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その癒し、5つ星級。人生を変える会員制リゾート

京都で出会うスパイス使いのスペシャリスト、ジャン・ジョルジュ氏が贈る唯一無二のモダンフレンチ

京都で出会うスパイス使いのスペシャリスト、ジャン・ジョルジュ氏が贈る唯一無二のモダンフレンチ

コロナ禍のなかにあっても、多くのラグジュアリーホテルが誕生する京都。海外からの進出が引きも切らないなか、2022年末にオープンした「THE SHINMONZEN(ザ・シンモンゼン)」は、フランスのプロヴァンス地方にある「Villa La Coste(ヴィラ・ラ・コスト)」の姉妹ホテルとして、10 年以上かけて完成したプロジェクトだ。2023年3月には、待たれていたホテルのメインダイニングがオープンした。世界中にレストランを展開するジャン・ジョルジュ氏の「Jean-Georges at The Shinmonzen(ジャン-ジョルジュ アット ザ・シンモンゼン)」だ。早速、訪れてみた。

ホテル「THE SHINMONZEN」

「ヴィラ・ラ・コスト」は、画家セザンヌの愛したエクス・アン・プロヴァンスから北へ車で30分、リュベロン自然公園のなかのワイナリーに併設されている。庭園、ハーブ、花に囲まれた美しい28室からなるヴィラスイートで、安藤忠雄氏の手掛けたアートセンターを擁することでも知られる。一方、「THE SHINMONZEN」は、古美術店やアンティークショップの町屋が軒を連ねる雅な新門前通りにひっそりと佇む。京都を象徴する八坂神社エリア、祇園の中心にありながら、一歩細い道に足を踏み入れただけで四条通りの喧騒から一瞬にして解き放たれる。

京都祇園に繰り広げられるアーティスティックな空間

祇園白川に沿う京都ならではの景観をバックに、9部屋のみのスイートという贅沢な隠れ家ホテル。建物は、安藤忠雄氏による日本の美を意識しながらもモダンでスタイリッシュなデザイン、世界的デザイナー、レミ・テシエ氏によるコスモポリタンなインテリア、そしてワールドクラスのコンテンポラリーアートコレクションが織りなす、アーティスティックな空間がひろがる。日本画、絵画、写真、刺繡など、館内に飾られている世界的に有名な新進アーティストによるさまざまなアートは、「芸術家の街」新門前通りへのオマージュでもある。ひと部屋ごとにインテリアは異なり、スイートの広々としたバルコニーで、祇園白川を眺めながらいただくシャンパンタイムは、このホテルならではの優雅な京都時間を演出してくれる。

世界の注目を集めるセレブシェフ ジャン・ジョルジュ氏

ジャン・ジョルジュ・ヴォンゲリステン氏

ジャン・ジョルジュ・ヴォンゲリステン氏

ホテルのメインダイニング「Jean-Georges at The Shinmonzen」を監修するシェフ、ジャン・ジョルジュ・ヴォンゲリステンは、ニューヨークでスパイスの魅力をフィーチャーした斬新なフランス料理を繰り出し、世界中のファンを魅了するフランス人シェフである。各国に60を超えるレストランを展開し、ニューヨーク本店は、2005年から13年連続ミシュランガイドの星を獲得している。日本では、東京六本木ヒルズにある「ジャン・ジョルジュ トウキョウ」が2023年にオープンから9年目を迎えた。この京都店は2店目となる。

名シェフの元での地道な研鑽とワールドワイドな経験

フランス・アルザス地方で50年にわたり3つ星に輝き続ける名店「オーベルジュ・ド・リル」にて修業をスタートしたジャン・ジョルジュ氏は、ポール・ボキューズをはじめフランスの名だたるシェフのもとで研鑽を積んだあと、バンコク、シンガポール、香港、ジュネーヴ、ロンドンなど世界中のレストランでシェフを務め、ワールドワイドな経験を持つ。
生まれ育ったのは、アルザス地方にあるストラスブール近郊の美しい小さな村。3代にわたる大家族で暮らしていた。祖母と母が作る美味しい料理をみんなで味わう団欒は、かけがえのないひとときだった。「自分も誰かを幸せにしたい」と、料理人の道を志す。『オーベルジュ・ド・リル』のポール・エーベルランの弟子として16歳で修業をスタート。その後、南フランスの「ロアジス」「ポール・ボキューズ」で仕事をしたあと、タイ・バンコクの「オリエンタルホテル』へフレンチのシェフとして赴任した。当時、オリエンタルホテルのコンサルティングをしていたロアジスの縁で派遣されたのだった。

バンコクで知ったスパイスの奥深さ

真鯛の刺身バターミルクヴィネグレット

真鯛の刺身バターミルクヴィネグレット

何の知識もなくタイに移り住んだところ、現地スタッフが作ってくれたアジア料理の賄いに大感動する。以来、台湾、インドネシア、日本などアジア各国を巡り、スパイスやハーブを徹底的に研究し、アジアン・テイストを盛り込んだオリジナリティ溢れるフレンチの世界を創り上げていく。

