南北に2つの海を臨む兵庫県。そのほぼ中央部に丹波篠山市があり、800年の歴史をもつ焼き物のまち、今田町立杭地区がある。現在も60軒近くの窯元が軒を連ね、日用品からアート作品まで幅広いジャンルで陶工たちが力を発揮している。窯元を束ねる丹波立杭陶磁器協同組合の理事長、雅峰窯の市野秀之さんを訪ねた。

丹波焼には自由と独創性がある

丹波焼は、かつてその地名から立杭焼と呼ばれていた。立杭周辺の窯元が丹波の土で作るものを丹波焼きといい、作風の定義やしばりはない。どんな作風でも個性として許容されるから、作家にとっては自由に独創性を発表できる地であり、器を見れば作った窯元を特定できるのが丹波焼きの魅力でもある。

しのぎと色が雅峰窯の特徴

町内を流れる四斗谷川沿いに窯元が建ち並ぶ。その一角に雅峰窯があり、ギャラリーには、市野秀之さんと2人の息子さんの作品が飾られている。登り窯で焼いた荒々しい壺、シンプルな素焼きの湯のみ、そしてドット模様がアクセントになったかわいい皿、三人三様のデザインだ。その中で印象的なのは、「しのぎ」と呼ばれる技術を施したもの。多くの作家が用いる伝統的な技だが、雅峰窯の「しのぎ」は繊細にして緻密。例えるなら女性的なしのぎといえばいいだろうか。

 

◆雅峰窯ブルーの魅力

そして、ファンの間で「雅峰窯ブルー」と表現される特徴的な色がある。都会的な雰囲気の上品な淡いブルーだ。最近は黄色も加わって、新たな人気商品になっている。

「形や作る工程は伝統的なものです。釉薬も特別なものではありませんが、少しずつ配合を変えて独自の色や手触りを作っています」と市野さん。そう、彼の器は料理を美しく見せ、手になじむのだ。

◆小さな子供からお年寄りまで、使いやすくおしゃれな器

「小さな子どもからお年寄りまで、いろいろな方に使いやすくておしゃれと言っていただける器を作れることが一番楽しい。幼い子が僕の器で育ってくれる、その姿を想像するのも作家としての醍醐味です」という市野さん。雅峰窯の四代目としてどんな作家人生を歩んできたのだろうか。

陶芸家として迷わす突き進む

◆窯元の長男として生まれて


1963年窯元の長男として生まれ、子どものころは、町のあちらこちらに積まれた陶芸用の土を滑り台代わりにし、近所の窯元の作業場にも自由に出入りして遊んでいた。陶芸の産地全体が遊び場という環境で、自然と目にする祖父や父の姿から焼き物の工程を覚え、火の色を見れば窯の温度もわかるようになっていた。跡を継ぐことに何の迷いもなかったという。

当時のならわし通り、他の窯元に弟子入りして修業が始まった。「最低4年頑張れば、一人前になれる」と信じ、がむしゃらに陶芸に取り組む毎日だ。土の練り方から釉薬の配合まで、テキストや具体的な指導があるわけではなく、師匠や兄弟子を見てその技を盗むように覚える。作業が終わった夜、こっそり師匠の作品を針金で切って、細かい厚みを研究したこともあった。師匠が使った染料の袋を見て薬の名前や量を頭に入れた。「早く一人前になりたい」一心だったという。

◆どんな時も笑顔を絶やさず、納得できる作品を

作家になってから10年間は、ちょうどバブル時代で、その後二度と経験できないようなことを経験した。30万、40万円する大きな壺を傘立てにと、3つまとめて購入する人がいるなど、高いものほどよく売れた。そしてバブル崩壊後の苦しい時期も経験した。

「苦しい時でも、いつも笑顔だけは絶やすことなくやってきました。良いものができると感動し、失敗すると泣いたりもした。子どもたちはそれを見ながら育ってきたので、この仕事は全責任を自分自身が負わないといけない、ということも学んでくれたと思う」と父としての顔を見せた市野さん。3人の息子のうち2人が陶芸家として活躍しているのは、彼らもまた父の背中を見てこの道を進むことを決めたのだろう。かつての市野さんのように。

新人の頃は、背伸びしたアーティスティックなものばかりに打ち込んだが、公募展に入賞した頃から、徐々に気付いたのが、伝統的な技法や、祖父や父に教わった日用雑器が自分には合っているということ。

「自分で土を調合し、作品を作り、展示してお客様に買っていただき、ありがとうございました、とお渡しするまで全工程を自分でできるのが、この仕事の一番の魅力。だからこそ自分自身が納得できたものだけをお出ししたい」と作家の心意気を垣間見せる。

豊かな自然と器と人

この春組合の理事長に就任して改めて思うのは、作家として華々しく活躍する人、地味でも実直にモノづくりをする人、両方を巻き込んで一緒に丹波焼を盛り上げていかなければいけないということ。人口減少とともに規模が小さくなるのは避けられないが、画期的なことをする活発な産地でありたいから、若い作家の発想をイベントや組合の運営に生かして形に表したいと考えている。

2013年から始まった「Tanba Style」は、まさに画期的な第一歩。作家同志が「Tanba Style」というブランドで一つの作品を作り、また「Tanba Style」というブランドで自身の個性を生かした作品をPRする。この取り組みは、大阪、東京、通販へと広がり、丹波焼の新たな可能性を見出している。

◆日本最古の登り窯をシンボルとして

この丹波の自然の中で、陶器と人を大事にした街づくりを考えていきたい。そして県の有形民俗文化財である「最古の登り窯」を丹波焼きのシンボルとしてこれからも守り、その築窯技術を若い人たちに伝えていきたいと意欲を燃やす。


上の写真は、明治28年(1895)に作られた最古の登り窯。初期の登り窯の形状を残し、今も使われているものとしては日本で最古のもの。全長47メートル、9袋の焼成室があり、この立杭でも最大規模の登り窯だ。火を入れてから焼成が終わるまで3日間、さらに2日間おいて器をとり出す。

<雅峰窯 Gallery雅峰>


電話 079-597-2107

住所 兵庫県篠山市今田町上立杭355

公式HP http://www.gahougama.com/

営業 9:0018:00

定休 年中無休

 

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