車エビと蕎麦粉のクレープ ハーブの昆布バター

車エビと蕎麦粉のクレープ ハーブの昆布バター

フランス料理にハーブはよく使われるが、香り、辛み、色調を出す香辛料を組み入れることはあまりない。フランス人がニューヨークでフランス料理のレストランを開き、その料理がアジアの食材やスパイス、ハーブを取り入れるといった稀有なスタイルにチャレンジした。アメリカは「メルティングポット」と呼ばれ、世界中の料理を堪能できるが、とりわけニューヨークは各国の味わいを融合したレストランが多くある街。フレンチシェフとしては異色ながら、自らのステージとしてニューヨークを選んだのはそんな背景が最適だと考えたからだ。

世界の香辛料を組み合わせた独創的なソース

京丹波牛 大根、ケール

京丹波牛 大根、ケール

ハーブやスパイスの持ち味を活かし、辛みを特徴とする香辛料も積極的に取り入れるが、唐辛子ひとつをとってみても地域により千差万別。世界各国に展開する店舗のシェフとの連携を密に取りつつ国ごとに調達可能な食材、スパイスを調整しながらジャン・ジョルジュの世界観を共通のレシピで表現する。
コースはストーリーを創り出すというよりもひと皿ごとに驚きのあるメリハリのある料理構成だ。テーブルに運ばれてきた時に立つ香りに続き、口に運んだ時、噛み砕いた瞬間、飲み込む間の変化やそのあとの余韻、幾度となく変容していくように演出されている。

ソースに料理を添わせるという発想

エッグトーストとキャビア、ハーブ

エッグトーストとキャビア、ハーブ

今でこそフランスのフレンチシェフの間で大流行の日本食材だが、ショウガやワサビ、ユズ、だし汁などはかなり以前から取り入れている。野菜の水分やフルーツのエッセンス、ハーブのヴィネグレットソースなどを使うほか、アジア各国の調理技法を駆使して、さまざまな素材やスパイスを合わせたソースを仕立てている。ワインを煮詰めてソースを作ったり、時間をかけてフォンをとる、といった伝統的手法は使わない。組み合わせる柑橘類も一種のスパイスと捉えている。加熱温度などによって果汁の酸味が皿の中で変化していき、料理にアクセントを与えてくれるからだ。

7種類のキノコをのせたアスパラガス

7種類のキノコをのせたアスパラガス

いわば、クラッシックなフレンチのソースに料理を合わせるのではなく、ジャン・ジョルジュのソースに料理を添わせるというスタイルだ。正統派のベースを備えてこそ、予想を超えた異次元のフランス料理が生み出される。

地元・京都の食材が持つ高いクオリティを形に

甘鯛と京人参

甘鯛と京人参

「世界中を旅することで新しい風味、食材、技術、文化を吸収してきた。今回のレストランオープンにあたり京都の生産者を多数訪れ、そのクオリティの高さを目の当たりにして、新たな領域に挑戦できそうだとワクワクしている。いまや世界中でポピュラーな豆腐も京都の職人の手にかかれば奇跡のプロダクト。京野菜はこれまで味わったことのないほどの奥深さに脱帽だ。ミネラル、繊維、ビタミンをたっぷり含み、実にテイストフル。地元の漁師、食肉業者の方々も訪ねてまわったが、新たなインスピレーションを得て、次のステージにステップアップできそうな期待でいっぱいだ」とジャン・ジョルジュ氏自らが話してくれた。

ドリンクとのペアリングも楽しんで

いちご・ゆずクリーム、ピスタチオのシャーベット

いちご・ゆずクリーム、ピスタチオのシャーベット

「Jean-Georges at The Shinmonzen」では、姉妹ホテルのワイナリーから届くワイン「La Coste」をはじめ、常時3,000本以上のワインを取りそろえる。サイフォンコーヒー日本チャンピオンの矢橋伊織氏による美味しいサイフォンコーヒー、1875年創業、京都の高級茶屋「柳桜園」から届く日本茶と、ラストの締めにまでこだわりが満載。アフタヌーンティーも開始する予定だという。
京都の素材に世界のスパイスを掛け合わせて創り上げられる唯一無二のフランス料理を、ぜひ味わってみてほしい。

取材・文 山下美樹子

Jean-Georges at The Shinmonzen(ジャン-ジョルジュ アット ザ・シンモンゼン)

住所:京都府京都市東山区新門前通西之町235
Tel:075-600-2055
朝食:7:00-10:30 (宿泊客以外のゲストのLO 9:30)
昼食:11:30-14:00 (LO 13:00)
夕食:17:30-22:00 (LO 20:30)
https://theshinmonzen.com/jp/

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